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 沢木耕太郎さんの文庫版『深夜特急』第2巻は、
 マカオでの博打生活に危うさを感じた沢木さんが、
 マレー半島からシンガポールへとめぐる旅を描く。
 第4章「メナムから」、第5章「娼婦たちと野郎ども」、
 そしてシンガポール篇である第6章「海の向こうに」で
 構成されている。

  

 中でも面白いのは、やはりペナンの娼婦の館に滞在した日々だろう。
 香港での「黄金宮殿」という華麗な名前の貧乏宿もそうだが、
 沢木さんのこの旅は貧乏旅行ではあるが、
 あまりにも危険と背中合わせといっていい。
 もしかしたら、命の危険があるかもしれないそんな暮らしぶりに飛び込んでいく姿が
 ある意味若さの代名詞のようでもあって、
 そのあたりがこの長い旅行記が今でも人気のある所以だろう。

 この2巻でもっとも重要なのが、
 おそらく第6章だろう。
 そこには沢木さんがこの旅に出た思いが綴られているからだ。
 当時沢木さんはジャーナリストとして自分の場所を固めつつあった。
 それでも、26歳の彼はそれを捨てることになる。
 「多分、私は回避したかったのだ。(中略)何かが固定してしまうことを恐れたのだ」
 沢木さんのように思うことが誰しもある。
 しかし、沢木さんのように旅立つことはできない。
 だから、『深夜特急』はいつまでも蜃気楼のようにある。
 追っても追っても捕まえられない憧れといっていい。
 さあ、もっと先を目指そう。

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