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プレゼント 書評こぼれ話

  先月アガサ・クリスティーのミス・マープルものを読破し、
  ポアロものに続いて、
  アガサ・クリスティーの代表的なキャラクターの長編小説を読み終わったので
  今回は短編集の紹介です。
  『教会で死んだ男』にはポアロものが11篇、
  ミス・マープルものが1篇、ホラーものが1篇収められた短編集です。
  短編ですから、一度にたくさんのミステリが読めるのはいいですが、
  どっぷり感にはやはりやや欠けます。
  いつもの霜月蒼さんの『アガサ・クリスティー完全攻略』の評価は
  ★★と厳しい。
  私ならおまけに☆一つ、つけちゃうかな。

  じゃあ、読もう。

   OIP (14)

sai.wingpen  ポアロもミス・マープルも短編も面白い                   

 ミステリの女王・アガサ・クリスティーの作品群は、大きく6つに分類される。
 長編作品として、エルキュール・ポアロもの、ミス・マープルもの、トミー&タペンスもの、それから短編集。戯曲、最後にノンシリーズの長編作品。
 この中の短編集のうち、実際には日本独自で編まれたものもあって、この『教会で死んだ男』も日本独自の短編集だという。
 表題作である「教会で死んだ男」はミス・マープルもので、これと「洋裁店の人形」というファンタジー・ホラー作品(これがこの短編集で一番面白かった)の2本を除く11本がポアロものの短編で構成されている。

 ポアロものの短編には、彼の良き協力者ヘイスティングズが登場するものが多く、そこからもこれらの短編が初期のものだとわかる。
 何しろこのヘイスティングズは8篇の長編小説、21篇の短篇小説に登場するほどで、この短編集の巻頭の作品「戦勝記念舞踏会事件」の書き出しにこう書かれている。
 「ロンドン市内のアパートでポアロと起居をともにするようになった。むろん、ポアロが手がけた事件の大半は、このわたしがじかに見聞しているわけだから、ひとつ、こうした事件のなかで傑作なやつをいくつかえらんで、公表したらどうか」。
 この一文があるおかげで、この短編集がうまく構成されているといっていい。

 この短編集に収められているのは、ほかに「呪われた相続人」「プリスマ行き急行列車」「料理人の失踪」「スズメ蜂の巣」など。
 これらの短編がまずまずよかった。
  
(2024/04/30 投稿)

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 今日は昭和の日
 昭和時代の人なら、「(昭和)天皇誕生日」の祝日の記憶でしょう。

    黄ばみたる一家の写真昭和の日     田畑 益弘

 「昭和の日」は春の季語になっていますが、
 新しい季語でまだ多く作句されていません。
 街なかでは樹々の緑があざやかになってきました。

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 ただし、「新緑」は夏の季語。
   
    摩天楼より新緑がパセリほど       鷹羽 狩行

 先週の金曜(4月26日)、菜園に夏野菜の苗が届きました。
 天気もよかったので、さっそく植え付けに行きました。
 この日を待ちかねた利用者さんがいる、いる、たくさんいる。
 では、何を植えたの、書き留めておきましょう。

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 写真手前の畝、
 右側に植えたのはピーマン。左側は白ナス
 白ナスの栽培は今回で二度目です。
 その奥の畝には、ネットがある左側にはエダマメ
 その横に中玉トマトの苗を植え付けました。
 その奥の畝にスナップエンドウの葉が見えていて、
 最後の畝が見えていません。

 そちらにキュウリソーメンカボチャを植え付けました。

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 ソーメンカボチャは今回初めて栽培します。
 自分で購入して栽培する独自のもの。
 はたして、うまくいくかどうか。
 写真の下の方に見える葉物は、バターレタス
 作物が多くて、なかなか植え付ける場所がなくて
 こんなことになりました。
 ちなみに、キュウリソーメンカボチャ穴施肥です。
 穴を掘って、そこに元肥をいれて、土を足して、
 そこに苗を植え付ける方法です。

 スナップエンドウもやっと莢をつけてきました。

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 こちらはウスイエンドウ

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 白い花がたくさんついてきて、これに莢がつくとおもうと
 思わず口元が緩みます。

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 今日は絵本ではなく、
 私が住んでいるさいたま市の図書館が出した小冊子を紹介しましょう。
 「子ども読書の日」の記念出版として作られた
 「本は王さま 2024」です。

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 これはさいたま市の図書館の児童サービス担当者の皆さんがつくったブックガイドです。
 はじめにこんな文章が載っています。

   このブックリストは、国が定めた4月23日の「子ども読書の日」を記念し、
   毎年作成しています。
   主に2022年4月から2023年3月までに出版された子どもの本の中から、
   児童サービス担当者がおすすめする本を選び、紹介しています。
   (中略)
   あなたが、すてきな本に出会えますように。

 そのあとに、このブックリストのみかたが載っていて、
 対象年齢順に並んでいること、36冊の本が紹介されていること、
 そしてここにのっている本は全部図書館にあることなど、
 とてもわかりやすい。
 しかも、紹介本それぞれに二次元コードがついていて
 それを読み取ると図書館のホームページにアクセスできるという
 丁寧なつくりとなっています。

 大人になると、書店に行っても図書館に行っても
 なかなか児童書のコーナーに行かないものです。
 なので、今子どもたちがどんな本を読んでいるのか、
 どんな本を読もうとしているのか
 わからないものです。
 それは、とってももったいないことです。
 子どもの本にもとってもいい本があります。
 そういう本との出会いを
 私たちおとなはみすみす見逃しているのですから。

 例えば、このブッグリストに紹介されている
 『マスク越しのおはよう』(山本悦子 作)は、
 コロナ禍で葛藤する五人の中学生の話のようだし、
 『「オードリー・タン」の誕生』(石崎洋司 作)は
 ITの天才を描いた伝記だったりと
 今という時間を生きる多くの人が手にとりたい本です。

 今日のおしまいに、もういちど。

   あなたが、すてきな本に出会えますように。

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 関東大震災から100年後の2023年9月1日に公開され、
 多くの話題をさらった映画があります。
 それが森達也監督の「福田村事件」。
 関東大震災時に実際に起こった事件であり、
 朝鮮人殺害、部落問題とタブーとされていた表現もあり、
 制作までには長い時間がかかったようです。
 クラウドファンディングで制作資金の一部を集め、
 映画完成後は大きな話題となっていったことは
 ニュースにもなっていました。
 そんな「福田村事件」がDVD化され、
 ようやく観ることができました。
 今日は映画「福田村事件」の話です。

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 映画「福田村事件」は2023年公開の日本映画です。
 話題になっただけでなく、作品の評価も高く
 キネマ旬報のベストテン4位に選ばれています。
 物語は千葉県福田村というところで実際にあった殺人事件を描いています。
 1923年9月1日に起こった関東大震災のあと、
 朝鮮人が井戸に毒をいれたとか襲ってくるという流言が広がっていきます。
 当時の村々では自警団が結成され、
 怪しい人物に「十五円五十銭」と言えと迫ったりして、非道な行いが蔓延します。
 吉村昭さんの『関東大震災』にもそういった記載があったことを覚えています。

 まさにこの時、福田村を香川からやってきた薬売りの一団がやってきます。
 この集団の頭を永山瑛太さんが演じています。
 彼らは部落出身ということで、
 朝鮮人差別や部落問題という、日本の歴史における大きな黒点が
 小さな村で起こった事件に重なりあいます。
 福田村の事件団は村長が止めるにも関わらず、ついに暴発し、
 薬売りの一団9名を殺害してしまうのです。

 映画の中で、村出身でかつて朝鮮で日本軍の非道を目撃した男(井浦新さんが好演)と
 その妻(田中麗奈さんが演じています)の関係が縦糸になって描かれています。
 妻が夫に「あなたはいつも見ているだけ」となじります。
 その言葉に夫はついに、村人に薬売りの一団は日本人だと暴動を止めようとしますが、
 沸騰した村人をとめることはできませんでした。

 この映画は100年前の事件を描きながらも、
 間違いなく現代を射抜いてきます。
 この村人たちを私たちは糾弾できるのでしょうか。
 多くの問題を提起するこの映画はぜひ観るべき作品です。

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 版画家・棟方志功は多くの人が知っている。
 板に顔を押し付けるようにして彫るその姿、
 癖の強い津軽弁、親しみのある丸い顔、そして、何より棟方を印象づけるこの言葉、
 「わだはゴッホになる」。
 そんな棟方が生み出した版画の数々。
 『板上に咲く』は、原田マハさんの3年ぶりの長編アート小説。
 棟方志功を描きつつ、なかなか売れなかった貧しい日々を共に暮らす
 妻チヤとの夫婦の物語を巧みに織り成した作品。
 巧すぎますよ、原田マハさん。

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 棟方志功は1903年青森で生まれた。
 ゴッホの名画「ひまわり」に感銘を受け、生涯ゴッホの背中を追いかけることになる。
 チヤと結婚したのは、1930年とあるから、棟方はまだ20代で
 貧しい生活を送っていた頃。
 その後版画で柳宗悦などに認められ、次々と大作を生み出していく。
 棟方が亡くなるのは、1975年。72歳だった。
 棟方ほどの業績がある芸術家をどのように描けば読者に伝わるか、
 原田さんが選んだのは妻チヤからの視線だった。
 棟方の手にした彫刻刀ではなく、
 その夫のために毎日磨り続けたチヤの墨があればこそのアートの世界を
 巧みに描いたといえる。

 毎日のお米さえままならなかった貧しい生活も描かれていながら、
 何故かこの物語には悲壮感がない。
 棟方の明るさ、チエの思いやり、友人たちのあたたかさ、
 それらが棟方志功という天才が生み出した作品を照らしたように、
 このアート小説もまた、ひまわりのように天を向き、咲き誇ったといえる。

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 書名にある「世傳」とは「代々にわたって伝えていく」という意味で、
 高田郁さんの人気シリーズにぴったりの言葉です。
 「淵泉(えんせん)篇」は、その『あきない世傳 金と銀』の第九巻めになります。
 「淵泉」とは、辞書にも出てこない言葉で、
 「淵(えん)」には「深いこと」という意味があるので、「深い泉」という意味でしょう。
 ただ、この巻の幸(さち・この長編小説の主人公)が入り込むのは「泉」というより、
 どす黒い沼という方がいいかもしれません。
 九歳で大坂の呉服商「五鈴屋」へ女衆奉公に入り、その才を見込まれ、
 四代目から三代にわたってその女房になるという苦難にあってきた幸ですが、
 おそらくこれまで以上の苦境に立たされます。
 どんな「淵泉」なのか、ネタバレありの、ご用心、ご用心。

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 八巻めの最後で、幸が苦労して生み出した小紋の型紙と、
 幸の妹の結(ゆい)の行方がわからなくなりました。
 なんと結は型紙を持って、「五鈴屋」を狙う音羽屋へ嫁ぐことになるのです。
 さらに、「五鈴屋」は呉服組合からも除名されるということになります。
 そんな危機が続くなか、この巻で気になった言葉があります。
 それが「主従」という言葉。
 幸という女性が主人公ですが、実はこの長編は彼女と彼女を支える奉公人たちの、
 物語であることが鮮明になったように思えます。
 「店は、店主の持ち物ではありません。表の奉公人、奥の奉公人、
 皆が揃ってこその暖簾であり、店なのだと思います。」
 これは、幸の言葉。
 きっと多くの読者が感銘を受けた言葉ではないでしょうか。

 幸たちが向かう、新しい知恵が次の巻に展開されるはず。

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 この本の著者、岸本葉子さんはエッセイストだが、
 NHKの俳句番組のMCを長年務めていたことから自身も俳句を詠むようになり、
 すでに句集まで出しているから、その肩書に「俳人」といれてもいい。
 俳句関連の本も出していて、
 この『毎日の暮らしが深くなる 季語と俳句』もそんな一冊である。
 ただ、俳句の解説本というよりはエッセイ集という方が合っている。
 季語を紹介し、それを詠んだ俳句を数句、さらには岸本さん自身の句と
 それをどのようにして詠んだのかといった企業秘密(?)も混ぜ合わせて綴られている。
 そして、その根幹に岸本さんの日々の暮らしが、
 例えば料理の仕方であったり掃除や片付けの方法であったりがある。
 つまり、この本はどの方向から読んでも構わない、そんなふうに出来上がっている。

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 特に気に入ったのは、俳句の初心者にもわかりやすく書かれている点。
 「歳時記を開いたとき、太字にしたり【】で括ったりして目立たせてある季語を見出し季語、または主季語という。
 その下にやや小さな扱いで並べてあるものを、言い換え季語、副季語、傍題と呼んでいる。
 と、とてもわかりやすい。
 俳句を作る人は「あいにくの雨はない」とよく言うらしい。
 満開の桜、せっかくの雨に残念と思うだろうが、実は雨のなかにも風情がある。
 そんなことも、この本では教えてくれる。

 本にも「あいにくの本」なんていうのは、ない。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日4月23日は
  こども読書の日
  子どもの読書活動についての関心と理解を深め、
  積極的に読書活動を行う意欲を高めるために制定されました。
  そして、今日から5月12日までの3週間は
  こどもの読書週間になります。

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  今年の標語は

      ひらいてワクワク めくってドキドキ

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  この標語を作った春野双葉さんはこんな言葉を書いています。
  「本を開くときの高揚感を思い出しながら書きました。」
  今日はケイト バーンハイマーさんの『さみしかった本』を再録書評で紹介します。
  書いたのはちょうど10年前の2014年。
  そのことにも、ちょっと驚き。
  10年前の高揚感が戻ってきたら、いいな。

  じゃあ、読もう。

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sai.wingpen  本は誰にも読まれなかったら、どんなにさみしいだろう。                   

 本は誰にも読まれなかったら、どんなにさみしいだろう。
 だって、本は誰かに読まれるために生まれてきたのだから。
 それは人もおなじ。
 誰からも愛されなかったら、どんなにさみしいだろう。
 だって、人は誰かに愛されるために生まれてきたのだから。

 素敵な絵本に出会いました。
 「森の女の子がかいてある うぐいすいろの本」のことが描いてある、この絵本のことです。
 「森の女の子がかいてある うぐいすいろの本」が図書館にやってきたところから、物語は始まります。この本はたくさんの子どもたちに読まれます。それは本にとっても、子どもたちにとっても、とっても仕合せな時間でした。
 でも、しばらくたつと、子どもたちは新しい本に夢中になって、この本のことを忘れていきます。
 「森の女の子がかいてある うぐいすいろの本」は、さみしくなります。

 それでも、素敵な出会いはあります。
 アリスという小さな女の子が「さみしかった本」を見つけてくれました。
 アリスは少し古ぼけて傷んだ本を大切にしてくれます。何度も何度も読んでくれました。
 しかし、そんな仕合せな時間は長くは続きませんでした。
 「森の女の子がかいてある うぐいすいろの本」は図書館の本ですから、アリスの手元から図書館の倉庫に行っていまいます。
 また「さみしかった本」に逆戻りです。

 この絵本は本の物語です。
 同時に、出会ったち別れたりする人間の物語でもあります。
 人間が出会うのは人間だけではありません。犬や猫にも出会います。大好きになる人形や車ともめぐりあうことがあります。そして、素敵な本にも。
 子どもの頃に出会った本をずっと大切に持っている人は大勢います。愛する人と別れるのがつらいように、愛する本と別れるのもかなしい。
 本は人間の大切な友だちなのです。

 「さみしかった本」は図書館の倉庫からセールとして売りに出されます。
 傷んだ本に買い手はなかなか現れません。しかも、雨まで降ってきて、「さみしかった本」の表紙に描かれている女の子の涙のようになっています。
 「さみしかった本」は、もう誰にも出会わないのでしょうか。

 最後はとっても仕合せになれる本。
 こんな本と出会えるのが、うれしくてたまりません。
  
(2014/04/13 投稿)

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 桜が終わって、そのあといっせいに花々が咲き始めました。
 なかでも街なかでよく見かけるのが、ハナミズキ。
 漢字で書くと、花水木。

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    花水木咲き新しき街生まる         小宮 和子

 樹々も新しい葉が芽吹いて、半袖で過ごす人も見られます。
 「夏隣」という季語がありますが、
 週末はまさにそんな気候でした。

    海沿ひに自転車つらね夏隣         岡部 名保子

 菜園でもたくさんの人が夏野菜の準備に訪れるようになりました。
 たくさんの人と声をかけあい、
 皆さんの元気な声にこちらもうれしくなります。
 そんな季節にぴったりの野菜が、たぶんソラマメ
 何しろ、空に向かって莢をのばすのですから。

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 やなせたかしさんが作詞した「手のひらを太陽に」を思い出します。

 こちらは紫莢のスナップエンドウ

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 これは莢が紫ですが、中の豆は普通のスナップエンドウと同じ緑。
 そこで、かなり早採りですが、
 ソラマメスナップエンドウ紫莢のスナップエンドウの記念写真をパチリ。

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 これらはしばらく楽しめるかな。

 ジャガイモは3つの品種(男爵・メークイン・キタアカリ)ともに育ってきたので、
 追肥と土寄せをしました。

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 そして、いよいよ今週末に夏野菜の苗が入ってきます。
 この時期には新しく野菜作りを始める人も多く、
 また新しい出会いがあるといいな。

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 絵本作家のさとうわきこさんが2024年3月28日、89歳で亡くなられました。
 朝日新聞によると、
 「1987年刊行の「いそがしいよる」をはじめとした「ばばばあちゃん」シリーズ19作は、
 累計394万部のロングセラーになった」とありました。
 どこかでさとうさんの「ばばばあちゃん」の絵本に触れたことがあるかもしれません。
 お母さんに読んでもらったかも。幼稚園の先生が開いてくれたかも。
 あるいは、おはなし会で聞いたことがあるかも。

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 この『ことりのうち』も「ばばばあちゃん」シリーズの一冊で、読んでみると、
 さとうさんのなんともいえないやさしい絵のタッチと
 ばばばあちゃんや森の仲間たちの弾むような会話が心地いいことを
 あらためて感じました。
 森の仲間たちと書きましたが、彼らはきつねやたぬきといった動物たちでそれが擬人化されていて、
 そういうあたりもこのシリーズの人気を高めているのかもしれません。

 『ことりのうち』は、ばばばあちゃんの発案で
 森の木にたくさん小鳥のうちをつくって、小鳥のこえを楽しもうというお話。
 ところが、そこにやってきたのが、とても大きな鳥で、その鳴き声といったら
 耳が痛くなるくらい。
 はて、この鳥はどこからやってきたのかな。

 季節は初夏。
 愛鳥週間も近い。
 木陰で小鳥のこえ聞きながら、さとうわきこさんの絵本をひらくのもいい。
 空のかなたでさとうわきこさん、手をふっているのではないかしらん。

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 昨日春日太一さんの労作、『鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』を紹介したので、
 せっかくなので橋本忍さんが脚本された映画を紹介しようと
 橋本さんの脚本映画一覧をあらためて見ました。
 やっぱり「砂の器」か「八甲田山」、
 いやいやああいう大作よりも「張込み」とか「黒い画集」の方がいいかも。
 ならば、いっそう橋本さんのデビュー作でもある「羅生門」がいいのでは。
 うまいことに、ずっと昔にテレビ放映されたものを録画したDVDもあるし。
 ということで、今日は映画「羅生門」の話です。

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 映画「羅生門」は1950年公開の日本映画。
 監督は巨匠・黒澤明
 戦後間もないこの頃、日本人の多くにまだ知られていなかったヴェネツィア国際映画祭
 グランプリにあたる金獅子賞を受賞したことはあまりに有名。
 戦後の日本を明るく、勇気づけたことはまちがいありません。
 その作品の脚本を最初に手掛けたのが、橋本忍
 橋本さんはこの作品のもととなる、芥川龍之介の「藪の中」を脚本にし、
 当時新進気鋭の監督であった黒澤明に読んでもらったことがきっかけとなって
 映画化の話が進みます。
 しかし、橋本さんが当初書いた脚本では映画化には短すぎるということで
 芥川の別の短編「羅生門」を組み合わせることで制作が進むことになります。

 こののち、橋本さんは「僕がいて初めて成立した作品。僕の作品」ということも言ったそうですが、
 映画を観ると、それはあまりにもいい過ぎだと思います。
 監督の黒澤明だけでなく、音楽を担当した早坂文雄
 三船敏郎、京マチ子、森雅之といった出演陣たちの熱演もあいまって
 名作になりえたのだと感じました。
 つまり、映画が総合芸術といわれる、典型のような作品です。
 そして、私がこの映画でなによりもすごいと感じたのは
 「光」です。
 男女が織り成す悲惨な現場にこぼれる光、
 時に強くなり、時に蔭に包まれ弱くなり、
 そういった光の効果がこの映画をとてもインパクトの強いものにしています、
 撮影は宮川一夫で、彼もまた日本映画を代表する名カメラマンでした。

 橋本忍の幸運は、
 この映画で黒澤明という超一流の監督と出会ったことでしょう。
 こののち、二人は名作となる「生きる」や「七人の侍」を作ることになります。

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 橋本忍
 戦後の日本映画を牽引した脚本家。
 彼の名を一躍高めたのは、おそらく1974年公開の「砂の器」(野村芳太郎監督)だろう。
 もっとも映画に深く関心のある人なら、「張込み」(1958年)や「切腹」(1962年)、
 さらにはTV草創期の名作ドラマ「私は貝になりたい」の脚本も知るところだろう。
 いやいや、橋本のデビュー作はあの黒澤明監督の「羅生門」(1950年)とくれば、
 橋本忍という脚本家がどれだけすごい人だったかわかるはずだ。

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 橋本は1918年生まれ。亡くなったのは2018年100歳の時。
 戦時中に結核を病み、その療養中に独自でシナリオの勉強を始めた。
 当時日本一の脚本家として知られた伊丹万作に師事し鍛えられていく。
 そんな橋本の人生を、
 生前行われたインタビューと関係者への聞き取り、
 橋本が残した資料や関係文献を緻密に取材したのが
 春日太一さんの『鬼の筆』だ。
 取材開始から本の刊行までに12年かかったというから、
 労作というしかない。
 そして、労作だけあって、読み応え十分といえる。
 橋本作品のファンだけでなく、日本映画に興味のある人にとっては
 欠かせない一冊になるだろう。

 橋本の代表作といえば「砂の器」であったり「八甲田山」であるのは間違いないが、
 橋本のフィルモグラフィを見ると、この2つの作品は後期に分類される。
 そのあと、彼は駄作を連発していく。
 この本の副題で使われている「栄光と挫折」はそのことを差している。
 だからといって、橋本が残した名作の光は日本映画史から消えることはない。
 そういえば、筆者の春日太一さんの肩書は「映画史研究家」でもある。

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 今年(2024年)元旦に起こった石川能登半島地震。
 あれから3ヶ月以上経っても、まだ倒壊した建物の映像などを見るたびに
 この国の復興の遅さに呆然とする。
 2011年3月に起こった東日本大震災、
 いやそれ以前の阪神淡路大震災からも何度も大きな災害にあいながら
 能登半島地震ではそれらの教訓が生かされていないように感じる。
 そんな時、手にした伊集院静さんの『続 大人の流儀』(2011年12月刊)。
 初出となる雑誌の連載が2009年12月から2011年11月で
 ちょうど東日本大震災が起こった2011年3月とも重なる。

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 伊集院静さんはその当時仙台で被災した。
 その時の様子を描いた文章がこの巻の巻末に載っている。
 タイトルは「星~被災地から見たこの国」。
 その中で伊集院さんはこう綴っている。
 「自分にできることはなるたけ正確に、何が起きたのかを書き残すこと」、
 「家族と近所の人の生命を守らねばと右往左往しながら記録する」と。
 そして、こんなことも書く。
 「私は被災者ではない。
 被災者というのは孤立しても生きようとして懸命になっている人。
 不幸にも生を絶たれた者と、その家族、友人のことを言う。
 しかし、伊集院さんがこの短い文章に書きとめてくれた内容こそ、
 大きな被害はなかったが実際そこで暮らしていた人としての体験そのものといっていい。
 政治家たちやメディアのありように、怒りをぶつける。
 その感覚こそ、大事にすべきことだろう。
 それこそ「大人の流儀」といえる。

 東日本大震災時の、貴重の記録を載せた一冊として
 この『続 大人の流儀』をもっと記憶されていい。

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 先日第21回となる本屋大賞が発表されました。(2024年)
 受賞したのは、宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』。
 書店員さんが選ぶ賞だけあって、今書店の店頭では熱くなっています。
 本のタイトルをもじれば、
 「宮島未奈は(この本で)天下を取りにいく」といったところでしょう。

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 この本の冒頭を飾る短編「ありがとう西武大津店」は、
 第20回「女による女のためのR-18文学賞」の大賞を受賞(2021年)しています。
 ここに登場する成瀬あかりという中学2年生の、ちょっと個性的な女の子と、
 滋賀県大津という割と地味な土地を舞台にした6つの短編で
 この『成瀬は天下を取りにいく』は出来上がっているのですから、
 連作短編集ともいえますが、小気味いい長編小説として読むのもありだと思います。
 中学2年の成瀬が、6つめの作品「ときめき江州音頭」で大学受験前の
 高校三年になっているのですから。

 この作品は、ひとえに成瀬の個性で読ませているといってもいい。
 何しろ「200歳まで生きる」とか大津から西武百貨店が撤退したあと
 自分で大津に百貨店をつくると宣言するような女の子ですから。
 もし、心が弱ったそんな時に、この本を読むと、
 おそらく元気がもらえるのではないでしょうか。
 何故なら、成瀬のように人とちがっていても平気な女の子だっているのですから。
 きっと、この作品はコロナ禍がおさまったこの時代の青春小説として
 名前が残るにちがいない。
 最初の作品のタイトルをもじれば、
 「ありがとう成瀬あかり(宮島未奈さん)」といいたくなります。

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 NHKの第110作めとなる連続テレビ小説(通称 朝ドラ)「虎に翼」
 2024年4月から始まりました。
 今回は日本初の女性弁護士となった三淵嘉子さんがモデルとなっています。
 長尾剛さんの『三淵嘉子 日本初の女性弁護士』は2024年3月に刊行された文庫本で
 もちろん朝ドラを意識した小説仕立ての評伝です。

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 三淵嘉子さんは大正3年(1914年)11月13日。
 この年の干支は寅で、朝ドラの主人公が「寅子(ともこ)」となっているのは、
 そういうところから。
 ちなみにタイトルの「寅に翼」とは「強い上にもさらに強さが加わる」という
 中国の韓非子の言葉らしい。
 この大正時代、まだまだ女性の地位が低い頃で、
 三淵さんのように女性が弁護士になるなんて到底考えられませんでした。
 「学問や自己主張が女の美徳にならなかった時代に成人して、
 戦後もまだまだ尾を引く学歴社会で命じられるままに働き、心が存分に手足をのばす場、
 自分をほんとうに生かす場、は乏しかったと。」と書いたのは、
 三淵さんから6年後の1920年に生れた詩人石垣りんですが、
 おそらく三淵さんも同じような時代を生きたのだと思います。

 三淵という姓は、再婚の相手のもの。
 最初の夫は戦病死というつらい時代を彼女も生きたことになります。
 朝ドラ「虎に翼」は始まったばかりで、
 この作品を読むのはかなり早すぎる予習ですが、
 やっぱり気になりますもの。

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 満開の桜もいいですが、
 散り際の桜も風情があっていいものです。
 「花筏」という川面に散った桜を表す言葉もいいものです。
 菜園の横を流れる鴻沼川も
 桜が散って花筏となっていました。

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 そして、これは畑のジャガイモの芽に散りかかった桜の花びら。

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    しきりなる落花の中に幹はあり        長谷川 素逝

 この季節ならではの写真です。

 ホームセンターでは夏野菜の苗が出始めました。
 さっそく購入して13日の土曜日に植え付けを行いました。
 購入したのは、黄色い中玉トマト、赤いミニトマト、丸ナス
 菜園での提供の苗は白ナスを選択したので
 今年は別に丸ナスも育ててみることにしました。
 これらの野菜は長い期間栽培されるので
 元肥は溝施肥にしました。

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 そのあとに黒マルチを張って苗を植え付けました。

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 この日はエダマメの種も蒔きました。

 遅れていたスナップエンドウ
 ようやく花がつき始めました。

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 白い花は普通のスナップエンドウ、紫の花は紫莢のスナップエンドウ
 しかも、よく見ると、
 紫の莢がつき始めているではないですか。

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 次の野菜の植え付けが迫ってきて、
 果たしてどれだけ収穫できるものやら、
 菜園での夏野菜の苗の提供は今月下旬。
 さてさて、どうなることやら。

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 2019年10月に亡くなったイラストレーターの和田誠さんのたくさんの仕事の一つに
 「絵本」があります。
 絵本での大切なこととして、
 「まず絵がいいこと。上手じゃなくてもいいから、魅力的な絵。
 面白い流れがあること。物語であっても、感覚的なものであっても、
 あとは展開させるデザイン」と話しています。
 『ぬすまれた月』は、そんな和田さんが初めて手がけた自作絵本です。
 1963年のこと。

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 その時のことを和田さんは後年こう語っています。
 「画家がお話も作るというのが条件でした。ぼくはまだ駆け出しのイラストレーター。
 作と絵の両方をやるのは初めてで自信もなく(中略)ドキドキしながら参加した」と。
 本人はそう言いますが、そんなことはありません。
 この絵本はとてもうまく出来ていて、
 和田さんの言葉を借りるなら「展開させるデザイン」がずば抜けています。

 柱になるのが、空から月をとってきたお話。
 そんな大事な月がある時盗まれて、さまざまな人の手にわたります。
 ご存じのように月は時々で姿かたちを変えるので、
 そのあたりが物語を面白くさせています。
 こんな物語の前後に、月のかたちであったり変化がどのように起こるのかを
 巧みなイラストで説明していきます。
 そのバランスがとてもいい。

 最初の刊行以来、何度かリニューアルされながら読み継がれているのも、
 絵本としても魅力があるからです。
 そう考えると、和田さんにとって「絵本」はとっても大切な仕事だったに違いありません。

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 昨日紹介した
 東直子さんの『魚を抱いて 私の中の映画とドラマ』巻頭のエッセイは
 NHK広島発のドラマ「火の魚」でした。
 室生犀星の原作、渡辺あやさんが脚本を担当しています。
 エッセイの中で東さんはこんなことを書いています。
 「連続テレビ小説『カーネーション』などがとても好きで、
 映画やドラマに「渡辺あや」の名前を見つけると、ときめいてしまう。
 私も同じで、朝ドラ「カーネーション」(2011年)にはまって以降、
 渡辺あやというシナリオライターに「ときめいてしま」います。
 昨年日本映画専門チャンネルというCSで、
 渡辺あやさんが携わった映画やドラマを特集して番組があって
 ドラマ「火の魚」もその時に放映され今日ていました。
 今日は映画ではなくドラマですが
 「火の魚」の話です。

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 ドラマ「火の魚」はNHK広島放送局で2009年に制作されたドラマで、
 原作は室生犀星の短編小説で、脚本は渡辺あやさん。
 ドラマとしての評価が高く、その年の文化庁芸術祭大賞(テレビ・ドラマ部門)を受賞
 物語は犀星の『密のあわれ』という作品の表紙「金魚の魚拓」の製作をめぐる、
 犀星と装幀家栃折久美子との物語です。

 ドラマでは室生犀星は村田省三となっていて原田芳雄さんが演じています。
 栃折久美子は折見とち子になっていて、尾野真千子さんがとても上手い。
 渡辺あやさんの朝ドラ「カーネーション」のヒロインも尾野真千子さんでしたが、
 このドラマはそれに先行していたんですね。

 年老いて気難しい作家の原稿を受け取りにくる編集者の折見。
 彼女につらくあたる老作家ですが、
 次第に二人の心がつながっていきます。
 老作家は新しい本の装幀に「金魚の魚拓」を使うことにし、
 彼女に魚拓することを強いります。
 生きた金魚を殺すところから魚拓作りは始まります。
 そんな彼女にガンが見つかり、老作家にところに来ることはなくなります。
 折見の病院を訪ねてくる老作家。
 尾野真千子さんの視線のなんと柔らかなことでしょう。
 そして、原田芳雄さんの意地っ張りな表現にも愛情を感じます。

 このドラマは映画とはちがって
 60分にも満たないですが、
 とても余韻の残る、いい作品です。
 やっぱり、渡辺あやさんにときめきます。

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 歌人でもあり作家でもある東直子さんの名前を
 近頃書店の店頭でよく見かける。
 つまりは、多くのファンがいる歌人・作家ということだろう。
 そんな東さんが自身で観て、心を揺さぶられた映画やドラマについて
 自身によるイラストと短歌、そしてエッセイを収録したのが
 本書『魚を抱いて 私の中の映画とドラマ』である。

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 エッセイが綴られた作品は21篇。
 例えば、こんな作品。
 「2001年宇宙の旅」「ビッグ・フィッシュ」「トニー滝谷」「いつか読書する日」、
 ドラマでは「火の魚」「あまちゃん」「平清盛」(大河です!)など。
 そんな映画やドラマに誘発されて詠まれた短歌はどんなものか。
 朝ドラで人気が高い「あまちゃん」でいえば、
 「何度でも生まれかわって海になる棘を育てて咽喉を鍛えて」とある。
 紹介されている作品と短歌の、この距離感がなんともいえない。
 それはイラストでもそうだ。
 むしろ、一番わかりやすいのがエッセイともいえる。
 そのあたりのことを、東さんは
 「それぞれの作業は脳の使いどころが違うようで」と書いている。

 東さんはまた映画館で過ごした時間をこう表現している。
 「映画館独特の、少し甘い匂いのするあたたかな薄闇は、非日常へ誘われる心の旅」だと。
 映画好きならではの同じ匂いがする、こんな言葉がうれしいエッセイ集だ。

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 詩人石垣りんの詩篇の紹介とそれに添えられたエッセイを集めた『詩の中の風景』は、
 詩人生前の1987年から92年の長きにわたって「婦人之友」に連載されていたもの。
 53篇の詩の紹介は、
 佐藤春夫にはじまり谷川俊太郎茨木のり子といった同世代の詩人に至るまで
 見事に選びとられている。
 目次に並んだ詩人の名前を眺めているだけで、
 この国は豊かな言葉を生み出す風土を持っていたと感じいる。

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 このエッセイで初めて知る詩人もあって、
 そのうちのひとりが大関松三郎
 大正15年生まれの大関は戦争で亡くなっていて、
 詩人としての才能は小学生の頃に書いた手書きの詩集だったという。
 石垣は大関の詩集『山芋』から「虫けら」を紹介していて、
 添えられたエッセイにこんな一節を綴っている。
 「かなり評判になった本でもたちまち絶版、廃刊になってしまう。
 濁流のようなものの勢いを感じます。」
 こういう文章を辛辣と世間ではいうかもしれないが、
 石垣りんの魅力はそこにあって、
 だからこそ時代を見つめる視点に揺るぎがない。

 また、別のエッセイでこんな文章を見つけたりする。
 「私は自分の言葉が欲しかったのだろうと思います。
 これだけは言いたい、これを言うからにはどんな目に会ってもいいと。
 もし、時代が今でも石垣りんを欲しているなら、
 この世界は彼女が生きた時代とそう変わっていないのだろう。
 もっと自由であれ、と石垣りんの声が聞こえてきそうだ。

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 作家で歌人(しかもこのエッセイを執筆中のほとんどは会社員として)の
 くどうれいんさんが文芸誌「群像」に2020年から2022年にかけて連載された
 エッセイ23篇を収めたエッセイ集。(うち、1篇は書き下ろし)
 書名の『虎のたましい人魚の涙』は、そのうちのひとつのエッセイのタイトルで、
 「琥珀」の別名でもあるそうだ。

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 くどうさんのエッセイの心地よさは、
 さくらももこさんの漫画『ちびまる子ちゃん』に似ているように思う。
 くどうさんが「まる子ちゃん」に似ているというのではない。
 まる子ちゃんもまる子ちゃんのお父さんもお母さんも
 あるいはおじいちゃんもたまちゃんも花輪君もはまじも、みんないる
 「ちびまる子ちゃん」の世界観がそっくりあって、
 時にはまる子ちゃんの顔をして、時にはたまちゃんの顔が出たりする。
 はまじのようなおふざけもあったりする。

 くどうさんはこのエッセイの中で小学生の頃には
 体育館のすみっこで漫画『ちびまる子ちゃん』を読んでいたことを告白(?)している。
 だからというわけではないが、
 くどうさんは大人になった「まる子」に近いかも。

 このエッセイを連載中に
 『氷柱の声』が芥川賞の候補になって、
 その時のまわりの声や自身の苛立ちなどがエッセイに書かれていたりする。
 そして、このエッセイ集の最後には
 会社員と作家どちらをとるかという選択から書くことを選びとる、
 そんな心の綾も描かれている。
 そういう、誰にでもある葛藤を素直に描けるのが
 くどうれいんさんの魅力といえる。

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 「私は英雄ではなく、市井の人々が生き生きと立ち上がる創作を志す者です。
 これは『つまをめとらば』で第154回直木賞を受賞(2016年)した青山文平さんが
 『父がしたこと』(2023年12月刊行)出版に際してなされたインタビューで
 語った一文です。
 この長編小説は「医療時代小説」と称されていることもあるようで、
 確かに全身麻酔で日本で最初の乳がん手術を成功させた華岡青洲の高い技術を受け継いだ
 地方の名医が施す麻酔治療を描いてはいますが、
 医療という世界だけではなく、
 藩主とそれに使えるもの、父と子、母と嫁といった
 人間が生きていくなかで生まれていく関係を描いた作品といえます。

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 主人公である目付永井重彰の父は長年藩主に仕える小納戸頭取の職にある。
 痔ろうの病の重い藩主は、名医の呼び声高い高坂に麻酔を用いた施術を行うことになる。
 立ち合いは重彰とその父。
 重彰の息子は肛門がない鎖肛として生まれ、
 高坂は施術で見事に肛門を作り出してくれた恩人の医師でもあった。
 藩主への施術も成功し安堵する重彰に高坂の不慮の死が伝えられる。
 物語はその後、急転していく。
 『父がしたこと』という、なんともそっけないタイトルだが、
 読み終わったあと、このタイトルが持つ重みを感じることになるだろう。

 「父」がなしたことを、「男」がなしたことと言いかえた時、
 あなたならどう感じるだろう。
 それこそ、主人公の重彰の心でもある。

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 今年の桜の開花ほどやきもきしたことはないかも。
 ここ何年か、開花が早まっていたから、余計にそう感じます。
 埼玉でもようやく満開の桜を愛でることができました。
 これは、昨日(4月7日)の菜園の横に並ぶ桜。

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 それでも、天気予報を見ると、花曇りとか花冷えという言葉が並びます。

    ゆで玉子むけばかがやく花曇        中村 汀女

 雨に散ってしまう前に、桜の景色を満喫しましょう。

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 スナップエンドウの花は
 私の畑のまわりではちらちら咲いてきていますが
 何故か私の畑では花が咲かない。
 それでも紫莢のスナップエンドウの花が少し咲いてきました。

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 次の夏野菜の栽培開始までに実をつけるかどうか。

 こちらはネギ

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 よく見ると、ネギ坊主がつきはじめました。
 「葱坊主」は春の季語でもあります。

    葱坊主どこをふり向きても故郷       寺山 修司

 ジャガイモの生育も今年はやはり遅い。
 男爵もメークインも芽を出してきたところ。

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 桜の開花が遅かったように
 野菜の生育もなかなかうまくいっていません。
 それでも、次の夏野菜の栽培が近づいてきているので
 畝づくりとか種まきを始めたりします。

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 手前の畝の不織布をしているところにはサンチュの種を蒔きました。
 その両隣には、今年は白ナスピーマンを栽培します。
 その向こうの黒マルチを張った畝には
 エダマメ中玉トマトを栽培します。
 苗の入荷は今月下旬で
 そのためにはもうこの時期から元肥を入れておかなくてはなりません。
 それでも菜園で作業する皆さんは
 やはりどこかうれしそうです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  私が暮らしているあたりでは
  明日8日に小学校も中学校も入学式のようです。
  遅れていた桜もちょうど満開でしょう。

    入学児手つなぎはなしまたつなぐ      右城 暮石

  そんな子供たちに今日は贈りましょう。
  谷川俊太郎さんが文を書き、
  和田誠さんが絵を描いた、
  絵本『ともだち』。
  この季節必ず読みたくなる一冊です。
  この春もまた読みました。
  このブログでも何度か紹介してきました。
  今日は2021年4月に書いたものの
  再録書評で紹介します。

  じゃあ、読もう。

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sai.wingpen  ともだちって何だろう                   

 この絵本は2002年11月に出版されています。
 てっきり新学期が始まる頃に作られたとばかり思っていました。
 それでもやっぱりこの絵本は、入学式や新学期のある春にぴったりだと思います。
 そんな子供たちにそっと読んであげたい一冊です。

 文を書いたのは詩人の谷川俊太郎さん。
 なので、詩を読むように読むのがいい。
 最初に「ともだちって」とあります。
 谷川さんの文を読む前に、少し自分で考えてみましょう。
 「ともだちって」どんな人のことをいうのかな。
 谷川さんが書いたなかに「いっしょにかえりたくなるひと。」とあります。
 あなたも。そうですか。
 谷川さんの文を読んだら、もう一度「ともだちって」何だろうと考えてみるといい。
 その次に出てくるのは「ともだちなら」。次が「ひとりでは」、そして「どんなきもちかな」と続きます。
 この「どんなきもちかな」は、こんな時ともだちはどんな気持ちになっているか、考える問いです。
 「けんか」というのもあります。ともだちだから、いつも仲良しとは限らない。時にはけんかもします。
 「ともだちはともだち」では、「ことばがつうじなくてもともだちはともだち」とあります。
 このあたりから、絵本の世界はぐんと広がってきます。
 最後の「あったことがなくても」で綴られる文は、いろんなことを考えさせてくれます。
 だって、あったことのない世界で生きている人たちのことを考えるのですから。

 和田誠さんの絵がすばらしい。
 話もしたこともないし、もうなくなってしまいましたが、和田誠さんはわたしにとって片思いの「ともだち」みたいな人でした。
  
(2021/04/11 投稿)

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レビュープラス
 四月は新年度のはじまりです。

    新社員名馬の像を見上げをり       大串 章

 新入生とか新入社員だけでなく、
 新しい生活を始めるという人も多い季節です。
 つまり、人は変化を求める生き物だといえます。
 映画やドラマでもそれは同じで、
 主人公たちが成長する様が大きいほど感動を呼ぶといわれています。
 今日はそんな映画を紹介しましょう。
 映画は「天使にラブ・ソングを・・・」です。

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 映画「天使にラブ・ソングを・・・」は1992年公開(日本では翌年公開)の
 アメリカ映画です。
 アメリカだけでなく、日本でも大ヒットしました。
 その当時、まだ小学生だった下の娘が夢中になった作品で
 テレビ放映されたものを録画して、
 それを何度も何度も観ていたのを覚えています。

 物語は、殺人の現場を見てしまったクラブ歌手が
 厳格な修道院で匿われておこる騒動を描いています。
 主人公となるクラブ歌手を演じるのはウーピー・ゴールドバーグ
 最初はひねくれて、あばずれだった彼女が
 修道院の聖歌隊の歌を指導をしていく中で、
 どんどん成長していくのがよくわかります。
 自己中心から他者を思いやる心。
 そして、この映画の良さは主人公だけの成長にとどまらないところ。
 聖歌隊のメンバーの各人の成長や厳格な修道院長もまた
 主人公とともに変化していくのがよくわかります。

 劇中の歌もいいし、
 この映画でウーピー・ゴールドバーグの人気は不動のものになりました。
 ちなみに彼女は1955年生まれ。
 私と同世代です。

 四月。
 いい映画を観て、前に進みたいものです。

    つまさきに力をこめて巣立ちけり        野中 亮介

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 初めてのフォトストーリーと銘打たれたこの本『彼女たち』は
 文を書いた桜木紫乃さんと写真を担当した中川正子さんの
 類まれな心がふっとほどけるような一冊だ。
 文でいうなら短編というよりショートショートというべきか、
 それとも三篇の詩のようでもある。
 三篇の物語は小さな喫茶店で交わって、だとしたらこれらは
 連作短編だといえる。
 そして、多くの言葉で語られないものを中川正子さんの写真が
 そっと風のように寄り添う。
 あるいは、喫茶店に流れる静かな音楽か。
 そんな丸ごとがこの本といっていい。

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 「だいじょうぶ。わたしたちにはいまを乗り越える力がある―。」
 本の帯のこの一文は、本文では少し違っていて、
 70歳の誕生日を喫茶店で迎えたケイという女性が
 他の席にいる女性にむけて、ふっとつぶやく。
 「だいじょうぶよ。あなたたちはいまを乗り越える力があること、」
 そして、こう続く。
 「わたしは知っているの。」と。
 70歳のケイなればこそ、いえる言葉だろう。

 桜木紫乃さんの文章を読むか、
 中川正子さんの写真を見るか、
 お二人の作品を交互に楽しむか、
 この本は何度でも読者を誘ってくれる一冊だ。
 お気に入りの喫茶店の片隅で読みたくなる一冊でもある。

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 今日は二十四節気のひとつ、清明(せいめい)
 万物が溌剌としている意味だとか。

    清明の雨に光れる瑠璃瓦       古賀 まり子

 そういえば、この女性(ひと)は毎日溌剌していますから
 清明の女性といえます。
 この女性、それはサザエさん。
 年4回の季刊で発行される
 AERA臨時増刊の「サザエさん」の2024年春の巻が出ました。
 『サザエさん2024春』で、作者はもちろん長谷川町子さん。
 「サザエさん」と「エプロンおばさん」、全部で164本の漫画が収められています。

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 今回の特集は「桜と里山」。
 春といえば、桜。それはサザエさんが活躍していた昭和の時代でも同じ。
 しかも、四月には「昭和の日」があったり、五月には「みどりの日」があったりと
 表紙にあるように「花と緑が彩る昭和の春」がぴったり。
 「サザエさん」の面白さは、今読むと昭和という時代を描いた面白さともいえます。
 例えば、花見に出かけたサザエさんが場所とりに広げるのは新聞紙だったりします。
 さすがに令和の時代に新聞紙を広げて座る人もいないように思います。
 こんなに昭和を楽しめる作品も少ないのではないかしら。

 それにしても今年の桜。
 多くの人の予測を裏切って、なかなか咲いてくれませんでした。
 まだほとんど花をつけない桜の下でのお花見の光景はなんだか寂しいもの。
 せめてこの雑誌を読んで、笑いませんか。

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 書名にある「世傳」とは「代々にわたって伝えていく」という意味で、
 高田郁さんの人気シリーズにぴったりの言葉です。
 「瀑布(ばくふ)篇」は、その『あきない世傳 金と銀』の第八巻めになります。
 ちなみに「瀑布」とは、高い所から白い布を垂らしたように、直下する水の流れをいう。
 ということは、新たな小紋染めで人気を集めることになった呉服商「五鈴屋」だが、
 思いがけないことに巻き込まれるという展開になるということ?
 七代目店主の主人公の幸(さち)がどう向き合うのか、ネタバレありの、ご用心、ご用心。

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 まず、最初の禍(わざわい)。
 江戸の町に麻疹が流行し、多くの死者が出て、呉服の商いの勢いがとまってしまうこと。
 どこまで作品と関係があるかわからないが、
 この第八巻が出版されたのは2020年2月でコロナ禍で日本中が混乱し始めた時。
 まるで現代の禍を予感させるような展開といえる。
 それをなんとか凌ぐが、次は幕府から千五百両の上納金を納めよというお達しが届く。
 商売が好調ゆえの、幕府からの無理押し。
 さらには、幸のあとの八代目店主を誰にするかという問題。
 当初は幸が世話になりその商才を鍛えられたもと番頭治兵衛の息子賢輔を考えていたが、
 まだ経験不足もあってためらう幸。
 その賢輔に恋心を抱く妹結(ゆい)だが、賢輔の心が自分に向いていないことに気付いて、
 この巻のラストには大事件が起こってしまう。

 えーっ、まさかの展開に、九巻急いで読まなくちゃ。

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プレゼント 書評こぼれ話

  4月になりました。
 
    大学にポスター多き四月かな       宇佐美 敏夫

  この俳句のような光景は今もあるでしょうね。
  新しいことが始まる高揚感が4月にはあります。
  と書きながら、今日この本の紹介どうしようかと思いました。
  何しろ、タイトルが『クリスマスイブの出来事』。
  なんとも季節に合わない本を選んだものと恨まないで下さい。
  月初めなので、いつものように
  星新一さんのショートショート本を
  紹介するのですが
  その13巻めのタイトルなのでがまんして下さい。
  ということで今日は
  「クリスマスイブの出来事」というタイトルの『星新一ショートショートセレクション13』を
  紹介します。
  ああ、春なのに…。

  じゃあ、読もう。

   65202093.jpg

  sai.wingpen  星新一と和田誠の怪しい?関係                   

 『星新一ショートショートセレクション13』(理論社)。
 表題作である「クリスマスイブの出来事」をはじめとして、21篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。

 表紙の和田誠さんのイラストが笑わせてくれる。
 大きなトナカイがサンタクロースをまるで飼い犬のように持っている絵。星新一さんのショートショートをイラストにしたものかと思うだろうが、表題作「クリスマスイブの出来事」はこのイラストとはまったく違うので、ご注意あれ。
 では、どんな話かというと、クリスマスイブの夜に贈り物を届けていたサンタクロースが泥棒と間違えられるコント風のもの。
 ストーリーをじゃましない和田さんのイラストを、星さんは気に入っていたようだ。

 和田さんのイラストで今回秀逸だったのは、「協力的な男」という作品につけられた挿絵。ほかの作品でもそうだが、作品ひとつに和田さんの挿絵が一枚、一ページ分つく。
 この「協力的な男」の場合、和田さんは一ページを使って、何の変哲もない男の上半身を描いただけ。
 この絵から、強奪事件の犯人だと自首してきた男とその男の嘘に騙される警察の話を想像できる人はいないだろう。
 それでいて、星さんが作品で書いた自首をしてきた男はきっとこんな風貌だろうと思わせるものが、和田さんのイラストにあるのが不思議だ。

 星新一さんと和田誠さん。
 二人の力が合わさって、星新一ワールドはうんと広がったといえる。
  
(2024/04/02 投稿)

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レビュープラス
 今日4月1日はエープリルフール
 この日は嘘をついても許される日です。

    エイプリルフールの駅の時計かな        轡田 進

 なので、ひとつ嘘を。
 桜が満開になりました。
 去年ならこの話も本当のことだったですが、
 今年は嘘。
 菜園の横を流れる鴻沼川沿いの桜も
 昨日の日曜(3月31日)まだほとんど開花していません。

  20240331_095514_convert_20240331153756.jpg

 えーっ?!ウソー?! といいたくなります。
 近くで少し咲き始めた桜もありますが、
 一体どうなっているの?

  20240331_105420_convert_20240331154000.jpg

 しかも、週末は夏日が続いて、気分はもう初夏。
 これって、四月馬鹿な天候?

 こんな気候なので
 先週も書いたようにまだスナップエンドウには花もつきません。
 こちらは、冬越し野菜のひとつ、ニンニク
  20240324_095326_convert_20240331153650.jpg

 元気そうですが、土の中で育ちますから
 果たしてどんな大きさになっているやら。

 2週間前に種まきをしたカブ
 小さな芽を出しました。

  20240331_095638_convert_20240331153834.jpg

 四月はこんな風に芽を出して
 新しい生活を始めた人も多いことでしょう。

    名を呼べば視線まつすぐ入学児        鷹羽 狩行

 こちらは収穫したミニニンジン

  20240331_102550_convert_20240331153922.jpg

 思った以上によく育っています。
 しっかり成長する野菜もやっぱりあって
 学校や会社の先輩の皆さん、
 温かい目で見守ってあげてください。

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