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 『ともぐい』で第170回直木賞を受賞した河崎秋子さんの、
 実質的なデビュー作ともいえるこの『颶風(ぐふう)の王』は、
 2014年に三浦綾子文学賞を受賞した作品である。
 「三浦綾子文学賞」は北海道の作家である三浦綾子の代表作『氷点』の
 連載開始50周年を記念して、この年限りの賞として募集された作品から選考されたもの。
 まさになんともいえない作品と作家の誕生を生み出したことになる。
 この作品では馬が巧みに描かれているからだろう、
 馬事文化の発展に功績のある個人などに与えられる「JRA賞馬事文化賞」も受賞している。
 余談だが、この「JRA賞馬事文化賞」の第1回受賞(1987年)は、
 宮本輝の『優駿』だったそうだ。

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 タイトルにある「颶風(ぐふう)」はあまり聞かない言葉だが、
 「広辞苑」にちゃんと載っていて、「強烈な風」とある。
 この作品は物語の筋立て、構成の仕方の巧さがさすがだが、
 やはり新人作家としての粗さは否めない。
 その粗さをこのタイトルの妙が埋めきっているように思うほど、
 いいタイトルだ。

 この作品は飼い馬とともに雪崩に閉じこめらた懐妊中の女性が
 その肉を食べることで命を繋いだおかげで生まれた男の話と
 その男がまだ開拓途上の北海道に渡り馬を育てることで生計を立てる数年後、
 彼とその孫にあたる娘が馬とともに生きる姿を描く話、
 さらにその娘が年老いて、かつて馬を捨てざるをえなかった事情を知った孫娘が
 北海道の孤島にその馬の子孫と対峙する、三つの話で出来ている。

 あまりにも重厚な歳月の物語に、
 もしかしたら、私は、この物語のもっと濃い世界を望んでいるのかもしれない。
 そんな日が来ることを夢みている。

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