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 ノーベル賞作家の大江健三郎さんが
 3月3日、88歳で亡くなった。
 人は誰でもいつか亡くなる。
 それはわかっているが、
 やはり自分の青春期にとても影響を受けた作家の一人である
 大江健三郎さんがいなくなるのは
 とても、とても寂しい。

 このブログを始めた2008年12月まもない頃、
 「わたしの好きな作家たち」として
 何人かの作家たちのことを書いたことがある。
 その最初の作家が大江健三郎さんだった。
 その時の記事をここで改めて紹介したい。

   大江健三郎さんを読み出したのは中学の終わりか高校の始め。
   新潮文庫の『芽むしり仔撃ち』だったと思います。
   そこからぐんぐん読みました。
   大学生の頃は、パチンコ屋さんの景品に「全作品」(新潮社)があって、それを揃える
   ために大学の授業にも行かず、そのパチンコ屋さんに日参したものです。
   高田馬場の駅前にあった遊戯場でした。

   私は大江さんの最高傑作は『個人的な体験』だと思います。
   あの作品は何度も読みました。
   その後有名になる息子の「光」さんの誕生という困難な状況をモチーフにしながら、
   若い父親の閉塞感と希望が描かれた作品です。

   その後の「光」さんを主人公とした一連の作品も好きです。

   大江さんの魅力はあのこなれない文体にあるというのも変な書き方ですが、
   物語を読み始めてもちっともおもしろくないのですが、いつの間にかどんどん
   ひきずりこまれているのが不思議な感じがします。

   でも、今はあまり「好き」ではありません。
   最近の作品は読んでいない方が多いと思います。
   なぜかというと、「最後の全集」と銘うった「大江健三郎小説 全十巻」を
   頑張って買い揃えたのに、その後も作品を発表しているから、という
   極めて「個人的な体験」からです。                (2008/12/22)

  

 最後に書いた「好き」ではないことも含め
 私にとっての大江健三郎さんに違いありません。
 実はあれだけ買い揃えた大江健三郎さんの本は
 数冊だけはありますが
 すべて売ってしまいました。
 いつだったか、古本屋さんに持っていった時、
 「今は大江の本は売れないんだよな」と店主がぼやいていたのが
 今でも耳に残っています。

 大江健三郎さん、
 今はあなたの本も数冊しか持っていない私ですが、
 それでも私にとって若い時にあなたの作品に出会えてことが
 やはり記憶から消えない邂逅であったと思います。

 ありがとうございました。

 ご冥福をお祈りします。

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