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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  私のバースディ。
  それと、
  漫画の神様手塚治虫さんの命日でも
  あります。
  手塚治虫さんが亡くなったのは
  1989年ですから
  生まれ変わりということには
  ならないのが残念です。
  手塚治虫さんほどの才能があれば
  私の人生もまた
  大きく変わったでしょうが、
  漫画家としての苦悩を
  思えば、
  ごく平凡な人生も、また
  いいのかと
  思います。
  そこで、今日は
  手塚漫画を紹介する
  『手塚治虫クロニクル 1968~1989』で
  手塚治虫さんの軌跡を
  たどります。

  じゃあ、読もう。

手塚治虫クロニクル 1968~1989 (光文社新書)手塚治虫クロニクル 1968~1989 (光文社新書)
(2011/11/17)
手塚治虫

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sai.wingpen  苦悩の人                  矢印 bk1書評ページへ

 前作『手塚治虫クロニクル1946~1967』に続く『1968~1989』までの代表作を部分掲載した、「漫画の神様」の手塚治虫の後期の傑作集である。
 特に『アドルフに告ぐ』や『きりひと賛歌』、『グリンゴ』といった大人を意識した作品が多くなっている。それは劇画という従来の漫画手法を、そしてそれははからずも手塚漫画に代表されるものであるが、変革する流れのなかで負けじと描かれてきた作品群だ。
 ただ、それが手塚治虫の漫画かというと、かなり無理があるような気がしてならない。
 世評に高い『アドルフに告ぐ』にしてもその物語性は高く評価するとしても、手塚漫画がもっていた丸っこい描線が消え、絵そのものにぎこちなさを感じる。

 手塚治虫は少年漫画のままではダメだったのか。

 名作といわれる『火の鳥』(本書にはその「鳳凰編」の一部が掲載されている)はそのテーマは大人でも十分鑑賞に堪えうるもので、しかも漫画の線は手塚漫画のやわらかさを維持している。
 それは後期の代表作になった『ブラック・ジャック』についてもいえる。
 その理由として、それらが少年詩での発表だったからだろう。これらの作品で手塚は子供たちに媚びることはしていない。生命の神秘を、生と死の問題を、きちんと示した。
 手塚がもしこれらの作品を青年誌に発表していたら、どんな作品に仕上がっただろう。これらが少年誌に発表されてよかったと思う。

 巨匠となった手塚治虫を少年誌から青年誌という時代の流れのなかで、従来の魅力を捨てざるをえなかったのかもしれない。どちらかといえば、物語性に重点を置き、自身の絵の弱点を補おうとしたのではないだろうか。

 手塚治虫の43年に及ぶ長い道のりを、このような形の2巻のつづきで俯瞰すると、実は手塚治虫ほど苦悩した漫画家はいなかったような気がする。
 あらためて、手塚治虫は偉大だったと痛感するばかりだ。
  
(2012/02/09 投稿)

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