fc2ブログ
 「官能」という言葉を『広辞苑』で調べると、
 「感覚器官の機能」と実にそっけない説明がはじめに出てくる。
 その次に「特に性的感覚をいう」とあって、ようやくよく使う意味にたどりつける。
 「官能的」という言葉の説明には「肉体的な欲望をそそるさま」とあるから、
 「官能小説」というのは、本来「官能的」な「小説」を指すのであろう。
 小池真理子さんの『ソナチネ』は、
 平成19年(2007年)から平成25年(2013年)にかけて
 小説誌「オール讀物」に発表された7篇の官能短編作品集だ。

  OIP_(11)_convert_20231126094804.jpg

 官能小説といってもあからさまな性愛が描かれるいるわけではない。
 表題作である「ソナチネ」は、ピアノのレッスン教師である女性と
 彼女が教えている富豪の家の厄介者ともいえる男性の
 偶然の出会いと演奏を聴きながらの二人の絡み合う視線を描いている。
 女性はただそこにいるだけで「叫び出したくなるほど、けだもののように発情」している。
 この時二人が聴いているのが「ソナチネ」。
 素朴な音調の中での燃え上がる官能といったところだろうか、
 小池真理子さんの巧みな設定といえる。

 絡み合う視線といえば、冒頭の「」という短編にも出てくる。
 夫と彼の仕事仲間の女性との見つめ合いを見て、妻にはそれが
 「視線と視線の、まごうことなき性交のようなもの」に思える。
 これこそが官能の極致ともいえる。
 他に指圧院に通ううちに閉じこめていた自身の快楽に目覚める女性を描いた
 「千年萬年」など読み応え十分な作品集である。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
プレゼント 書評こぼれ話

  今年も残りわずかとなってきました。
  そして、アガサ・クリスティーの名探偵ポアロの長編小説も
  残すところあと3作。
  今日はそのうちのひとつ、『複数の時計』を紹介します。
  いつもの霜月蒼さんの『アガサ・クリスティー完全攻略』での評価は
  最低の
  ポアロものの長編小説でこれだけ低い評価は
  『ビッグ4』とこの作品だけ。
  しかも、「これは、ひどい。」とまで書かれています。
  ひどいことはひどいけれど、ここまで酷評しなくても。
  ただ思うのは、あえてポアロものにしなくても
  作品としては成立したのではないかな。

  じゃあ、読もう。

  OIP_(10)_convert_20231126094743.jpg

sai.wingpen  ポアロ、元気がありません                   

 1963年に発表された名探偵エルキュール・ポアロの長編小説29作めの作品。
 原題は「The Clocks」で、『アガサ・クリスティー完全攻略』を書いた霜月蒼氏はこれに『複数の時計』と邦題をつけたのは見事としているが、どうも邦題も原題も気にいらない。
 あまりにもそっけないタイトルにアガサ・クリスティーの熱意が感じられない。
 それはタイトルだけではない。
 この作品のポアロはまるでどこか体の具合でも悪いのか疑いたくなるほど精気がない。
 もちろん、ポアロが活躍する作品だから、事件の解明は彼が行うのだが、どうも覇気を感じられないのだ。
 アガサはこの時73歳。さすがに旺盛な執筆はできなくなってきた感じだ。

 事件は派遣タイピストの依頼から始まる。
 出かけた先にあった男の死体。彼は誰なのか? 何故殺されていたのか?
 死体のそばには、同じ時刻を指示した「複数の時計」が置かれて。
 しかも、死体のあった家の主はタイピストの派遣など頼んでいないの証言。
 深まる謎の事件に関わってくるのが、秘密情報部員の男で、どうも彼はある任務のため、殺人事件があった街を調べていたようなのだ。
 さらに起こる第二、第三の殺人…。

 事件を解くカギとなるのが、タイピスト会社に勤める女性(彼女はのちに殺されるのだが)のヒールのとれた「かかと」。
 これだけですべての謎が解けるはずもないが、大いにヒントにはなるはず。
 それにしても、ポアロはどうしてしまったのだろう。
  
(2023/11/29 投稿)

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
プレゼント 書評こぼれ話

  直木賞作家の伊集院静さんが
  11月24日、73歳で亡くなりました。
  追悼記事を綴るほど、伊集院静さんの作品を読んできた訳でもなく、
  若くして亡くなった女優の夏目雅子が前妻で
  同じく美人女優であった篠ひろ子さんが現妻という
  かなりミーハー的な興味しかありませんでした。
  このたびの逝去で、氏の業績を知るうちに
  もっと氏の作品を読んできたかったと感じました。
  そこで手にしたのが伊集院静さんが直木賞を受賞した短編集
  『受け月』です。
  こんなに情感に溢れた作品を書く作家に気づくことなく過ごしてきたことに
  伊集院静さんが作詞したタイトルそのものの「愚か者」だと
  悔やんでいます。
  これからも、機会があれば、
  伊集院静さんの世界をたどってみたいと思います。

  ご冥福をお祈りします

  OIP_(12)_convert_20231126174557.jpg

sai.wingpen  男を泣かせる短編集                   

 第107回直木賞受賞作。(1992年)
 表題作である「受け月」をはじめとした7篇の短編を収めた作品集で受賞。ほとんど満票に近い受賞といっていい。
 選考委員の一人、井上ひさし氏などは「多言を要すまい。とてもよくできている」「これは立派な一冊」と絶賛している。
 「すでに伊集院静の世界、という独自の世界がはっきりできあがってしまっている」と選評を書いたのは五木寛之委員。伊集院静さんの足跡をたどると、すでに楽曲「愚か者」で日本レコード大賞作詞賞を受賞(1987年)していて、新人というにはほど遠い実力を持った書き手であった。

 7つの短編ともに「野球」が作品の核として採用されている。発表当時はまだまだ「野球」人気が高く、伊集院静さんも野球青年でもあった。
 「受け月」には熱血指導が時代に合わなくなり実業団の監督を味追われるように引退する老いた男が描かれている。今まで自身の力だけを信じた男が最後に神に祈るようにして、天上の月に頭を下げる場面など、伊集院さんの小説家としての巧さが光る。
 7つの短編にはそれぞれ好みがあるようで、複数の委員は「切子皿」を挙げている。
 私の好みでいえば、冒頭におかれた「夕空晴れて」だが、少年野球の監督は今は亡き夫の後輩であり、若い頃の思い出で涙する場面、田辺聖子委員によると「男性読者には受けるだろう」と読まれるあたり、なんだか田辺聖子委員に脱帽する。
  
(2023/11/28 投稿)

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
 今年は暖冬の予想も出ていますが、
 それでもさすがに師走も近くなってくると
 街なかの紅葉も進んできました。
 近くの公園の銀杏も色づきました。

  20231124_102259_convert_20231125170632.jpg

    一色に大樹の銀杏落葉かな        小沢 碧童

 この秋、ダイコンの栽培で実験をしたのを覚えていますか。
 ダイコンの栽培は普通マルチに穴をあけ、
 そこに4粒ほどの種を蒔き、芽が出て大きくなってきたら間引きをします。
 つまり、マルチに開けたひと穴に1本のダイコンを育てます。
 今回間引きをしないで育ててみようと
 いくつかの栽培で実験したみました。
 途中まったく育たなくなって断念したものもありましたし、
 ひと穴で3本育てようとしたもののやはり1本が育たなくなり
 2本で実験を継続することにしたり。
 そのダイコンが育ってきたので
 11月25日(土曜日)に収穫しました。
 まず、これが一つのマルチ穴から2本のダイコンが首を出しているところ。

  20231125_110237_convert_20231125170523.jpg

 そして、これが収穫した2本のダイコン

  20231125_115720_convert_20231125170559.jpg

 1本はとてもりっぱに育ちました。
 実は今まで採れたダイコンよりこのダイコンは大きく
 1kg近くありました。
 そして、もう1本はやはり小さくて300gほど。
 実験の結果、間引きをしなくても成長することはしますが、
 やはり1本ずつ栽培する方がいいように思いました。
 今回の小さいダイコンはオマケみたいなもの。
 ちょっと得したかな。

 こちらは春から種で栽培してきたネギ

  20231119_123022_convert_20231119160306.jpg

 ここまでよく育ったものです。

 この土日は風が冷たく、冬本来の寒さになったので
 トンネル栽培を始めました。

  20231125_115352_convert_20231125170454.jpg

 右側のビニールで覆っているのがそれで
 中にカブホウレンソウシュンギクの種を蒔きました。
 近くの畝に冬越し野菜のニンニクエンドウを育てているので
 いつもと違う向きで栽培をすることにしました。
 こうみえて、結構考えているんですよ。
 それでうまくいくかどうかは、別ですが。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 イスラエルとパレスチナのガザでの戦闘の映像を見るたびに
 人間とはなんとも酷いことをするものだと暗澹となります。
 受けた恨みをただ耐えることなどできないのかしれません。
 奪われた、奪い返す、また奪われる、また奪い返す・・・。
 だとしたら、戦争が収まることはないのではないか。
 今回中東で起こった戦争の様相があまりに酷いこともあって、
 ロシアによるウクライナ侵攻の関心が薄まっていくことも懸念しないといけません。
 無関心ほど、攻めていくものにとって好都合なことはありません。
 ロシアがウクライナに侵攻を始めたのは2022年2月。
 間もなく2年になります。
 2年というのがどれだけの時間なのか、
 あの朝砲撃の音で目を覚ました人がペンをとり、
 イラストレーターが絵を描き、一冊の絵本に仕上げる。
 その絵本が日本に渡って、翻訳者によって日本語に訳され、
 日本の読者に届く。
 一冊の絵本が生まれるのがどれだけ大変なことか、
 それが2年という時間なのだと思います。

  9784811330860-thumb-200xauto-13286_convert_20231124152645.jpg

 『いえ あるひせんそうがはじまった』は、
 そうして生まれた絵本です。
 カテリナ・ティホゾーラという人が文を書き、
 オレクサンドル・プローダンという人が絵を描き、
 すぎもとえみさんが訳しています。
 爆撃で家を失った人たちがどんな思いで助けを求めて生きていくのか、
 それはウクライナだけでなくガザ地区で生活をする人たちもそうだし、
 世界中にはきっとたくさんの家を失った人たちがいることでしょう。
 その人たちのことに心を寄せること、
 何もできないのではなく、関心をもち続けることも大事だと
 この絵本は教えてくれます。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 今週紹介した『天災ものがたり』の著者門井慶喜さんは
 2017年に2017年に第158回直木賞を受賞した直木賞作家です。
 受賞作は『銀河鉄道の父』。
 この作品は宮沢賢治の父である政次郎の目を通して
 賢治とその家族を描いた作品で
 このブログでは2017年12月2日に書評記事を書いています。
 その時の書評タイトルは「注文の多い息子に父はどう対処したか」で、
 「もしかしたら政次郎こそ宮沢賢治になりたかったその人なのかもしれない。」と
 書いています。
 その受賞作が宮沢賢治没後90年(賢治が亡くなったのは昭和8年1933年)となる今年、
 映画化されました。
 そして先日DVDで解禁がされ、早速観ました。
 今日は映画「銀河鉄道の父」の話です。

  OIP_(9)_convert_20231124083451.jpg

 映画「銀河鉄道の父」は2023年5月に公開された
 成島出監督作品です。
 成島監督は「八日目の蝉」(2012年)を撮った監督で
 この作品で日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞しています。
 主人公である宮沢賢治の父政次郎を演じているのは役所広司さん。
 役所さんといえば、今年のカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した
 日本映画界屈指の俳優。
 宮沢賢治を演じるのは菅田将暉さんで、
 この二人の演技が見ものです。
 特に賢治が臨終の際に
 父政次郎があの有名な詩「雨ニモマケズ」を絶叫する場面は
 ぐっと来るものがあります。

 賢治の妹トシは森七菜さん、
 母親イチを坂井真紀さんが演じています。
 幼い頃から賢治を溺愛した政次郎、
 賢治の死の間際で片時も離れず看病するそんな夫に
 イチは自分にも世話をさせて欲しいと強くいいます。
 自分は母なのだからと。
 この場面、とても印象に残りました。
 「銀河鉄道の父」は「銀河鉄道の母」を描いた作品でもあったのです。

 宮沢賢治を描いた映画は
 賢治生誕100年を記念して1996年に作られた
 「宮沢賢治 その愛」(神山征二郎監督)があります。
 この時の賢治役は三上博史さん、
 父親政次郎は仲代達矢さんが演じていました。
 そういえば、仲代達矢さんと役所広司さんは師弟関係でしたね。
 こちらは新藤兼人さんが脚本を書いていて
 こちらの映画もよく出来ていますから
 オススメの1本です

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 師走が近づくと、喪中はがきが届きだす。
 年を重ねていると、届く喪中はがきも多くなる。
 父を亡くしました、母を亡くしました、というのが圧倒的に多いが
 中には妻や夫を亡くしましたというものもある。
 一枚のはがきながら、そこにどれほどの哀しみが詰まっていることか。
 今年子供の頃から大変可愛がってくれた叔父と叔母夫婦が亡くなった。
 ともに90歳を超えて長寿であったことがせめてもの慰めであったが、
 やはり愛する人、親しい人を亡くすのは悲しいし、切ない。

  OIP_(8)_convert_20231119205156.jpg

 イギリスの神学者ヘンリー・スコット・ホランド
 42行の詩1篇を収めただけの『さよならのあとは』は、
 1ページに1行や2行印字され、あとは余白と
 絵本作家の高橋和枝さんの小さなイラストでできあがっている。
 それだけの本なのに、
 どうしてこんなに心を揺さぶられるのだろう。

 詩の内容もそうであるが、
 実はこの本が生まれた経緯も胸打たれる。
 この本は「ひとり出版社」夏葉社を立ち上げた島田潤一郎さんが
 亡き従兄を思って、この詩を本にしたくて
 2012年に自身の出版社の最初の一冊として出版したものだ。
 この本の最後の「あとがきにかえて」という短い文章に島田さんは
 「早世した愛する従兄」に「ありがとう」と綴っている。

 亡き従兄がどれだけ自分を愛してくれていたか、
 そのことに気がついた時島田さんはきっと悲しみから立ち上がったのでしょう。
 喪中はがきは悲しいけれど、おそらく残された人たちもみな
 ゆっくりと立ち直っていくことを願っています。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 「ドラマを盛り上がるのは落差」といわれることがある。
 たとえば、主人公が活躍するドラマを描きたい場合、
 主人公を徹底的に苦しい立場に追いやること、その苦しさが厳しいほど
 その後の展開によりドラマチックになるというもの。
 『みをつくし料理帖』で人気を博した高田郁(かおる)さんは
 もともとが漫画原作者ということもあって、
 そういうドラマ作りには長けている作家だといえる。
 だから、読者は『みをつくし料理帖』の展開に涙し、
 主人公たちに声援を送った。

  OIP_(7)_convert_20231119205132.jpg

 そして、そのあとにシリーズ化される
 この『あきない世傳 金と銀』も同様のドラマ作りとなっている。
 シリーズ最初の巻である「源流篇」では、
 主人公となる少女・幸(さち)の不幸の始まりが描かれる内容になっている。
 物語の舞台は江戸・享保の時代。
 学者の父、働き者の母、優しい兄、可愛い妹といった家で育った幸であったが、
 兄と父が続けざまに亡くなり、母と妹とも別れ。
 大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に女衆として働きに出ることになる。
 この時、幸はまだ9つ。
 なんとか雇われたものの「五鈴屋」にも暗雲があって、
 あとをとって長男徳兵衛の出来が悪く、次男も根性がきつく、
 三男は優しいものも商売が苦手。
 徳兵衛に迎えた嫁もわずかな年月で里に帰ってしまう。
 はたして、幸はどうなるのか。

 たくさんの不幸が描かれているが、
 それでも幸を助ける人物の配置もなされているし、
 幸の心の灯りとなる言葉も散りばめられている。
 だからだろう、幸はどうなる? 「五鈴屋」はどうなる? と
 読者は続きが読みたくなる。
 私も、もちろん、その一人だ。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 今日11月22日は、いい夫婦の日
 そこで、今日は「波瀾万丈おしどり夫婦」と副題のついた
 谷口桂子さんの『吉村昭と津村節子』という本を紹介しましょう。

  355241_l_convert_20231121163613.jpg

 吉村昭さんは1927年東京に生れ、何度も芥川賞の候補になるが受賞に至らなかったが、
 『星への旅』で太宰治賞を受賞、その後『戦艦武蔵』などの記録文学を確立し、
 多くの読者を持つ作家。2006年に79歳で逝去
 津村節子さんは1928年福井に生れ、学生時代から創作活動に熱心で
 吉村との結婚の際には執筆の継続を条件にしたほど。
 1965年に『玩具』で芥川賞を受賞。その後も旺盛に作品を発表し続け、
 吉村の死後は彼とも思い出をいくつかの文章として発表している。
 「夫婦で小説を書くのは地獄」とまで言われた小説家夫婦の、
 これはとてもユニークな夫婦評伝である。

 「ここで死にましょうか」、なんとも衝撃的な書き出しで始まるこの評伝は、
 二人が結婚して間もなく、冬の北海道で行商をしている姿を描きだす。
 きちんとした仕事につかず、書くこともままならない吉村はこの時27歳、
 そんな吉村の熱烈な求婚に押し切られた津村は26歳。
 この夫婦の始まりは、とても厳しい。
 書けないことでイラつく夫は妻を罵倒し、時に手もあげたという。
 のちに、「おしどり夫婦」と称賛されることになる夫婦の意外な一面である。
 何故吉村はそこまでして書くことに拘ったのか。
 もちろん、書きたいという作家魂があったが、書くことで妻や家族を養っていくのだという
 男の矜持が強かったようだ。
 ただ、谷口さんはこの二人の夫婦ケンカについて、こうも綴っている。
 「気持ちをごまかさずにぶつかり合ったからこそ、真のおしどり夫婦になれたのかも」と。

 吉村昭にしろ津村節子にしろその作品もまた、気持ちをごまかさない、そんな作品だといえる。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 「天災は忘れた頃にやってくる」というのは
 科学者で随筆家の寺田寅彦による言葉といわれる。
 しかし、最近では天災は毎年のようにやってくるといいたいくらいだ。
 特に夏になると必ず起こる水害。
 日本全国どこで起こって不思議でないくらいに、
 毎年水につかった街や田畑の映像を見ることになる。
 直木賞作家門井慶喜さんの『天災ものがたり』は
 過去のさまざまな時代と場所で起こった6つの天災を
 物語にした短編集だ。

  OIP_(6)_convert_20231117111710.jpg

 昭和38年の裏日本豪雪(いわゆる三八豪雪)を描いた物語の最後に
 こんな文章が書かれている。
 「現代は、天災でないものを天災にしたのだ。」と。
 「人類がますます進歩するにつれて、また新たな種類の天災が生まれ出るかも」。
 最近の天候異変は、まさに地球温暖化という
 人類の進歩が生んだものかもしれない。

 この短編集には、
 ほかにも天文11年の甲府洪水、明治29年の三陸沖地震、寛喜2年の大飢饉、
 宝永4年の富士山噴火、明暦3年の江戸大火といった天災が描かれている。
 描かれた災害は事実だから、その意味では歴史小説でもあるが、
 登場する人物などは門井さんの創作によるものだから時代小説ともいえる。
 フィクションをあえて組み入れることで、
 天災によって生まれた悲劇やそれに対応した人々の苦しみなどが
 より実感できたように感じる。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 今回は、まず一枚の写真から。
 これ、何だかわかりますか。

  20231119_131626_convert_20231119160404.jpg

 実はこれ、シカクマメの根なんです。
 イモと呼ばれることもありますが、
 正式には塊根(かいこん)といいます。
 塊根というのは、調べると
 植物の根の一部が肥大生長して塊状となったもので、
 サツマイモダイコンも実はこれにあたるそうです。

 昨日の日曜(11月19日)、そろそろシカクマメを撤去しようと
 畝から抜き始めたら、どうも根のあたりに膨らみが見えます。
 あれ? なんだろうと掘っていってもなかなか抜けません。
 これが土の中に埋まっている状態。

  20231119_112425_convert_20231119160140.jpg

 豆科の野菜はこれまでも何度も育てていますが、
 こんな根は初めて。
 シカクマメが莢や実だけでなく、根まで食べられるとは聞いていましたが、
 実際現物を目にするのは初めて。
 まるでゴボウを収穫しているかのよう。
 これを持ち帰って、塩ゆでにして頂きました。
 これがなんと、おいしいのです。
 ラッカセイを塩ゆでにした時の味に近い、
 うーん、でもちょっとイモ系のようでもあるし。
 シカクマメそのものがをあまりスーパーとかで見かけませんが、
 その根となるとこれはとっても貴重。
 今年の菜園は、シカクマメだけで十分楽しませてもらいました。

 この日はスナップエンドウの種を蒔きました。

  20231119_110414_convert_20231119160104.jpg

 今回は紫の莢がなるスナップエンドウの種も半分蒔いてみました。
 春になったら、どんな莢をつけるのか、楽しみです。

 シカクマメを撤去した畝の半分には
 ウスイエンドウの種を蒔きました。
 ウスイエンドウは実エンドウの品種で
 私の出身地関西ではよく食する豆です。

  20231119_115517_convert_20231119160215.jpg

 写真の手前の畝にはニンニク
 その奥の畝にはタマネギが植えられています。

 この日は玉レタスキャベツ
 それとダイコンの収穫ができました。

  20231119_131723_convert_20231119160434.jpg

  20231119_131843_convert_20231119160506.jpg

 キャベツはしっかりと巻いていて
 これでほぼ1kgあります。

 それにしても
 世の中にはまだまだ知らないものが
 たくさんあるものです。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 この絵本の絵を見て、
 あ、これ、あの本の表紙の絵とそっくり、と気がついた人も多いかも。
 そう、この『スープとあめだま』の絵を描いたのは、
 2019年に刊行され話題となったブレイディみかこさんの
 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の挿画を担当した
 中田いくみさん。
 そして、文を書いたのはブレイディみかこさんですから、
 強力コンビによる絵本といえます。

  OIP_(5)_convert_20231117111301.jpg

 内容も深い。
 ホームレスの人たちを助けるボランティに出かける姉について家を出た男の子。
 でも、なんだか不安。
 ホームレスって? ボランティアって何をするの?
 最初は何もわからず、ホームレスの人が死んでるなんて思ったり、
 彼らの匂いにとまどったり。
 なんとなくうろうろいていると、スープを配ってといわれて。
 おずおずと。
 そんな男の子の差しだすスープに、ホームレスの男性が「いきかえったようだ」と、
 お返しに男の子にくれた、ひとつのあめだま。
 タイトルはここから採られています。

 男の子はそのひとつのあめだまが、
 とても小さいけれど、とれも暖かい「いのちをつなぐ」ものだと知ります。
 中田さんの絵は物語と同じようにほとんど色が抑えられていますが、
 きっとそんな世界にもっと多くの色をつけるのは
 この絵本を読んだ私たちなのでしょう。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 若い頃の記憶はぼんやりしているが、
 不思議と覚えていたりすることがある。
 ただそれは後追いに上書きされたものかもしれず、
 きわめて自信がない。
 昭和46年(1971年)11月20日に始まった
 日活ロマンポルノの公開の新聞広告もそのひとつ。
 もう半世紀も前のことだ。
 私は16歳の少年だった。
 それでも記憶に残ったのは
 ときめくようなタイトルと半裸の女性の画像がせいだったのだろうか。
 この時、公開されたのは
 白川和子さん主演の「団地妻 昼下りの情事」と
 小川節子さん主演の「色暦大奥秘話」の2本。
 今日はそのうちのひとつ、
 「色暦大奥秘話」の話です。
 この作品を観るのは初めてで、つまりは50年以上経って、
 日活ロマンポルノの最初の作品を観たわけですが、
 それもアマゾンプライムでの視聴ですから
 時代は変われば変わるものです。
 16歳の少年も今や68歳の高齢者ですもの。
 やれやれ。

  OIP_(2)_convert_20231112083837.jpg

 映画「色暦大奥秘話」は1971年公開の
 日活ロマンポルノの第1作作品です。
 監督は林功で、主演の小川節子さんはこの作品がデビュー作。
 小川節子さんはこの時二十歳で、
 「脱ぐ」ということや「からみ」ということには
 きっと勇気がいったことだと思います。
 けれど、作品にはそういう初々しさがうまく生きていたと思います。

 この時同時公開された
 白川和子さんの「団地妻 昼下りの情事」が現代ものの作品である一方、
 この作品はタイトルのとおり
 江戸時代の大奥を舞台にした時代劇で
 女優さんたちの衣装とか武家屋敷の舞台の設定など
 さすが大手の映画会社だった日活の貫禄を感じさせます。
 おそらく当時の現場の人たちにとって、
 ポルノ映画を作ることになったが、
 映画人としての誇りは失うまいという気概があったと思います。
 その心意気がその後の日活ロマンポルノの高い評価につながっていき、
 今につながる若い人材を大勢生み出すことになるのです。

 この映画が「成人映画」だったので
 当時16歳だった私はこの映画の公開時には当然観ることができなかったのですが、
 はて、最初に日活ロマンポルノを観たのはいくつの時だったのか
 その記憶もおぼろ。
 もしや、18歳未満だった?

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
プレゼント 書評こぼれ話

  先月の半ば、
  直木賞作家の白石一文さんの新刊が出ました。
  タイトルは『かさなりあう人へ』。
  その広告にこうありました。

   直木賞受賞作『ほかならぬ人へ』から14年。
   出会いの神秘を問う白石恋愛文学の到達点。

  なんかぐぐっと引き寄せられました。
  あ、でも、まだ直木賞を受賞した『ほかならぬ人へ』を読んでいないので
  まずはそこから。
  ということで、直木賞を受賞したのは2009年で、
  今頃読むのは少し恥ずかしいですが、
  やっぱりここから読まないと。

  じゃあ、読もう。

  OIP_(4)_convert_20231115213953.jpg

sai.wingpen  渡辺淳一も認めた恋愛小説                   

 第142回直木賞受賞作(2009年)。
 受賞作『ほかならぬ人へ』は単行本のページ数でいえば180ページほどの中篇小説で、単行本にはもう一篇『かけがえのない人へ』と、表題作とよく似たもう少し短い作品が収められている。
 直木賞は『ほかならぬ人へ』という単独の作品に与えられたのではなく、もう一篇も収めた一冊の中篇集が評価されたようだ。
 この時の選考委員の一人である宮部みゆき氏などは二つの中篇の登場人物である女性をさも同じ人物であるかのように読み違えをしたことに陳謝しているほどで、なるほど、よく似たタイトルをつけると、さすがに著名な作家であっても読み間違えることもあるのかと、微笑ましく感じた。

 ただ、二つの作品はタイトルこそよく似ているが、作品の構造はまったく違う。
 やはり表題作である『ほかならぬ人へ』の方が少し長いだけ構造が複雑で、その分作者が描こうとした愛の世界に広がりがでたように思う。
 主人公の明生は資産家で名家の三男。兄二人の出来がいい一方で、明生は自身生まれそこないとずっと思いつづけてきた。
 そんな明生は一挙に魅かれた女性なずなと結婚するが、彼女にはずっと思い続けた男がいて、その男が離婚したと聞いたなずなは明生から離れていく。
 失意の明生を救ってくれたのは、会社の先輩であった東海さん。次第に東海さんに魅かれていく明生。
 それだけの関係でなく、そのほかいくつもの恋愛模様が描かれている。

 恋愛小説といえば、やはりこの時の選考委員の一人渡辺淳一氏の評価が気になるが、「この作品は久々に男女関係を正面から描いたもの」と高い評価となっている。
 まさに渡辺淳一氏も認めた恋愛小説だ。
  
(2023/11/17 投稿)

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
 吉村昭さん(2006年に79歳で逝去)には、医師や医療を題材にした作品が多い。
 それは吉村さんが若い頃に結核に罹りながらも、
 当時の最新医療のおかげで一命をとりとめたことが影響しているものだと思っていた。
 そして、その先駆けとなったのが
 この『日本医家伝』(1971年に刊行)ではなかったか、そう思い、
 今回中公文庫で復刻されて読んでみた。

  OIP_(3)_convert_20231112213114.jpg

 最初の文庫本となったのは講談社文庫で、そのあとがきで
 吉村さんはこの作品を書く経緯をエッセイのような形で綴っている。(中公文庫に収録されている)
 それによると、吉村さんは特に強く医療関係に興味があったわけではなく、
 なかなか芽の出ない書き手であった若い吉村さんを励ましてくれた
 一人の編集者とのつながりからこの作品の執筆に着手したようだ。
 この作品を書くことによって、
 のちに吉村さんの代表作ともなる『冬の鷹』や『ふぉん・しーほるとの娘』といった
 長編小説を生み出すことになる。
 この作品があればこそ、吉村昭という作家の大きな基盤ができあがったといえる。

 この『日本医家伝』で取り上げられているのは
 江戸期から明治の初めに名を成した12人の医師たち。
 山脇東洋、前野良沢、楠本いね、松本良順、荻野ぎん、あたりは有名で
 そのほかの人たちはこの作品で初めて名を知る医師といっていい。
 それぞれが功績を残しながらも、
 その晩年には名を高めるものもいれば、悲嘆に死んでいくものもいる。
 そのあたりも、吉村さんには人間としての魅力、
 しいては作家として興味が尽きなかったのだろう。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 先日ぼんやりテレビをつけていると
 いわゆる「番宣」をやっていました。
 それがNHKBSで12月8日から始める「あきない世傳 金と銀」の宣伝でした。
 この作品は高田郁(かおる)さんの代表作のひとつで
 そういえば高田郁さんの人気を不動のものにした『みをつくし料理帖』も
 最初はNHKのドラマでした。
 そのドラマをきっかけにして、
 高田郁さんの原作を全部読み切りましたし、高田作品の魅力にはまったものです。

  OIP_(1)_convert_20231112082703.jpg

 ただ、高田郁さんがもともとは漫画原作者ということも知りませんでしたし、
 さらに遡れば、法律家を目指していたことも知りませんでした。
 そんな女性がどうして『みをつくし料理帖』のような
 女性を主人公にした時代小説を書くようになったのか、興味がわきました。
 そんなふうに思う読者も多かったのでしょう、
 高田さんがまだ漫画原作者だった平成17年から4年半にわたって
 女性漫画誌に連載していたエッセイをまとめて
 「高田郁のできるまで」という副題をつけて刊行されたのが
 この『晴れときどき涙雨』です。

 連載の終わり頃には
 それまでの漫画原作者「川富士立夏」から時代小説家「高田郁」に生れ変わっていきます。
 それはちょうど蝶が蛹から美しい羽を生み出す瞬間に立ち会う幸福な時間のようです。
 そして、その美しい羽を生み出すまでには
 いろんな悲しみとか苦しみとか、捨てなければならなかった思いとかがあったことを
 知ることになります。

 この一冊で高田郁さんの魅力を再発見できました。
 まだ読んでいない『あきない世傳 金と銀』もドラマに合わせて読んでみようかな。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』と、
 なんとも意味不明な、それでいてなんだかほんわかするタイトルのこの本は、
 長編小説なのかあるいはエッセイなのか、
 はたまた私小説なのかまったくの創作なのか、
 タイトルと合わさって、そんな曖昧さがすべて川上弘美さんの世界だと
 読み終わったあと、とても頷けた。
 それと、もしかしてこれは川上さんの代表作にもなる作品ではないかと思っていたら、
 第76回野間文芸賞の受賞が先日発表された。
 納得である。

  OIP_convert_20231112081708.jpg

 この作品のすごさは、「今」がリアルに描かれていることだろう。
 例えば、主人公である「八色朝見」という小説家は60歳も過ぎた女性であるが、
 月並みのおばあさんではない。
 「今」という時代で60歳や70歳であっても、老け込んでいる人はほとんどいない。
 それが創作となると、まるで老人然として書かれるのは何故だろう。
 川上さん自身がそういう年齢になったこともあるだろうが、
 自身の年齢とちゃんと向き合っている。
 まだまだ元気だけど、
 知らない人と会う面倒さを「年齢相応の気持ちのありようなのか」と思ったりする。

 以前「玄冬小説」と呼ばれることもあった作品もあったが、
 そんなものをほっぽりだした、「今」を生きる等身大の高齢者を描いた作品。
 彼女はこんなふうにも思うのだ。
 「わたしたちは、いったいどこに行くのだろう。年若いころのように、とりとめなく思う。
 生れてそして死ぬという時間に、いったいわたしたちはどれくらいたくさんのことを感じ、考え、忘れてゆくだろう。
 高齢者の私も、そう思うのだから。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
🍠 少し前まで季節はずれの暑さです、なんて言っていたのに
 この週末、日本列島を寒波がおおって
 一気に冬がやってきた感じがします。

  20231112_143152_convert_20231112152154.jpg

    あら汁の骨透き通る冬初め         甲斐 由起子

🍠 そんな土曜日(11月11日)、浦和の駅前広場で
 さいたま市の地元の有機農家によるマルシェ、
 「さいたま Organic City Fes.」が開催されました。

  20231111_113232_convert_20231112152040.jpg

 今年で2回めとなるこのイベントは
 さいたま市の有機農家の皆さんが栽培した有機野菜の販売や
 飲食、ワークショップなどがあって、
 多くの人で賑わっていました。

  20231111_102804_convert_20231112152012.jpg

 以前私が利用している菜園のアドバイザーをされていた人も参加していて
 その人たちにも会いたくて出かけました。
 去年このイベントでもらった一本ネギの種を
 今畑で栽培しています。
 今回は生ゴミ回収ボックスがあって、そこに生ゴミを持っていくと
 有機野菜の種がもらえました。
 さいたま市の伝統野菜「五関菜」という野菜の種をもらいました。
 もらった種は昨日さっそく蒔きましたが、
 これはナバナの一種のようで春野菜です。
 さて、うまくできるかどうか。

🍠 先週茎ブロコッリー側花蕾の話を書きましたが、
 昨日みるとちょうどいい具合に大きくなっていて
 収穫しました。

  20231112_132838_convert_20231112152120.jpg

 これからどんどん出てくれるのを楽しみにしています。

🍠 この日は聖護院ダイコンも収穫しました。

  20231112_145353_convert_20231112152229.jpg

 結構丸々としたダイコンができました。
 これでおよそ1kgありました。
 その横にあるのは青首ダイコンで、
 今年はこれで5本めですが、結構いい感じで収穫できました。
 キャベツも1個収穫しましたが、
 こちらは虫にだいぶやられて、
 どんどん剥いていくとここまで小さくなってしまいました。

🍠 「さいたま Organic City Fes.」で買ったサツマイモ
 焼き芋にしてさっそく頂きました。

  20231112_160404_convert_20231112161942.jpg

 左から、太白、ムラサキ、紅きらら、
 そして今年私の畑で収穫した紅はるか、です。
 色も味もそれぞれ違って、楽しいサツマイモ比べでした。
 やっぱり一番おいしかったのは、
 我が家のサツマイモだと感じたのは、親の欲目かも。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 大阪の人はしばしば「けったいな」という言葉を使う。
 「ほんま、けったいやな」みたいに。
 この「けったい」はちゃんと『広辞苑』にも載っている言葉で、「上方方言」とある。
 「風変わりさま。不思議なさま」と説明されている。
 さしずめこ中里和人さんの写真絵本『こやたちのひとりごと』は、「けったいな」絵本だ。
 だって、さまざななところに放置されている「小屋」だけを載せた絵本なのだから。
 でも、どうしてだろう、
 これらの「小屋」を見ていると、「けったい」なんだけど、
 なんだかとって懐かしいようで、ずっと見ていたい気持ちになってくる。
 本当に何の変哲もない、放っておかれた「小屋」なのに。

  

 この絵本は、写真家中里和人さんの「小屋」の写真に、
 詩人の谷川俊太郎さんが文をつけている。
 たとえば、こんな風に。
 「むかしから ずうっと ここにたってる/どこかにいきたいと おもったことはない
 たとえばまた、こんな風に。
 「ぼくは ひとりで/ぽつんと たってるのが すき
 「小屋」の「ひとりごと」みたいだけど、
 でもこれは写真を見て、感じて、言葉になった谷川俊太郎さんの「ひとりごと」。
 だったら、この絵本を読んだ人にもできるはず。
 自分が「小屋」になった気分で言葉にしてみよう、「こやたちのひとりごと」を。
 自分だけの「ひとりごと」を。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 先週の土曜日(11月4日)、
 茨城県笠間にある笠間稲荷神社に出かけてきました。
 3連休の中日で
 ちょうど「菊まつり」も開催中ということで
 多くの人で賑わっていました。

  20231104_094000_convert_20231105094441.jpg

  DSC_0134_convert_20231105094509.jpg

 昼は笠間の郊外にある古民家カフェ「言の葉」でランチ。

  20231104_114913_convert_20231105094538.jpg

 このお店は無添加食材を使った料理を出すところで
 この日は珍しいマコモダケの料理を頂きました。
 マコモダケ、漢字で書くと真菰筍。
 筍とついていますが、実はイネ科の野菜。
 今が旬の野菜です。
 このお店の名前がいいですよね、「言の葉」。
 そんな素敵な名前がタイトルについた、
 今日は「言の葉の庭」の話です。

  

 映画「言の葉の庭」は2013年5月に公開された
 新海誠監督のアニメ映画です。
 上映時間は46分という短編ですが、
 その完成度は新海誠作品の中でもずば抜けています。
 この映画のあと、2016年に公開されたのが「君の名は。」で
 私が新海誠という名前を知ったのも「君の名は。」が最初。
 その後、新海作品を探し出しては連続してみました。

 この映画は雨の新宿御苑から始まります。
 その美しいことといったら。
 池の広がる雨の波紋、そして濡れる木々の緑。
 そんな公園の一角で
 靴職人を目指す15歳の高校生タカオと
 心に傷をおった27歳の女性ユキノが出会います。
 このアニメ、純粋に恋愛映画であって、
 ラスト二人が雨の中で抱き合う場面など
 胸キュンものです。

 この映画のキャッチコピーが

    “愛”よりも昔、“孤悲”のものがたり

 この映画のタイトルに「言の葉」が使われているのは
 ユキノさんが実はタカオの高校の古典の先生で
 『万葉集』の短歌が二人の心をつないでいくからでしょうか。

 笠間から戻ってアマゾンプライムで観ましたが
 もう何度も観ていますが、
 いい映画です。雨の匂いがするような。
 そして、言の葉が降り積もるような。

 古民家カフェ「言の葉」の庭も、素敵でした。

  20231104_122423_convert_20231105105741.jpg

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 『うさぎ玉ほろほろ』は、『心淋し川』で第164回直木賞を受賞した西條奈加さんの
 人気シリーズ「南星屋」の第3作めの作品。
 最初は『まるまるの毬』、続いて『亥子ころころ』、
 そして今回もおいしい和菓子の絵の表紙がうれしい。

  

 まず復習しましょう。
 「南星屋」は親子三代で営む菓子屋。
 武士の身分を捨てて和菓子職人となった治兵衛のつくる菓子は売り切れ必至の絶品。
 その娘お永は一人娘お君を連れて出戻って、父親の店を手伝っている。
 この親子に治兵衛の弟の僧侶五郎が毎度のように絡んでくる。
 お君の結婚騒動(これはある事情で実現しなかったが、第3作でもその時のお相手が…)や
 治兵衛を支える新しい職人雲平の登場などがこれまでのお話。

 そして、今回も鹿蔵という怪しい中間が登場。
 この巻の冒頭の「饅頭くらべ」で鹿蔵は治兵衛たちに逃げることを進めて行方知れずに。
 鹿蔵とは何者か。何故、逃げると告げたのか。
 それはこの巻最後の「願い笹」で明らかになっていく。

 「南星屋」シリーズにどうして魅かれるのか。
 それは作中のこんな一節が答えになるだろう。
 「人の気持ちとは、まことに厄介なものだ。目に見えず、触れることもできない。
 だから、西條奈加さんの作品を通じて、
 そんな厄介な人の気持ちに触れることができるのだろう。
 次の作品が早くも待ち遠しい。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 昭和の結婚式のスピーチでよく使われていた「3つの坂」。
 「長い結婚生活には3つの坂があります。「上り坂」「下り坂」そして「まさか」。
 思いもしないことがことがあっても、夫婦で協力し合っていって下さい」というもの。
 どうも、出版業界にも「3つの坂」があるようです。
 黒柳徹子さんの大ベストセラーから42年。
 「まさか」、あの『窓ぎわのトットちゃん』に続篇が作られるとは。
 もしかしたら、出版不況で「下り坂」の業界も、これで「上り坂」になるかもしれません。

  

 『窓ぎわのトットちゃん』(以下、正篇と書きます)が刊行されたのは1981年。
 色んな版のものが出て、国内だけでシリーズ累計800万部を超え、
 さらには世界各国で翻訳されています。
 正篇の表紙の挿画はいわさきちひろさんの絵。(装幀は和田誠さん)。
 今回の『続 窓ぎわのトットちゃん』もいわさきさんの絵が使われています。
 でも、和田誠さんは亡くなっているので、名久井直子さんが装幀しています。

 正篇のおしまいの場面を思い出してみましょう。
 トットちゃん(もちろん、黒柳徹子さんのこと)に
 「きみは、本当は、いい子なんだよ」と教えてくれた小林宗作先生のいる
 トモエ学園が空襲で焼けてしまいます。
 その頃、トットちゃんは満員の疎開列車で東北で向かっていました。
 続篇は、その疎開列車の中のトットちゃんのおかしいけれどかわいい姿も
 ちゃんと書かれています。
 戦争が終わって、トットちゃんがどんな大人になりたかったかも綴られています。
 またNHKに入局してからの失敗話も(これらはすでに有名なエピソードです)
 たくさん書かれています。

 でも、黒柳徹子さんがこの続篇で本当に書きたかったことは、
 自身が体験した戦争のことを書き残しておきたかったとあります。
 戦時中に出征兵士を見送った場面があります。
 その挿話の最後に黒柳さんはこう書きます。
 「どんな理由があっても、戦いにいく人たちを「バンザーイ!」なんて言って
 見送るべきではなかった。
 世界には戦争が途切れることはない。
 だからこそ、42年ぶりに書かれた『続 窓ぎわのトットちゃん』は意味深いのです。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 プロット的にいえばおそらく、
 「新興宗教の信徒として毒ガス事件の犯人と目された女の逃避行」となるのであろう。
 そんな長編小説とくれば、オウム真理教事件で17年もの間逃亡生活を続けた女性のことを
 誰もが思い浮かべるに違いない。
 しかし、実際に桜木紫乃さんが描いたのは、
 事実の事件と同じように17年間逃亡生活を続けた岡本啓美という女性ではあるが、
 事実とはまったく違う軌跡を描いた女性である。
 何故岡本というヒロインは、事実の女性と大きく違ってしまったのか。

  

 その一つは、ヒロインの父が再婚した相手みどりの存在だろう。
 ヒロインが少女だった頃には気弱な父が再婚相手のみどりやその子に家庭内暴力をなし、
 それに耐えながらもいつかそこから抜け出そうとする強い意思を持つ女性として、
 みどりは描かれている。
 その次にヒロインを匿うフリーの雑誌記者鈴木真琴。
 鈴木は殺人罪で指名手配されているヒロインを自分の祖母がやっているスナックに
 自分の名前を与え、匿ってしまう。
 さらに鈴木は事件の主犯であった男も、自伝を書かす目的で匿っている。

 この『ヒロイン』という小説が事実と大きく違ってしまったのは、
 ヒロインの前に現れるこの二人の女性の存在が大きくなり過ぎたせいだろう。
 ヒロインが想いを寄せる中国人も、
 ヒロインの過去に気付く同棲相手も、
 もはや桜木の創造する男性でしかない。
 桜木紫乃さんは言う。
 「虚構じゃないと、見えてこない真実もある」と。

 「ヒロイン」になるのは小説の中の彼女だけで、
 17年間逃亡し続けた事実の女性は果たしてどうであったろう。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 恒例の芥川賞受賞作の全文掲載があった「文藝春秋」の2023年9月特別号。
 話題となった市川沙央さんの受賞作「ハンチバック」よりも先に読んだのが
 沢木耕太郎さんの特別エッセイ「夢ノ町本通り」だった。
 長くはないそのエッセイで、
 自身の夢の商店街があるなら、新刊の書店と古書店があって欲しいと綴っていた。
 そんな素敵なエッセイを巻頭において、
 これまでのブック・エッセイを集めた本が出た。
 タイトルも『夢ノ町本通り』そのまま。
 そして、ここには沢木さんの本への思いが並んでいる。

  

 ブック・エッセイといっても、
 それこそ本や書店のことを綴ったエッセイもあれば、
 作家論のもの、書評のもの、文庫解説と形はさまざまだ。
 沢木さんのように長い間文筆稼業に携わってきた人でも
 「自分の非力を感じながら苦しい思いで書かなければならない本」もあるようで、
 やはりそんな時の文章は熱量がさがっているように感じる。
 沢木耕太郎というノンフィクション作家の魅力は
 彼の持つ熱量と強く結びついていて、
 沢木さん自身が光源となっている作品ほど熱量が高く、読者に強く届く。

 このブック・エッセイでいえば、
 山本周五郎さんの短編アンソロジー集に書いたエッセイの数々はいい。
 これこそ沢木さんの文章だといえる。
 文庫解説に近いエッセイだから、もちろんそこには山本周五郎を描いて過不足ないし、
 何よりもその文章には沢木さん自身が存在する。
 「夢ノ町本通り」を歩いている沢木さんは、やはり颯爽として、書店の扉を開いている。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 あさって8日の水曜日には立冬だというのに
 11月になってもまだ夏日というのですから
 やはり地球はどこかでおかしくなっているのかも。
 そういえば、先日発表された2023年の「新語・流行語大賞」のノミネート語に
 「地球沸騰化」という言葉も入っていましたね。
 やっぱり秋は秋の彩りを、
 冬には背をかがめるような寒さがあってもいいように思います。

  20231027_145136_convert_20231029093751.jpg

    立冬のことに草木のかがやける       沢木 欣一

 ダイコンは冬野菜の代表格ですが、
 俳句の世界でもたくさんの季語・類語があります。
 大根・大根畑・大根引く・大根洗ふ・大根干す、
 どれもみんな冬の季語。
   
    街道に大根洗ふ大盥             富安 風生

 3日の金曜日に抜いたダイコンもいい感じでした。

  20231103_104618_convert_20231103164819.jpg

 味もバッチリで、私はシンプルに大根おろしが好き。

 3日には少し遅くなりましたが
 ニンニクの植え付けをしました。

  20231103_094444_convert_20231103164551.jpg

 今年はいつまでも暑いので、
 ニンニクのような冬越し野菜がうまく育つか
 心配でもあります。

 これは紫キャベツ

  20231103_100054_convert_20231103164650.jpg

 そろそろ結球が始まってもいいのに
 あまり丸まっていないのも
 気温のせいかもしれません。

 茎ブロコッリー頂花蕾が500円玉大になったので
 採ってしまいます。

  20231103_101729_convert_20231103164725.jpg

 こうすることで
 側花蕾がどんどん出来てきます。
 切りとった頂花蕾は天ぷらにして頂きました。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 知らないから勘違いをすることはよくある。
 この『みんなたいぽ』という絵本の場合、
 文を書いたのがマヒトゥ・ザ・ピーポーという人で
 絵を描いたのは絵本界の大御所荒井良二さんで、
 マヒトゥ・ザ・ピーポーさんのファンには怒られそうですが、
 てっきり荒井良二さんが海外の作家さんの文に絵をつけた
 珍しいケースだと思ったわけです。
 ところが、マヒトゥ・ザ・ピーポーさんというのは
 日本のロックバンド「GEZAN」のボーカルで、
 その活動以外にもさまざまな人たちとコロボをしていたりする
 気鋭のアーティストなんですね。
 道理で、文と絵がうまく連動していたはずです。
  
  

 ストーリーはちゃんとあります。
 まじめなおまわりさんが主人公。
 悪い人たちを次々と逮捕していきます。
 そのうちに悪いのは人だけではなく、
 言葉や音も悪いのだといわれ、それらも逮捕してしまいます。
 いやいやもっと悪いのは、自然を破壊する人間全部だと気がついた彼は
 自身を含め人間全部逮捕してしまいます。

 奇想天外といえばそうですが、
 最近の異常気象とかウクライナや中東での争いに見ていると、
 本当に人間全部を一度逮捕しないといけないのではないかと
 思ってしまいます。

 そして、何よりこの絵本の魅力は荒井良二さんの迫力ある絵。
 原画で見たくなる、そんな絵です。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 最近の動画配信の解禁の早さには驚く。
 もちろん映画好きにはうれしいのだが、
 本当にいいのかなと心配になるくらい早い。
 今日は10月31日からディズニープラスで配信が始まった
 「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」の話をしますが、
 実がこの映画の劇場公開が9月15日で、
 もしかしたらまだどこかの劇場で上映してるのではないだろうか。
 そんな映画を動画配信で観ていいのかと心配しつつ、
 やっぱり早速観てしまうのですから
 人間の業の深いことといったら。
 今日はそういう訳で、映画「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」の話です。

  

 映画「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」は2023年公開のアメリカ映画。
 監督は自身で名探偵エルキュール・ポアロを演じてもいるケネス・ブラナー
 彼がアガサ・クリスティーの原作を映画化するのは
 「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」に続いて3作め。
 この映画の予告編を観て、
 はて、「ベネチアの亡霊」という作品がアガサ・クリスティーの作品にあったかわからず
 調べるとこれはポアロものの『ハロウィーン・パーティ』が原作とわかりました。
 この作品ならすでに読んだことがあって、
 でもあんまり物語は覚えていなかったのですが、
 その時に書いた書評などを読み返しても
 どうもこの映画とはかなり違うようです。
 つまり、映画はアガサの『ハロウィーン・パーティ』を基にはしているが
 ほとんど別の物語と思った方がいい。
 ケネス・ブラナーは原作のおどろおどろしさを映像化したかったのではないかしら。

 この映画で降霊術を操る霊能力者の女を演じているのが
 今年「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」で
 アカデミー賞主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー
 いい役ながら、すぐに殺されてしまう役。
 ちなみに「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」も観ましたが、
 私には何がいいのかさっぱりわかりませんでした。

 話を戻して「ベネチアの亡霊」。
 引退をほのめかすポアロ(アガサの原作でも最後の方の作品です)だが、
 やはり見事に解決。
 でも、あまりにもすっきり解決してしまいますが
 最後の最後で、実は…というナイショの話があって
 それが一番よかったな、やっぱり。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 本は美しい。
 東京文京区にある東洋文庫ミュージアムなどに行くと、
 ずらりと並んだ本の美しさに圧倒される。
 過去の知識を本という造詣に押し込めた美といっていい。
 そんな美しい本を所蔵する図書館も近年建物だけでなく、
 所蔵の仕方にも工夫があって、うれしいかぎりだ。
 しかし、世界にはもっと美しい図書館や書店がある。
 ところによっては、世界遺産に登録されていたりする。
 そんな美しい書店や図書館をきれいな写真とともに紹介してくれるのが
 『一生に一度は行きたい 世界の美しい書店・図書館』という一冊。
 2023年9月に宝島社から出版された。

  

 この中では、6つの章に分かれて102の図書館・書店が紹介されている。
 タイトルは「書店・図書館」となっているが、
 書店は3つで、あとはすべて図書館になる。
 章は「主人公気分で訪れたい映画の舞台となった図書館」や
 「世界遺産にもなった歴史が眠る図書館」、「格式高い王立&国立図書館」、
 「麗しき修道院&キリスト教系の図書館」、「洗練されたデザインのModern図書館」、
 そして書店の「一生に一度は訪れたい美しすぎる書店」となっている。
 残念ながら、日本の図書館や書店ははいっていない。

 とにかく写真を見ているだけで、その美しさに魅了される。
 一生にこれらの図書館などを訪れる機会が自分にやってくるか、
 それこそ夢でしかないが、
 そんな夢をいつまでも見ていたいと思わせる美しさだ。

 秋の読書週間、せめて近所の図書館にでも足を運んでみようか。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 秋には色々な形容があります。
 食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、そして読書の秋。
 『図書館がくれた宝物』なんていうタイトルを見ただけで、
 本好き読書好きの人にはたまらなくなるのでは。
 でも、この作品の原題は「A PLACE to HANG the MOON」で
 邦題とはかなりちがっています。
 原作者はケイト・アルバスというアメリカの児童文学作家で、
 この作品がデビュー作。
 しかも、この作品で多くの賞を受賞しています。
 その作品に、なんとも素敵な邦題をつけてくれたことでしょう。
 そのことを「宝物」にように感じます。

  

 物語は、第二次世界大戦中のイギリスが舞台。
 早くに両親を亡くした三人の兄妹はおばあさんまで亡くして
 保護者がいなくなります。
 時代は子どもたちが集団疎開していた頃で、
 彼らは疎開先で新しい保護者を見つけることになります。
 ただし、子どもたちにはある願いがありました。
 自分たちのことをお月さまみたいだって思ってくれる人にお母さんになってもらうこと。
 ところが、疎開先の村で彼らを待っていたのは、厳しい現実。
 いじめや無理解、虐待のような仕打ち。
 そんな彼らの唯一の憩いの場所が、村にあった図書館とそこにいた司書の女性の存在。
 そう、邦題のように「図書館がくれた宝物」だったのです。

 この物語はなんといっても三人の兄妹がいい。
 長男はしっかり者の12歳のウィリアム。
 次男は勝気な11歳のエドマンド。
 そして、下の妹はまだ9歳のアンナ。
 彼らを主人公にした、
 これは読書の秋にぴったりの、児童文学です。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
プレゼント 書評こぼれ話

  今日から11月
  暦の上では秋の終わりころ。
  秋の読書週間も真っ盛り。
  「灯火親しむ」という季語もあります。

    燈火親し声かけて子の部屋に入る       細川 加賀

  今日は『星新一ショートショートセレクション8』の
  「夜の山道で」を紹介します。
  書評にも書きましたが、
  星新一さんを子供の時に読んだ人は
  幸せだったと思います。
  だって、本からさまざまな世界を想像できたはずですから。
  今頃になって
  子供の時に星新一さんの作品をどうして読まなかったのかと
  悔やんでいたりします。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  夢見る子供だったのかな                   

 『星新一ショートショートセレクション8』(理論社)。
 表題作である「夜の山道で」をはじめとして、17篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。

 星新一さんの本を読んでいると、腹ばいになって本に夢中になっている子供の姿がつい目に浮かんできます。
 子供は私ではありません。子どもの頃、星さんの作品に出会っていたら私もきっとそうであっただろうという、空想の世界です。
 そして、この子供の頭の中はたくさんの夢にあふれています。
 星さんの作品には、そんな姿を浮かばせる力があります。

 この巻では「王さまの服」が面白かった。
 有名なアンデルセンの「裸の王様」のパロディのような作品です。
 原作のように、心の正しい人には見えて悪い人には見えないと詐欺師の洋服屋に騙される王様の話。原作では、正直な子供が「王様が裸だ」となっておしまいですが、星さんは見えない服が国の統治に一役買ったことにしてしまいます。
 最後、この王様が結婚することになって、王女がいう一言がいい。
 「悪くないけど、似合わない」
 うまいオチだ。

 「レラン王」という作品もよかった。
 ある時神から大洪水になるお告げをもらった王様が、むざむざ死ぬのは嫌だと夢の世界に入ることになる。そこで、王様は世界の歴史をたどっていくという、夢! のようなお話。

 星新一さんこそ、夢見る子供だったに違いない。
  
(2023/11/01 投稿)

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス