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 かなり昔のことになりますが、
 「大江戸捜査網」という人気テレビ時代劇がありました。
 そのタイトルにある「大江戸」、
 もちろん今の東京のことですが、
 徳川家康がここに入府した頃は単なる「江戸」だったそうです。
 では、いつから「大江戸」になったのか。
 『家康、江戸を建てる』や『東京、はじまる』などの作品がある
 直木賞作家の門井慶喜さんの『江戸一新』を読めば、
 「江戸」が「大江戸」に変貌するさまがよくわかります。

  

 時は明暦3年(1657年)1月。4代将軍徳川家綱の時代。
 江戸の町を火事が襲います。
 のちに「振袖火事」とかとも呼ばれる「明暦の大火」。
 この時に江戸城の天守も焼け落ちてます。
 その後の江戸復興の担い手となったのが、老中松平伊豆守信綱
 信綱は埼玉の川越藩の藩主でもあり、
 才知に長けていたので「知恵伊豆」とも呼ばれていたそうです。
 門井さんのこの長編小説は、この信綱が主人公。
 おそらく歴史小説という範疇にはいるのでしょうが、
 かなり創作めいた箇所もあって、
 逆にそれがエンタテインメントになって面白く読めます。

 大火のあと、狭い道を拡充して広小路を作ったり、
 武家の移転を進めたり、隅田川に橋を架けたり。
 そういう復興施策が江戸の町をさらに大きくしていくことになります。
 つまり、「江戸」が「大江戸」に変わっていくきっかけとなります。
 門井さんは信綱にこんなことを思わせています。
 「どうかして自分の生前よりも死後のほうが少しでも結構な国であるようにしたい」
 今の政治家に、この信綱の気概があるのでしょうか。

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