01/26/2023 司馬遼太郎の時代 (福間 良明) - 「余談」の効用

それを意識しなかったはずはないだろうが、
福間良明氏による『司馬遼太郎の時代』は2022年10月に刊行されている。
ただ執筆に至る経緯を記された「あとがき」によれば、
当初は「司馬遼太郎の時代」から昭和史を再考してみたいということであったようだ。
ちなみに福間氏は大学教授で、専門は歴史社会学・メディア史であるという。

「昭和50年代」にみている。
本文に「司馬の歴史小説は明らかに、「昭和五〇年代」の大衆歴史ブームに重なり合っていた」とある。
なかでも、ビジネスマンやサラリーマンたちに支持されたと。
その要因として、NHK大河ドラマの原作に何作も取り上げられたことや、
その頃の文庫隆盛が司馬という名前を格段に高めたのではないかとしている。

そこに記された内容が「読者の教養への憧憬を刺激した」と見ている。
確かに司馬の作品には単に文学的な面白さだけではない、
「文学・思想・歴史方面の読書を通じて人格を陶冶しなければならない」という
教養主義にあこがれた人々にとって、
明らかに他の歴史小説家とは一線をひいていたといえる。

司馬遼太郎生誕100年にあたり、
面白く読めた一冊だった。

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