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 どんな人にも、当たり前だが、
 生まれた時には父も母もいる。
 しかも、その子にとっては唯一無二の父と母だ。
 そして、その親子の関係性もまた誰とも交換できないものといえる。
 梯久美子さんの『この父ありて 娘たちの歳月』は、
 9人の「書く女」たちの、父と娘の関係をひも解きながら、
 その時代もまた描いたノンフィクション作品である。

  

 9人の「書く女」。
 収録順に書き留めておくと、
 渡辺和子(随筆集『置かれた場所で咲きなさい』で知られる修道女で、彼女の父は二・二六事件で殺害された渡辺錠太郎)、
 齋藤史(歌人)、
 島尾ミホ(作家島尾敏雄の妻)、
 石垣りん(詩人)、
 茨木のり子(詩人)、
 田辺聖子(作家)、
 辺見じゅん(作家、角川書店創業者角川源義の娘)、
 萩原葉子(作家、詩人萩原朔太郎の娘)、
 石牟礼道子(作家)。
 9人の娘たちの父はさまざまだ。
 りっぱな人生を全うした父もいれば、なんとも悲惨な生活を送った父もいる。
 ましてや、彼女たちが生きた時代は戦争とその終わりの生きにくい時代であったから、
 父もまた思い通りには生きることがなかったと思える。
 そんな父のそばにいて、性の異なる娘たちはどう見ていたのか。
 梯さんはこの本の「あとがきにかえて」という文章に
 こう書いている。
 「この九人は、父という存在を通して、ひとつの時代精神を描き出した人たちだったといえるだろう。

 そして、この本の別の魅力は、
 9人の「書く女」たちが残した作品のブックガイドにもなっている点だ。
 この本を読めば、読みたい本が何冊も見つかるだろう。

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