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 橋本忍
 戦後の日本映画を牽引した脚本家。
 彼の名を一躍高めたのは、おそらく1974年公開の「砂の器」(野村芳太郎監督)だろう。
 もっとも映画に深く関心のある人なら、「張込み」(1958年)や「切腹」(1962年)、
 さらにはTV草創期の名作ドラマ「私は貝になりたい」の脚本も知るところだろう。
 いやいや、橋本のデビュー作はあの黒澤明監督の「羅生門」(1950年)とくれば、
 橋本忍という脚本家がどれだけすごい人だったかわかるはずだ。

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 橋本は1918年生まれ。亡くなったのは2018年100歳の時。
 戦時中に結核を病み、その療養中に独自でシナリオの勉強を始めた。
 当時日本一の脚本家として知られた伊丹万作に師事し鍛えられていく。
 そんな橋本の人生を、
 生前行われたインタビューと関係者への聞き取り、
 橋本が残した資料や関係文献を緻密に取材したのが
 春日太一さんの『鬼の筆』だ。
 取材開始から本の刊行までに12年かかったというから、
 労作というしかない。
 そして、労作だけあって、読み応え十分といえる。
 橋本作品のファンだけでなく、日本映画に興味のある人にとっては
 欠かせない一冊になるだろう。

 橋本の代表作といえば「砂の器」であったり「八甲田山」であるのは間違いないが、
 橋本のフィルモグラフィを見ると、この2つの作品は後期に分類される。
 そのあと、彼は駄作を連発していく。
 この本の副題で使われている「栄光と挫折」はそのことを差している。
 だからといって、橋本が残した名作の光は日本映画史から消えることはない。
 そういえば、筆者の春日太一さんの肩書は「映画史研究家」でもある。

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