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 初めてのフォトストーリーと銘打たれたこの本『彼女たち』は
 文を書いた桜木紫乃さんと写真を担当した中川正子さんの
 類まれな心がふっとほどけるような一冊だ。
 文でいうなら短編というよりショートショートというべきか、
 それとも三篇の詩のようでもある。
 三篇の物語は小さな喫茶店で交わって、だとしたらこれらは
 連作短編だといえる。
 そして、多くの言葉で語られないものを中川正子さんの写真が
 そっと風のように寄り添う。
 あるいは、喫茶店に流れる静かな音楽か。
 そんな丸ごとがこの本といっていい。

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 「だいじょうぶ。わたしたちにはいまを乗り越える力がある―。」
 本の帯のこの一文は、本文では少し違っていて、
 70歳の誕生日を喫茶店で迎えたケイという女性が
 他の席にいる女性にむけて、ふっとつぶやく。
 「だいじょうぶよ。あなたたちはいまを乗り越える力があること、」
 そして、こう続く。
 「わたしは知っているの。」と。
 70歳のケイなればこそ、いえる言葉だろう。

 桜木紫乃さんの文章を読むか、
 中川正子さんの写真を見るか、
 お二人の作品を交互に楽しむか、
 この本は何度でも読者を誘ってくれる一冊だ。
 お気に入りの喫茶店の片隅で読みたくなる一冊でもある。

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