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本 今回もNHKBS2の「私の冊 日本の100」の話です。
ただ、すでに放映済(12月3日)なのですが、どうしても書いておきたいんですよね。

本 この回は作家で書誌学者のリンボウ先生(林望さん)が紹介していた「わたしの一冊」です。
リンボウ先生お奨めの一冊は、田中冬二さんの『青い夜道』という詩集なんですね。
しかも、昭和四年に刊行された本なんですが。
みなさん、、田中冬二さん(1893-1980)という詩人、知ってました?
私は、今回初めて知りました。
この番組の中でも何篇か、、田中冬二さんの詩が紹介されていたのですが、
これが、また、いいんですよね。
ちなみに、ひとつ書いておきますね。
くずの花」という題名の詩です。

        ぢぢいと ばばあが
        だまつて 湯にはひつてゐる
        山の湯のくずの花
        山の湯のくずの花


どうです? これだけの短い詩なんですが、静かな風景がにじんできませんか。
それでいて、湯の音が聞こえてきそうではありませんか。
リンボウ先生は「こんなに美しい日本語があるだろうか」って言ってましたが、
日本語というのは饒舌な言語ではなく、寡黙が似合う言語かもしれませんね。

本 そうそう、今回書きたかったのは、、田中冬二さんの詩のことではなく、
彼の詩集(昭和四年刊行 第一書房版 絶版)についてなんです。
リンボウ先生がとてもいいことを言っていました。

  「なんて綺麗な本だろうって思いました。
  詩集っていうのはやっぱり、単なるデジタル、文字データではなくて、
  こういう本というオブジェ全体がひとつの芸術になっているというのが、
  日本における詩集のスタイルなんですよね。
  一種の美術品なんですよね、詩集って」

リンボウ先生が「オブジェ」って言葉を使った時、鳥肌がたつような気分でした。
何かがわかったというか。
私たちが日頃何気なく手にしている本というのは、そういう観点で見たとき、
ものすごく違ったものに見えてくる。
それがこの「オブジェ」という言葉に凝縮されているような気がします。
だから、どんなにITが普及しても、本のもっている形とか匂いとか手触りとかは
絶対になくならないと思うんですよね。
そんなことを考えさせられた、番組でした。



青い夜道 (愛蔵版詩集シリーズ)青い夜道 (愛蔵版詩集シリーズ)
(2006/03)
田中 冬二

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