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 大江健三郎さんが亡くなったあと、
 多くの追悼の記事がでました。
 大江さんの文学は難解な部類にはいるのでしょうが、
 みんな大江さんのことが好きだったのが
 それらの記事でよくわかります。
 その大江さんと同い年生まれ(1935年)で
 ともに大学生の時にデビューし、
 大江さんとしばしば比較された女性作家がいました。
 それが、この『ぼくを探しに』という絵本の翻訳者、
 倉橋由美子さん。
 倉橋さんのデビュー作は『パルタイ』(1960年)で、
 もしかしたら大江さん以上に難解だったかもしれません。

  

 この『ぼくを探しに』は
 1977年に日本で出版された絵本で
 もしかしたら倉橋さんの著作の中でも
 おおいに売れた一冊になったのではないかと思えるほど
 ロングセラーになりました。
 原作はシカゴ生まれの作家シルヴァスタインで、
 この作品のほか村上春樹さんが翻訳した『おおきな木』などで
 知られた人です。
 この『ぼくを探しに』はとてもシンプルな絵で
 丸い、けれど少し欠けている「ぼく」が
 足りないものを探していく世界を描いています。
 単純だけど、奥深い。
 そんな絵本の翻訳を倉橋由美子さんにお願いした
 編集者のセンスに拍手をおくりたい。

 単純な言葉なんて、倉橋さんでなくともと思われた人は
 ぜひこの絵本の最後にある、
 倉橋さんの「あとがき」を読んでみて下さい。
 きっと、難解な倉橋由美子さんの片鱗を見つけることができます。

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