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 「面陳」というのは、本屋さんでよく見かける、
 背表紙でなく表紙面を見せて陳列する方法のこと。
 新刊書などは、なおかつ平台に積まれることがある。
 ただ、この陳列方法だとスペースもとるから、ほとんどの本が
 短時間で背表紙だけを見せる陳列方法に変わる。
 ただその本屋さんがこれはと思う本を「面陳」することがある。
 2017年に文庫本になった西條奈加さんのこの『まるまるの毬(いが)』を
 「面陳」してくれた本屋さんがあったおかげで
 この本に出会えた。
 だって、表紙の食べかけの「回転焼き」がなんともおいしいそうだったから。

  

 この作品は親子三代で菓子を商う
 江戸・麹町にある「南星屋」を舞台にした連作時代小説。
 その出生ゆえに武家から菓子職人になった治兵衛と
 夫の浮気で父治兵衛の元に戻った娘お永、そしてその娘お君の、
 文庫解説を書いた澤田瞳子さんによれば、「家族の物語」。
 もちろん、菓子屋が舞台だから、作品には必ず和菓子が登場するし、
 各作品のタイトルも和菓子の名前がついている。
 人情噺ともいえる内容に時に胸をうたれながらも、
 さてこのお菓子はどんなもの、その形、味はと
 甘党の読者を飽きさせることはない。

 で、表紙の「回転焼き」だが、
 この菓子にはさまざまな呼び名があって
 「大判焼き」とか「御座候」と呼ぶところもある。
 ただ残念なことにこの本には「回転焼き」は登場しない。
 でも、これは「回転焼き」ですよね、
 カバー装画を描いた「彦坂木版工房」に訊いてみたいところだ。

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