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 歴史は勝者あるいは強者によるものと、よくいわれる。
 とすれば、それは男性の歴史といわれても仕方がないことかもしれない。
 ノンフィクション作家石井妙子さんがこの『近代おんな列伝』を執筆した理由に
 「強者の歴史を振り返るよりも、記録に残されることの少ない女性たちの生に軌跡」に
 目を向けたいとしている。
 ここで取り上げられたのは、37人の「男性たちの功績の陰に隠された女性たちの一生」で、
 名の知らない女性たちも多い。

  

 全員の名前をあげることはできないが、
 興味を持ったのは「天皇家に仕えた女たち」という章で取り上げられている女性たちだ。
 一条美子(明治天皇の皇后)。
 柳原愛子(明治天皇の側室で、大正天皇の実母)。
 九条節子(大正天皇の正室で、昭和天皇の実母)。
 皇室と閉ざされた環境で、彼女たちは必至で皇統をつないでいく。
 なかなか知り得ない歴史を石井さんは克明に映し出してくれた。
 その一方で、時の軍部の力もあって朝鮮王室の嫁いだ皇女がいたり、
 満州国の皇帝の弟に嫁いだ侯爵令嬢がいたりと、
 どんな立場であれ、時代という波に翻弄される彼女たちの姿は心打たれる。

 その他、シーボルトの娘である楠本イネや新宿中村屋を創業した相馬黒光など
 現代よりもずっと女性が認められなかった近代日本を生きた女性たちのことを
 現代の私たちはもっと知るべきだろう。

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 人気時代小説家であった葉室麟さんが2017年の暮れに亡くなって、
 途方に暮れたことを今も覚えている。
 葉室さんが『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞(2012年)以降、
 新刊が出るたびに読み続けていた作家だったから、
 これからもう葉室さんの新しい作品が読めないんだという落胆だった。
 それから5年以上過ぎ、
 どうやら葉室さんの次、時代小説の書き手をようやく見つけたかもしれない。
 それが短編集『江戸染まぬ』の作者、青山文平さんだ。

  

 青山さんは1948年生まれ。
 『つまをめとれば』で第154回直木賞を受賞(2016年)。
 この『江戸染まぬ』には2018年から2020年にかけて雑誌に掲載された
 短編時代小説7篇が収められている。
 表題作でもある「江戸染まぬ」は、
 昨年(2022年)にいくつかの賞を受賞した長編『底惚れ』の原型となる短編。
 収録作品の中でのお気に入りは「町になかったもの」。
 これは江戸時代の小さな町に住む男の話。
 町というには小さな村から江戸へ用事で出向いた男が目にしたもの、
 それが書肆、つまりは本屋さん。
 男は一念発起して町に戻って書肆をつくることになる。

 青山さんの作品にはこの短編のような、本に対する愛がほのみえることがある。
 そのあたりが自分にははまったのだろう。
 葉室さんの骨太い優しさとは違う作風ながら、
 大人の味わいがあって、気持ちのいい読書を味わえるのがいい。
 いい時代小説家を見つけた。

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 先日紹介した駒井稔さんの『編集者の読書論』の中で絶賛されていたのが、
 臨床心理学者の河合隼雄さんと詩人の長田弘さんの対談集
 『子どもの本の森へ』です。
 駒井さんはこの本のことを
 「大人が子どもの本を読む意味を、これほど明確に語っている本を他に知りません」と
 書いています。
 この対談集は1998年に出たものですが、
 今読んでもとても参考になる児童文学のすすめです。 

  

 河合さん長田さんともに児童文学への造詣が深く、
 たくさんの示唆に富んだ言葉がたくさん含まれています。
 「大人と子どものいちばんの違いは、」と語っているのは長田さん。
 「子どもは窓を乗り越えて出入りできる人間」で
 「大人というのはもう窓を乗り越えなくなった人間」という意見に
 詩人の感性を感じました。
 あの『ピーター・パン』がまさにそんな少年だったことを
 思い出しました。

 「子どもの本というのは「読みたい」とずっと心にのこっている本」と
 長田さんが言っていますが、
 大人がこの対談集を読む意味は
 そういう「心に残っている」「読みたい本」を見つけだす
 手伝いになってくれることでもあります。
 この対談集ではたくさんの児童書。絵本が紹介されています。
 きっとその中に、「読みたい本」が見つかるでしょう。
 もしかしたら、児童文学は大人だから楽しめるジャンルかもしれません。
 さあ、「子どもの本の森へ」踏み出しましょう。

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 咲きました、咲きました、
 ついに咲きました。
 シカクマメの花。

  20230823_141319_convert_20230826135237.jpg

 これは8月23日の午後3時頃のようす。
 昼に開花する花みたいです。
 豆科の花の形状ですが、色になんともいえない淡さがあって
 野菜の花としてはやはり珍しい。
 この花とよく似ているのが
 今が咲き頃のツユクサ(露草)

  20230826_075716_convert_20230826135538.jpg

 ただし、こちらは朝に咲いて昼にはしぼみます。
 ツユクサは秋の季語でもあります。

    露草の露千万の瞳かな        富安 風生

 シカクマメはこのあとどんな莢をつけるのか
 それもまた楽しみ。

 8月も終わりというのに、厳しい残暑が続いています。

  20230826_083550_convert_20230826135603.jpg

 まるで真夏の風景ですね、これでは。
 手前のビル群はさいたま新都心。
 この季節、街のあちこちで見かけるのが
 サルスベリのピンクの細かな花。

  20230825_095347_convert_20230826135326.jpg

 夏の季語ですが、花期が長いため百日紅の漢名があります。

    散れば咲き散れば咲きして百日紅        加賀 千代女

 夏野菜は終わりですが、
 ナスはまだ収穫ができそう。
 8月25日には一度にこれだけ収穫できました。

  20230825_180408_convert_20230826135431.jpg

 そうはいっても
 今年の夏は猛暑が続いて
 夏野菜の不作が報じられるようになりました。
 私の菜園でもピーマンが小ぶりのまま大きくならないのは
 暑さのせいかもしれません。
 はやく暑さがおさまってくれないと
 秋野菜の植え付けも汗まみれになりそうです。

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 犬や猫、小鳥といったペット類は私たちの身近にいる動物です。
 牛や馬、鶏といった家畜類も、私たちの生活に欠かせない動物です。
 では、動物園で飼育されている動物たちはどうでしょう。
 やっぱり私たちの生活を潤わしてくれる動物たちに間違いありません。
 そんな動物園の動物たちが時にとてもひどい仕打ちを受けることがあります。
 それは、戦争の時。
 動物園にいるライオンなどの猛獣は処分された悲しい体験があります。
 日本で6番めに開園した古い動物園である熊本市動物園(現在は「熊本市動植物園」でも、
 戦争中に同じことがありました。
 そして、戦争以外にも地震などの大きな災害の時、
 動物園は休園しなくてはいけない時があります。

  

 絵本『あしたの動物園』(作 野沢悦子/絵 いたやさとし)は
 2016年4月14日と16日に起こった熊本地震で休園を余儀なくされた
 熊本市動植物園がどう動き、どう再開していったかを描いた物語です。
 そして、動物たちを一時的に避難させた際に
 戦時中の悲しい話も描かれていて、
 動物園と私たちの関係性がきちんと描かれていきます。

 野坂さんの文章は丁寧な取材と熊本市動植物園の協力もあってとてもわかりやすく、
 それでいてきちんと物語となっています。
 そして、いたやさんの絵は動物たちの姿だけでなく、
 動物園の飼育員の皆さんや来園客の楽しそうな表情もほのぼのとして
 物語ととてもよく合っています。

 たくさんの時を経て、動物園の姿も動物たちとのかかわりも変化しています。
 この絵本から「あしたの動物園」を夢見るものいいかもしれません。

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 今日は映画館の話から。
 ここ何年か映画は年間200本以上観ていますが
 圧倒的に多いのはテレビでの視聴。
 最近はテレビの性能もよくなって大画面、高音量で
 しかもネット通信にもつながっていて
 ネット配信、例えばアマゾンプライムとかはテレビで観ます。
 小さい方ではさすがにスマホで観ることはありませんが
 タブレットでは観ます。
 私が映画を観始めた70年代とは大きな違いです。
 では映画館にはどれくらい行くかというと
 年1、2回程度。
 映画館に足を運ばなくても映画を鑑賞できる環境にいるということでもありますが。
 そんな私が先日映画館に行ってきました。

 観たのはトム・クルーズ主演の人気シリーズ「ミッション:インポッシブル」の最新作
 「デッドレコニング PART ONE」。
 出かけたのは、TOHOシネマズ日比谷
 この映画館には全部で13スクリーンもあって、
 今回の作品は
 その中でももっとも大きなスクリーンでの上映ですから
 もう最初から圧倒されっぱなし。
 しかも、音がすごくて、身体全体で音を感じられます。
 これでこそ、映画!
 やっぱり映画って映画館、それも設備のいいところで観るのがベスト。
 ということで、
 映画「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」 の話です。

  

 映画「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」は
 2023年公開のアメリカ映画。
 シリーズ7作めとなる作品です。
 「PART ONE」とあるように、この作品はシリーズ初となる2部構成で
 後編は来年初夏の公開だとか。
 といっても、この作品で十分楽しめます。
 主演はもちろんトム・クルーズ
 トムもすでに60歳を超えていますが、
 それでもこれだけのアクションをこなすのですからさすが。
 シリーズ最初の作品が作られたのが1996年ですから
 25年以上経ちます。
 今回の作品を観たあと、
 アマゾンプライムで(テレビサイズでしたが)
 第1作となる「ミッション:インポッシブル」を観ました。
 今回と同様走る列車でのアクションシーンがあって
 7作めの本作は第1作へのオマージュだったのかもしれません。
 でも、アクションシーンもレベルがうんとあがっていて
 それはそれは。
 最高の映画館で観たおかげでもあるのでしょうね。

 映画はやっぱり映画館が最高!

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 読書嫌いの人はよく、「面白い本を見つけられない」といいます。
 だからでしょうか、書店に行けば「今読まれている本」なんて
 丁寧(?)に教えてくれています。
 『編集者の読書論』というこの本のいいところは、
 副題にあるように「面白い本の見つけ方。教えます」ですから、
 読書嫌いの人や自分に合った本を探せられない人にオススメの一冊です。

  

 著者の駒井稔さんは光文社という出版社で、雑誌の編集者を経て、
 2006年に当時画期的といわれた光文社古典新訳文庫の創刊に携わり、
 その後10年にわたり編集長を務めた、生粋の「編集者」です。
 なので、この本の中には「編集者」という仕事のことや
 海外の「編集者」事情も書かれています。
 なかでも海外の「編集者」の話を読むと、出版者に近いそんな印象を受けます。
 そういうこともあって、
 「世界の<編集者の>読書論」という章で、ほぼ3分の1占めています。

 もっともこの本は「編集者」とか「読書論」という言葉に関係なく、
 「面白い本」を紹介してくれる、読書ガイドとして読むといい。
 特に古典新訳文庫の元編集長ならではの、オススメ古典が
 たくさん紹介されています。
 私のオススメは「児童文学のすすめ」の章。
 子供の頃に読んだ児童文学をもう一度きちんと読み直してみてはと誘ってくれます。
 そこで紹介されている、『若草物語』や『宝島』といった懐かしい文学に
 読者意欲が掻き立てれました。

 この本から、あなたの次の一冊が見つかるかもしれません。

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 読書会にはいろんな進め方があって、
 私が参加している読書会は各自がオススメの本を紹介するタイプ。
 毎月一度の開催ですが、
 この8月、初めてテーマを決めて本を紹介する方法にしました。
 そのテーマが「戦争と平和」。
 さすがにトルストイの同名の本を紹介するメンバーはいませんでしたが、
 エッセイ、絵本、詩集、歴史書、児童書と多彩な本が集まりました。
 その中に、「歴史探偵」を自認していた半藤一利さんの遺作となった
 この『戦争というもの』がありました。

  

 半藤さんが亡くなったのは2021年1月。
 亡くなる直前まで雑誌「歴史街道」に連載していた作品で、
 雑誌連載時には「開戦から八十年-『名言』で読み解く太平洋戦争」という
 タイトルがついていました。
 これはエッセイですが、その内容は雑誌連載時のタイトル通りです。
 中には、これが「名言」と思えるものもありますが、
 それは半藤さんもわかっていて、
 「許しがたい言葉にこそ日本人にとっての教訓がつまっている」と書いています。

 印象に残った「名言」のひとつは、
 沖縄戦の司令官だった大田実少将のこの言葉。
 「沖縄県民斯く戦へり。県民に対し後世特別の御高配を賜らんことを」。
 これを踏まえて、半藤さんは
 「大田少将の最後の訴えは、いったいどこへいったのでしょうか。」と嘆いています。
 そんな「名言」の数々を
 死を前にして半藤さんは残してくれたのです。
 それを私たちにつなげていくように、というのが
 半藤さんの強い遺志だったのだと思います。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は二十四節気のひとつ、処暑
  暑さがおさまる頃という意味だが、
  今年はまだまだ収まるどころではない。
  寝苦しさも変わらず。
  スッキリするようなミステリーなどいいかもしれない。
  ただし、今日紹介する
  アガサ・クリスティーの『愛国殺人』は
  涼しくなるような作品ではない、残念ながら。
  いつもの霜月蒼さんの『アガサ・クリスティー完全攻略』の評価も
  ★★☆とあまり高くない。
  もっとも、私なら★は3つでもいいかな。
  ちなみに書評に書いた佐分利信さんも若山富三郎さんも
  今は亡き昭和の名優です。

  じゃあ、読もう。


  

sai.wingpen  もし日本版の映画を作るとしたら                   

 この作品は1940年に発表された、エルキュール・ポアロの長編小説としては第19作めとなる。
 原題は「One,Two,Buckle My Shoe」で、マザー・グースの童謡からとられたもので、それが『愛国殺人』という邦題に変わったのは米国版のタイトルからの翻訳だという。
 確かに、マザー・グースの童謡では意味が不明だが、『愛国殺人』というのも、少々居心地が悪いが。

 今回の事件の発端はポアロが通院していた歯科医の死。
 さすがのポアロも歯医者が苦手というのはご愛敬だが、事件の主役はイギリスの経済界を牛耳る銀行頭取の男。
 そんな男がポアロの通う歯科医にも通っていたというのも面白い。
 何しろこの男が大物過ぎて、首相と面談したりで政財界に力を持っている。
 このあたりが「愛国」とつながっている。
 しかも、この歯医者には何故か怪しい人がたくさん集まっていて、なんとも物騒な歯科医なのだ。

 この作品を読んでいて、実はこの大物の銀行頭取にあてはめていた日本の男優がいた。
 昭和の銀幕で渋い演技を見せていた佐分利信だ。
 もちろんこれは一読者としての、勝手な想像だし、お遊びだが、もしこの作品を日本のドラマに置き換えるとしたら佐分利信しかいないように思う。
 では、ポアロはと訊かれたら、若山富三郎ではどうだろう。

 この二人が対決する場面を想像してみるのも面白いが。
 あれ、これってネタバレになってしまうのかな。
  
(2023/08/23 投稿)

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レビュープラス
 映画「ケイコ 目を澄ませて」は2022年の日本映画において
 とても高い評価を得た三宅唱監督作品だった。
 その原案となった(原作ではなく)のが、
 小笠原恵子さんのこの『負けないで!』である。
 映画では惠子さん役を岸井ゆきのさんが熱演し、
 多くの女優賞を受賞した。
 映画では惠子さんが女子ボクサーとしてプロデビューし、
 デビュー戦に挑んでいく中での葛藤がメインとなっているが、
 この本ではそれ以前、
 惠子さんが聴覚障害者として育っていく中での自身の葛藤に
 多くの誌面が費やされている。

  

 惠子さんは生まれつき聴覚障害があった。
 ただ両親がそのことに気付くのは3歳を過ぎてから。
 さらに惠子さんの妹もまた聴覚障害があったことも
 惠子さんの成長過程には影響を与えたと思われる。
 入学した小学校でいじめを受けることになり、
 中学校ではついに不登校になっていく。
 高校生になると教師を殴ってしまうこともあったという。
 自身が書いた文章ではこれでも抑制されていたと思うが、
 おそらくどうしようもなく「ワル」だったのだろう。
 その当時の彼女にとって、自身の障害こそが「ワル」になる理由だったのだろう。

 そんな彼女の考え方を変えたのが、ボクシング。
 ボクシングと出会うことで、彼女は障害もまた乗り越えられることを実感したはず。
 彼女をプロのボクサーに育てたジムの会長との出会いなど
 惠子さんは決して一人ではなかったはず。
 映画とは違う、「ケイコ」誕生までのこの作品は、
 映画を観てからでも「よし!」と感じさせてくれる。

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 まだまだ暑い日が続いていて、
 畑に出かけるのはどうしても夕刻になります。
 その時分には蝉の鳴き声もさかんで
 この季節ならではの気分を味わえます。

    たちまちに蜩の声揃ふなり        中村 汀女

 さて、シカクマメの花です。
 どうもなかなかうまく花が開いた時に巡り合えません。
 早朝もダメ。
 夕刻もダメ。
 そして、これは午後3時前の花。

  20230815_141135_convert_20230820083855.jpg

 これからすると、花の表が青く、裏が白い。
 そんな花のようです。
 これからもっとたくさん咲くでしょうから
 いずれちゃんと出会えるかな。

 野菜にはそれぞれの特長があって、
 かなりユニークなのがラッカセイ
 マメ科の野菜ですが、
 私たちが口にする豆は地中で育ちます。
 そのため、子房柄と呼ばれる部分が地中に潜っていきます。
 写真で地中にもぐろうとする子房柄がわかります。

  20230819_062859_convert_20230820084013.jpg

 育て方がユニークなのがサツマイモ
 サツマイモは茎がどんどん茂る野菜で
 蔓が畝の外まではみ出していきます。
 そのため、「つる返し」という作業が必要になります。
 それくらい成長するサツマイモですから
 栽培には結構広い区域が必要なので、
 私が利用している菜園では栽培を推奨していません。
 それなのに、いつかサツマイモを栽培したいと
 ほぼ無理やり狭い場所で栽培を始めました。
 茂ってくる茎や蔓をできるだけ上に持ち上げ、
 ほぼ「つる返し」状態。

  20230819_063003_convert_20230820084233.jpg

 写真の真ん中で茂っているのがサツマイモ
 手前にラッカセイ、奥にシカクマエが見えます。
 収穫までもう少し先ですが、
 果たしてうまく育っているのやら。

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 今年の夏休みも終盤になりました。
 宿題がおわった子も、まだ終わっていない子も、
 早く学校に行きたいと思っている子も
 もっと夏休みがあればと思っている子も、
 それでも夏休みはやっぱり終わってしまいます。
 今年の夏休みはどうでしたか。
 お盆の帰省の時期に台風がやってきて、
 大変だったという子もあれば、
 コロナ禍で会えなかったおじいちゃんとかおばあちゃんに会えて
 楽しかったという子もいるでしょう。

  

 楽しかった、そんな夏休みの思い出を
 麻生知子さんの『なつやすみ』という絵本で追体験してみてはどうかな。
 この絵本では
 こうたくんの家にいとこのゆうこちゃんととしのぶくんの家族がやってくる
 そんな場面から始まります。
 こうたくんの家にはおばあちゃんも一緒に住んでいるから
 ゆうこちゃんの家族は帰省してきたのです。
 3人の子供たちは服の色のちがいで描かれています。
 見開きで描かれる家の中とか広いプール、近所の神社のおまつりで
 子供たちやその家族のみんなを探すのも面白い仕掛けのようになっています。
 色使いや視点の違いで、楽しみが倍増されるのが実感できます。

 いとこのゆうこちゃんたちがやってきて
 楽しんだこうたくん、
 ちゃんとそのことを絵日記に書いています。
 裏表紙を見たら、こっそり読めますよ。

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 この夏の高校野球もベスト8が出揃い、終盤戦となりました。
 以前なら出身地の高校を応援することが多かったですが、
 最近は有名な学校を応援することも多いようです。
 仙台育英とか花巻東とか。
 大会の正式名称は「全国高校野球選手権記念大会」。
 今年で105回となります。
 先日TSUTAYAでレンタルDVDを何気なく見て回っていて、
 この時期にぴったりの作品を見つけました。
 それが映画「第50回全国高校野球選手権大会 青春」。
 もう半世紀以上前の作品です。
 大会50年という節目に作られたドキュメンタリー映画です。
 今日は映画「第50回全国高校野球選手権大会 青春」の話です。

  

 映画「第50回全国高校野球選手権大会 青春」は
 1968年公開の市川崑監督によるドキュメンタリー映画。
 公開されたのが9月21日ですから
 大会が終わったのが8月22日ですから、
 編集作業とか大変だったでしょうね。

 市川崑監督によるスポーツドキュメンタリー映画といえば
 1964年の東京オリンピックの公式記録映画「東京オリンピック」が有名。
 その公開時には時のオリンピック担当大臣が
 「記録性をまったく無視したひどい映画」と批判して問題になりましたが、
 結果として今この映画を観ても、いい映画と思えるのですから
 市川崑監督の手腕の見事さといっていいのではないでしょうか。
 その時の同じスタッフで
 高校野球を撮ってみたいと考えたのでしょうね。
 雰囲気的には映画「東京オリンピック」と似ています。

 甲子園に出場する前の豪雪の中での練習風景など
 今観ると、貴重な映像がたくさん出てきます。
 このあたりが市川崑監督の「記録性」なんだと思います。
 確かに半世紀前なら、北国の高校は雪のため練習時間が短くて不利といわれたもの。
 それがどうでしょう。
 今回の大会でベスト8に勝ち上がった高校の3校が東北勢なのですから
 時代は変わったものです。

 映画となった第50回の大会は
 大阪の興国高校が優勝。
 現在のようなスター選手が少なかったの、
 それでも決勝戦で見知った選手を見つけました。
 それが静岡商業高校の新浦投手。
 のちに巨人のエースになった選手です。
 こういう選手をずっと追い続けていく方が
 映画的には面白かったかもしれません。

 半世紀以上前の夏の甲子園。
 あの時もそして今も、
 それぞれ「青春」そのもの。

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  『中学生までに読んでおきたい日本文学2 いのちの話』(松田哲夫 編)
 全10巻からなるこのシリーズは2010年に刊行されていますが、
 最近までこういった本が出ているのを知りませんでした。
 この夏、おそらく子供たちの夏休みに合わせてだろうと思いますが、
 このシリーズの広告が新聞に出ていて、興味を持ちました。
 日本文学といってもここでは短編が主で、
 しかも詩が収められていたりします。
 取り上げられている作者も明治の文豪から現代作家まで彩々。
 ラインナップをみているだけで読書意欲が高まります。

  

 シリーズ2巻めとなるこの本に載っている作者と作品は以下のとおり。
 石垣りん   表札 (これは詩)
 有島武郎   碁石を呑だ八っちゃん (懐かしい作者です)
 吉野せい   梨花 (作者自身の子供の死を描いています)
 森鷗外    山椒大夫 (お話としては知ってますが鷗外の作品として読むのは初めてかも)
 島尾敏雄   島の果て (島尾敏雄といえば『死の棘』が有名)
 長谷川四郎  鶴 (この巻ではこの中編がよかった)
 原民喜    夏の花 (このあまりに有名な原爆小説を読んだのも初めて)
 太宰治    魚服記 (太宰の初期の作品。やっぱり巧い)
 海音寺潮五郎 極楽急行 (こういう作者まではいっているのがうれしい)
 梅崎春生   チョウチンアンコウについて (わずか3ページのエッセイながら絶品)

 読書の面白さを堪能あれ。

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 第169回芥川賞の選評を読むと、
 乗代雄介さんの『それは誠』は受賞作に次ぐ評価を得たようだが、
 受賞には至らなかった。
 以前にも芥川賞候補となった『旅する練習』がよかったので
 それ以降乗代さんの作品に注目していたから
 残念というしかない。

  

 この作品は高校生の修学旅行を利用して
 かつて別れたおじさんを密かに訪ねていく少年の物語。
 その少年と行動を共にする三人の少年。
 さらには同じ班である三人の少女。
 彼らのキャラクターを巧みに描き分けている。
 特に主人公の少年と悉く対決する優等生の男の子がいい。
 そういったことから見て、青春小説として読んでも面白い作品といえる。
 乗代さんの作品には純文学ぽくないエンターテインメント性が感じられて、
 おそらくその点が私の好みでもあるし、
 選考委員にはその点を高く評価する人と
 作為的とする意見が対立しているといえる。

 特にラストのシーンがいい、と高い評価をしたのは吉田修一委員。
 「これまでにも数多ある青春小説の名作と並べてもまったく見劣りしない」と、
 絶賛している。
 乗代さんがこれから芥川賞を受賞するかどうかはわからないが、
 これからもこのような作品の系統を書き続けてもらいたい。

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プレゼント 書評こぼれ話

  先頃発表された
  第169回芥川賞は久しぶりに多くの関心を集めたのではないだろうか。
  受賞後も本屋さんの店頭で品切れになっていたりしていた。
  受賞したのは市川沙央さん。
  受賞作は『ハンチバック』。
  市川さん自身が重度の障害者であることが
  関心のもとであったことは否めないし、
  市川さんもそのことを正面から受け止めているように思う。
  そんな彼女の強さが作品によく出ていると感じた。
  今回の受賞作、私も久しぶりに早く読みたいと思ったし、
  読んでみて、これは結構厳しい問いかけのようにも感じた。
  それで今回の書評タイトルになった。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  問われているのは私たち                   

 第169回芥川賞受賞作。(2023年)
 作者である市川沙央さん自身が重度の障害者であることから、多くの注目を集めた作品である。
 描かれた作品の主人公もまた重度の障害者で、「私はせむしの怪物だから」と作中に出てくる。「せむし」という言葉に「ハンチバック」というルビがつけられ、それがタイトルにもなっている。
 それを自虐と呼ぶか、突き放した言い方というか、微妙だし、そのことの微妙感がこの作品をどう読むかという境界線ではないだろうか。

 障害を持った主人公の女性が「妊娠と中絶をしてみたい」と願うことは、障害者である前にまず人間としてありたいという実に単純なことだ。
 つきつめれば、これは人間の本質が書かれた作品だといえる。
 男だろうが女だろうが、健常者だろうが、障害者だろうが。
 だから、作者が障害者だから書けた作品には違いないが、書き手として想像の翼を広げれば書きえた作品ともいえる。

 芥川賞の選評で、平野啓一郎氏が「当事者性が濃厚な作品だが、(中略)今後の自由な展開の期待」と書いていたが、おそらくそれこそ市川さんの受賞の大きな意味だろう。
 多様性を認めうる社会にあって、市川沙央さんの作家性は必ず求められるはずだ。
 ただ、その一方で過激な性描写について、松浦寿輝氏が書いているように「露悪的表現の連鎖には辟易」という意見には私も同じだ。
 そこまで表現することがあったのかと思わないでもない。
  
(2023/08/16 投稿)

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 夏は昼寝がいい。
 寝苦しく夜、睡眠不足になりがちのところ
 昼寝で帳尻を合わせている。
 昼寝は夏の季語にもなっているぐらいだから、
 そう感じている人も多いのだろう。

    何はともあれと昼寝の枕出す       島谷 征良

 そういえば、「金魚の昼寝」という童謡もあった。
 「赤いべべ着た 可愛い金魚」という歌詞。
 その二番に「昼寝うとうと 夢から覚めた」と
 昼寝の気分そのままの歌詞がいい。

  

 そんな夏の昼寝に見る夢のよう、と思ったのが
 今月発売された「文藝春秋」9月特別号に載った
 沢木耕太郎さんの「特別エッセイ」を読んだ時。
 ご存じのように
 この号の「文藝春秋」は芥川賞受賞作の全文掲載の特別号で
 第169回芥川賞受賞作、市川沙央さんの『ハンチバック』が載っている。
 この作品の場合は2段組みで活字が組まれているが、
 「文藝春秋」のほとんどの記事は3段組となっている。
 ところが、今回沢木さんのエッセイは
 普通の書籍のような活字の組み方、つまり段組みではなく、
 しかも活字のポイントも他の記事より大きい。

 エッセイのタイトルは「夢ノ町本通り」。
 沢木さんが暮らす街の商店街から本屋さんがなくなっていく姿を描いて、
 では自分なら商店街にどんな店舗を置くだろうかと夢想する。

   私の夢の商店街には、新刊の書店と古書店が存在してほしい ―

 わずか9ページの短いエッセイながら、
 分厚い「文藝春秋」のたくさんの記事の中で
 もっとも目をひいた作品だった。
 まるで夏の日の短い昼寝に見た夢のようであった。
 このエッセイを読めただけでも、
 「文藝春秋」を購入した価値があるかも。

    はるかまで旅してゐたり昼寝覚       森 澄雄

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 私が利用している菜園の周辺では
 ハーブや季節の草花をお世話してくれる人たちがいて
 そのおかげで季節の花を楽しむことができます。
 これは百日草
 夏の花です。

  20230813_075019_convert_20230813090002.jpg

    これよりの百日草の花一つ     松本 たかし

 猛暑続きで
 夕方遅く水やりに畑に行く毎日、
 実は密かに楽しみにしていることがあります。
 それは、シカクマメの花の開花。
 シカクマメの花はブルーの色とか、とても楽しみにしていますが、
 まだ咲いてくれません。
 これは8月12日土曜日の夕方のすがた。

  20230812_130343_convert_20230813085925.jpg

 うっすらと青いのがわかります。
 来週には開花の姿を報告できるかな。

 週明けには台風が近づきそうなので
 キュウリトマトを育てていた畝の片付けを行いました。
 これがこの夏最後のキュウリ

  20230811_062740_convert_20230813085609.jpg

 枝木を伐採したあと、
 細かい残根がありますからそれも取り除きます。
 バケツの底が見えなくなるくらいの残根です。

  20230812_064310_convert_20230813085706.jpg

 そのあと、次の栽培のための元肥をいれて
 新しい畝づくり。

  20230812_074148_convert_20230813085857.jpg

 朝食前の、朝早い時間の作業です。

 こちらはマクワウリ

  20230812_061851_convert_20230813085827.jpg

 ここにきて、いくつも実をつけてきたので
 もうしばらく栽培を続けます。

 最後に大失敗のお話を書きとめておきます。
 ニンジンの種まきで
 6月の終わりにこんな記事を書きました。
 「その次に保湿のための籾殻を敷こうと思ったのですが。
 籾殻が手にはいりませn。
 そこで、畑の周辺にあった草の枯れた実を代用にしました。」
 籾殻によく似た色と形状なので、
 なんていいことを考えついたと自画自賛していたのですが、
 なんとその草の実からどんどん発芽してきたではないですか。
 えー?? 草!

  20230811_061710_(2)_convert_20230813085534.jpg

 写真ではわかりにくいかもしれませんが、
 まっすぐ伸びているのが草。
 これからしばらくこの畝では
 草とりをしっかりしないといけません。
 恐るべし、草の実。

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 漫画家森田拳次さんといえば、
 やはり「丸出だめ夫」が代表作であろう。
 1964年から67年にかけて「少年マガジン」に連載され人気を博した。
 ペーソスのあるギャグ漫画だった。
 その森田さんは1939年生まれで、少年時代を満州で過ごした経歴を持つ。
 敗戦時には中国奉天にいたという。
 森田さんが得意とするギャグ漫画の根っこには
 敗戦時に経験したさまざまなことがあるのだろう。
 ちばてつやさんらとともに「私の八月十五日の会」を立ち上げ、
 戦争を語る継ぐ活動にも力を注いでいるのも、
 同じ根っこから出ているのだろう。

  

 絵本『空にさく戦争の花火』は、
 高橋秀雄という児童文学者が文を書き、
 森田さんが絵を描いている。
 夏の夜空を彩る花火がきらいだった春造さんというおじいさんの話。
 どうして春造さんは花火がきらいだったのか。
 その理由がかつての戦友だった人から明かされる。
 春造さんは花火を見るたびに
 戦争中の艦砲射撃を思い出していたという。

 森田さんの絵のベースは漫画作品のように素朴なのだが、
 戦争を描く場面では黒を基調とした荒々しいタッチと変わる。
 おそらく森田さんには自分たちの世代が経験してきた戦争というものを
 次の世代にちゃんと渡しておきたいという
 強い思いがあるのだろう。
 コロナ禍があけて、
 各地の花火会場には多くの人がつめかけている。
 私たちが今見る花火が、いつまでも平和の花火でありますように。

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 作家の森村誠一さんが先月、
 7月24日90歳で亡くなられた。
 森村さんといえば元ホテルマンの経歴の通り、
 とてもスマートだった印象があります。
 多くのミステリー作品を残しベストセラー作家となり、
 晩年には写真俳句なども提唱されていました。
 でも、森村誠一さんの名前を一躍有名にしたのは
 やはり『人間の証明』ではないでしょうか。
 小説は1975年に雑誌「野生時代」に連載され、
 その後1977年に角川映画第2弾として映画化。
 大ヒットしました。
 ちなみに角川映画第1弾は以前ここでも書いた
 「犬神家の一族」です。
 今日は森村誠一さんへの追悼の意を込めて
 映画「人間の証明」の話です。

  

 映画「人間の証明」は1977年に公開された
 佐藤純彌監督作品です。
 この映画のことを知らない人でも
 今では伝説のようになった宣伝惹句、

   読んでから見るか、見てから読むか

 はなんとも秀逸で、
 最近の出版界の映画化ドラマ化の傾向にも十分使えます。
 また、

   母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?

 といった甘酸っぱいフレーズを覚えている人も多いのではないでしょうか。
 このフレーズに重なるようにして流れる
 ジョー山中さんの「人間の証明のテーマ」という楽曲もヒットしました。

 主人公の女性を岡田茉莉子さんが演じ、
 彼女の周辺に起こる殺人事件の捜査を担当する刑事役を
 松田優作さんが演じています。
 この映画は当時としては破格のニューヨークロケも敢行していて
 ニューヨーク市警の刑事役としてジョージ・ケネディが出演。
 その他、鶴田浩二さんや三船敏郎さんといった
 豪華なキャスティングもまた見どころです。

 物語は戦後の占領期での悲しい出来事を発端にして
 何十年経ってもその傷が癒えないという
 見方によってはあまりにも切ない時代背景となっています。
 それになんといっても
 西條八十の詩「帽子」をうまく作品に取り込んだ
 森村誠一さんの卓越した発想の勝利といえます。

 森村誠一さんのご冥福をお祈りします

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 2009年に刊行された(初出の月刊誌での連載は2007年から)
 西條奈加さんの連作時代小説は不思議なタイトルだ。
 『はむ・はたる』。
 文庫本版で解説を書いている作家の小路幸也さんによれば、
 フランス語の「ファム・ファタール」で、
 男にとっての「運命の女」という意味らしい。
 作中には「男を惑わす女」と出てくる。
 では、この連作時代小説がそんな女が主人公かといえばそうではない。
 6篇の作品(文庫本ではこれに書き下ろし短編がひとつ付いている)の、
 それぞれで語り手となっている、子供たちが主人公だ。

 

 彼らはともに十歳あまりで、親から捨てられ、身を持ち崩していたが、
 今は小さな集団となってもまっとうに暮らしている。
 もちろん、この子供たちの面倒を見る大人もいて、
 その家の次男である武士の青年の仇討ち物語と
 子供たちが織り成す生活が気持ちのいい世界を生み出している。
 武士の青年の仇討ちの相手こそが、「はむ・はたる」、
 つまりは「男を惑わす女」だ。

 ただもしかしたら、この作品の読み方としては
 子供たちが自由に動き回る児童文学として読むのもいいように思う。
 時代小説だから大人の読み物としてしまうのではなく、
 もっと自由に楽しめばいい。
 「ファム・ファタール」が「はむ・はたる」に変わっても
 何の不思議もないのだから。

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 作家吉村昭さんは昭和2年(1927年)東京日暮里に生まれた。
 生まれた頃から「事変」と称する戦争が続いていて、
 昭和20年の敗戦まで戦争とともに生きてきたという。
 ただ吉村さんは年齢が少し満たなかったおかげで入隊もせず、
 疎開もせずに東京に残っていたという。
 「日本人が過去に経験したことのない大戦争下の首都」で、
 庶民はどのような生活を送っていたのかを書いておくことに意味があると綴ったのが、
 この『東京の戦争』である。
 2001年に刊行されている。
 そのあと、2006年に吉村さんは亡くなっているから、
 戦争の記憶としてこの一冊が残された意義は大きい。

  

 「空襲のこと」「電車、列車のこと」「蚊、虱・・・」「戦争と男と女」
 「人それぞれの戦い」「進駐軍」「父の納骨」など
 16篇の回想記から成り立っているが、
 その一篇一篇がまるで短編小説のような雰囲気だし、
 実際ここに書かれた事実がいくつかの短編となって遺されてもいる。
 吉村さんは戦時中に母を亡くし、終戦後間もなくして父も亡くしている。
 23歳であった兄も戦争で亡くし、東京大空襲の際には多くの死体を目にしている。
 それは吉村さん固有の経験というより、
 当時の多くの日本人がそうであったといえる。
 そんな中でも、普段と変わらない生活を多くの人たちが営んでいた光景も描かれる。

 戦争がおわって78年。
 誰もが忘れかけている時代だからこそ、
 何度も読み続けていきたい。

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 本を手にする、そして読むきっかけに
 本の方から読んでくださいと声をかけられる、ということをよく耳にする。
 経済評論家山崎元さんとインディクス投資家水瀬ケンイチさんの共著となる
 『全面改訂第3版 ほったらかし投資術』という新書との出会いも
 そうだったかもしれない。
 本屋さんの新書の棚で、新刊にも関わらず(この本は2022年3月刊行)
 面陳(表紙を見せる陳列方法)されていた。
 なんといっても、「ほったらかし」という言葉がいい。
 花や野菜の栽培でもそうだが、
 普通うまく育てるにはいろいろと手間がかかる。
 それはお金の殖やし方でもそうで、
 だから本屋さんの雑誌のコーナーには必ずマネー雑誌が並んでいる。
 それが、「ほったらかし」で殖えるというのだから、興味をひく。

  

 それがどんな方法であるかは本書を読んでもらうとして、
 「全面改訂第3版」について説明しておく。
 この本のもともとの版が出たのは2010年だという。
 この時に手にしていたらと思わないでもない。
 そのあと、その改訂版が2015年に出ている。
 そして、これが3回めの改訂というわけだ。
 何度も改訂されているということは、ある程度の信頼をおけるという
 証左にもなるのではないか。

 この本には投資に関するいくつもの名言が載っていて、
 運用するかどうかはともかく、それらの言葉に接するだけも為になる。
 「投資は勝ち負けではない
 「持っていることが投資
 奥が深いぞ、投資は。

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 長田弘さんのこの詩集、『世界はうつくしいと』に収められた数編の詩になぞらえば、
 こんな言い方ができるだろう。
 平和の話をしよう。

  

 この詩集の中の一篇、「なくてはならないもの」の一節が
 7月29日の朝日新聞書評欄に紹介された。
 紹介したのは、アメリカ政治外交史を専門とする東京大学名誉教授の西崎文子さん。
 これがその一節。
 「戦争をもとめるものは、/なによりも日々の穏やかさを恐れる。/
 平和とは(平凡きわまりない)一日のことだ
 西崎さんの記事のタイトルは「平和へのリアリズム」。
 そのなかで、「冷戦下の日本で憲法9条を信じ続けたのもこのような反骨者」で、
 「同時代を語り続けた詩人」として、長田弘さんが取り上げられ、
 先の詩が紹介されている。

 平和とは何か。
 おそらくそれは人それぞれ違う概念だろうが、
 長田さんがいう「(平凡きわまりない)」ということは
 確かにそうであろう。
 あの名作、アニメ「この世界の片隅に」で描かれていた世界も
 実に「(平凡きわまりない)」ものであった。
 そして、その平和を壊してしまうものとして、戦争がある。
 詩人はもしかしたら、ある怒りをこめて書いたかもしれない。
 穏やかであることを、平凡であることをないがしろにするなと。

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 記録的な猛暑が続く今年の夏、
 それでも季節は確実にめぐって
 明日8月8日は二十四節気のひとつ、立秋

    草花を画く日課や秋に入る        正岡 子規

 近所の田の稲にも実がつきはじめました。

  20230805_083033_convert_20230806092655.jpg

 今日はうれしい報告です。
 ついにマクワウリを収穫しました。


  20230805_103748_convert_20230806093303.jpg

 思い起こせば、半年前の3月はじめ。
 種からの育苗を開始。
 ところが、うまく育たず、時期的には遅くなりましたが
 畑に直播で再開。
 もうその頃には夏野菜のほとんどは苗植えで始めていましたから
 どう芽がでるのか心配ではありました。
 葉が育ってくるとウリハムシの襲来で心配は続きます。
 おかげで葉も写真のようにボロボロになりました。

  20230805_084900_convert_20230806092945.jpg

 それでもなんとか2個収穫できました。
 写真は半分に切ったところ。

  20230805_103916_convert_20230806093426.jpg

    まんなかに種ぎつしり真桑瓜         吉田 汀史

 もちろん、食べました。
 マクワウリを食べるのは何十年ぶりかです。
 私が育った大阪では「マッカ」と呼んでいましたが、
 これはマクワウリが縮んだ呼び方だったのでしょう。
 「マクワウリ」→「マッカウリ」→「マッカ」

 3月に種から育てて、
 やはりなかなかうまくいかなかった野菜がもうひとつあります。
 ネギです。
 こちらもダメもとで畑にバラまきしたのですが、
 もしかしたらもう一歩のところまで成長してきました。
 もう一段階茎を大きくしないといけないので
 きちんと植え直ししました。

  20230805_092159_convert_20230806093050.jpg

 まだまだか細いですから、本格的な植え付けまでには時間がかかるでしょう。

 そろそろ夏野菜の収穫も終わりに近づいていて
 おそらく夏野菜のそろいぶみはこれが最後です。

  20230731_185828_convert_20230806092546.jpg

 今週末か来週にはキュウリトマトの片付けが始まります。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は原爆忌
  いうまでもなく、昭和20年のこの日、
  広島に人類初の原子爆弾が落とされた日。

    八月の月光部屋に原爆忌        大井 雅人

  この日から1週間余りで終戦となりますが、
  どうしてもう少し早く決断できなかったのでしょうか。
  そう嘆いた人も多かったことでしょう。
  今日は今話題となっている
  村上春樹さんの新訳による
  ジェームズ・サーバーの『世界で最後の花』を紹介します。
  この本が1939年に刊行されたことに驚くとともに
  それから100年近く経っても
  人間は戦争をやめることがないということにも
  深い悲しみをおぼえます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  大人に読んで欲しい絵本です                   

 「本書は絵本という体裁をとっていますが、決して子供のためだけに書かれた本ではありません。」
 これは、この絵本『世界で最後の花』を訳した村上春樹さんが「訳者あとがき」に記した文章です。この文のあとに、こうあります。
 「「大人のための寓話」とした方が、作者の真意はより正確に伝わるかもしれません。」
 もし、この絵本を絵本だから子供が読むものを思わないで下さい。
 むしろ、大人である読者こそ、手にして欲しい一冊あることは間違いありません。

 この絵本が刊行された1939年はナチス・ドイツがポーランドに侵攻して第二次世界大戦が勃発した年です。
 そんな時、「みなさんもごぞんじのように、第十二次世界大戦があり」という一文で始まる絵本が刊行されていたという事実に驚きます。
 「第十二次世界大戦」。これは誤植ではありません。
 この大戦によって、人類は滅亡寸前までいきます。
 人間にはもう気力すら残っていません。
 そんな世界で、一人の若い娘が「世界に残った最後の花」を見つけます。
 唯一彼女の話を聞いてくれた若者と花を育てていきます。
 二人は忘れていた「愛」を取り戻しました。
 やがて、人間はまた生き生きと活動を始めます。
 集団ができ、互いに主張を始めます。
 そして、また…。

 この絵本の冒頭に、作者のジェームズ・サーバーが娘ローズマリーに宛てた言葉が載っています。
 「君の住む世界が、わたしの住む世界よりもっと善き場所になっていることをせつに願って」
 私たちは彼の言葉にちゃんと答えられたのでしょうか。
  
(2023/08/06 投稿)

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 明日8月6日は78回めの広島原爆の日

    子を抱いて川に泳ぐや原爆忌        林 徹

 あの日人類が初めて経験する悲惨の業火で何十万という人が亡くなりました。
 それから数日して長崎にも落とされた原子爆弾。
 あれから78年。
 二度とあってはならない過ちだが、
 ロシアによるウクライナ侵攻では何度も核による威嚇が行われています。
 戦争はしてはいけない。
 ましてや核の使用なんてありえない。
 今日はそんな思いもあって、
 映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の話です。

  

 映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」は2019年に公開された
 片渕須直監督によるアニメ映画です。
 タイトルでわかるように
 この映画は2016年に公開され、その年のキネマ旬報ベストテン1位に輝いた
 アニメ映画「この世界の片隅に」に
 新たに40分の映像を追加した作品でアニメとしては異例の160分以上の
 長い作品になっています。

 原作はこうの史代さん。
 こうのさんの優しいタッチが見事に再現され、
 しかも前作公開時には戦中の広島や呉の様子がとてもリアルだったことも
 高評価につながりました。
 そしてなんといっても、主人公すずの声を担当したのんさんがいい。
 絵がうまいこと以外はとても平凡でおっとりしているすずという女性を
 実に見事に声で表現している。

 映画では次第に戦争が拡大して
 どこにでもあった暮らしがどんどん変わっていく様を
 声高ではなく、静かに描いていく。
 おそらくあの当時の多くの日本人はそんな暮らしをしていたのだろう。
 軍港の街・呉に襲いかかる連日の空襲。
 そして、広島への原爆の投下。
 すずと彼女とともに生きる人たちは
 それでも前を向きます。
 生きるということは、そういう平凡な営みを続けることなのでしょう。

 すずたちのような「この世界の片隅に」生きている人たちに
 「(さらにいくつもの)」世界があったのは間違いありません。
 そして、それは今も、ウクライナで、世界のあちらこちらで
 起こっています。

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 朝日新聞の書評欄は毎週土曜日の朝刊に載る。
 その中に、「著者に会いたい」というコーナーがあって、
 新刊とその作品と著者のあれこれがコラム風にまとめられている。
 合わせて、著者の近影も載っている。
 7月22日のそれに、この『桃を煮るひと』が取り上げられ、
 著者であるくどうれいんさんの近影まで載っていて、
 ちょっとうれしくなった。
 作者の写真をネットで検索することはないが、
 たまたまこうして目にすると、うれしい。

  

 くどうれいんさんは芥川賞候補作となった『氷柱の声』以来、
 気になっている作家だし、
 エッセイの、ほんわかだけどとても現代的で、
 しかもその視点がとても大きく感じる文章も好きだ。
 それはこの食べ物エッセイでもある『桃を煮るひと』でも感じる。
 もともとは日本経済新聞での連載が主だから、
 ひとつひとつは短いが、とてもおいしいものを食べた気持ちになる。
 口当たりがいいのだ。

 そのうちのひとつ、「んめとこだげ、け」というエッセイがある。
 このタイトルは著者が祖母からよく言われた言葉で、
 「おいしいところだけ食べなさい」という意味。
 このエッセイの最後にこうある。
 「いずれすべて朽ちる。そうであればなるべくおいしいところを選んだほうがいい。
 文章も同じだろう。
 くどうさんのエッセイは「んめとこだらげ」。

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 歴史を作っていったのは、特に戦国時代は多くの男であったといえるかもしれない。
 しかし、鎌倉時代の北条政子だけでなく、
 実は男の世界を支えた多くの女性がいたのも事実だろう。
 歴史を動かしたのは、女性たちであったといえば大げさかもしれないが、
 彼女たちがいたからこそ男たちは戦い、そして歴史を作れたのいえる。

  

 徳川家康の場合、特に知られているのが信長から処罰を求められたとして知られる築山殿
 現在放映中のNHK大河ドラマ「どうする家康」では
 聡明で優しい女性として描かれていたが、果たしてどうだったろう。
 彼女以外にも側室が当然いて、
 村木嵐さんの『阿茶(あちゃ)』は家康がもっとも信頼を寄せたといわれる
 阿茶局を描いた歴史小説である。

 村木さんの作品での阿茶は
 のちの第2代将軍秀忠の生母である於愛の方(西郷局)と親交を結び、
 彼女の穏やかな性格に強く魅かれていく。
 その影響もあって、阿茶は禁教となる基督教にも興味を示したように描かれている。
 そのあたりの事情は詳しくわからないが、
 歴史の事実と事実の隙間をどのようにして埋めていくかということこそ
 歴史小説の醍醐味といえる。

 大河ドラマ「どうする家康」では、まだ阿茶の配役は発表されていない。
 登場するのかどうか含めて、楽しみだ。

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 他人(ひと)の気持ちなどわかるはずがない。
 何故なら、自分の気持ちでさえわからないのだから。
 だから、他人(ひと)とどのように接していいのかわからない。
 そんなこと素直に言える訳ないのだが、
 そんな感情をすっと書けてしまうから、高瀬隼子(じゅんこ)という作家は
 読者を引き付ける。
 高瀬さんの作品を読んで、うなづいている読者は多いのではないだろうか。

  

 この『いい子のあくび』には、表題作である中編「いい子のあくび」のほか、
 短編「お供え」「末永い幸せ」の2篇が収録されている。
 表題作「いい子のあくび」は、高瀬さんが『犬のかたちをしているもの』で
 2019年にすばる文学賞を受賞後第1作として発表された作品。
 つまりは芥川賞を受賞した『おいしいごはんが食べられますように』より前の作品にあたる。
 高瀬さんがあるインタビューで、
 「むかつきながら書いていた」と述べているが、
 そういった作者の感性がストレートに出た傑作だと思う。

 主人公は子供の頃より「いい子」として育った直子。
 会社員として働き出しても、彼女は「いい子」であり続ける。
 しかし、その一方で内面では下品な言葉を発す、時にそれをノートに書きとめたりしている。
 直子はスマホを見ながら歩いてくる人間が許せない。
 「いい子」の彼女はそんな人間が来たらよけるが、
 もう一人の彼女はそんな人間がいたらよけずにそのままあたる。
 悪いのは、スマホに夢中に顔を上げない人間ではないか。
 そういう「むかつき」は彼女の周りにあふれている。
 「いい子」はそんな「むかつき」を隠そうとするが、
 直子の「いい子」という仮面はついにやぶれてしまう。

 高瀬隼子さんが描く世界は表題作だけでなく、
 他の短編もまた多くの共感を呼ぶだろう。
 私も、実は、そうなんだと。

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