02/12/2012 ふゆのあさ(村上 康成):書評「違う顔をした朝」

連日、北陸や東北の大雪のニュースが続きます。
そんな中で
今日、村上康成さんの『ふゆのあさ』という
絵本を紹介するのは
少し心苦しいのですが、
もちろん絵本には罪はありませんが、
子供たちの、雪の朝の気分もまた
真実だろうと思います。
一時期、福島に住んだことがあって
その際には東北の各地を
仕事でまわっていましたが
雪をみると
やはり大変だなと思います。
冬の期間が長いですから、
積もる雪との格闘が
ずっと続きます。
まして、お年寄りが増えていますから
雪かきなども
つらい。
早く春になってほしいと
願う気持ちはよくわかります。
じゃあ、読もう。
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今年は例年になく雪が多い。豪雪地域に住む人にとっては過酷な冬になっています。屋根にも届かんばかりの雪を見ていると、地元の人の苦労はいかばかりかと思います。
それはわかっているのですが、雪の少ない街に住むと、雪が降るとうれしくなるのが正直な思いです。すみません。
小さい頃に比較的温暖な大阪の地方都市に住んでいたので、朝起きると雪が積もっているとうれしくて仕方がありませんでした。
その気分は大きくなっても同じで、珍しく雪が降った朝などはまっ先に起きだし、誰の足あともない白い世界を歩くのがうれしくてなりません。
この絵本の主人公しずちゃんもそうです。
朝の静かな気配に、「もしかして」と思い、そっと窓のカーテンを開きます。期待した通り、朝の街は一面の雪です。
家の屋根にも、街の木々にもたくさんの雪が積もっています。
それに雪はまだ「ポッ ポッ、ポッ ポ」と降っています。
いつもの朝の音も雪のなかに沈んでいます。
とっても静かな朝です。
雪のなかを飛ぶ鳥も、走り回るねこも、そして愛犬のシロも、みんな雪を楽しんでいます。
だって、そんな冬の朝を一番喜んでいるのがしずちゃんなのですから。
豪雪地域に住み人には申し訳ないですが、しずちゃんのうれしい気持ちはよくわかります。雪には気分を高揚させる不思議さがあります。
朝目覚めて雨の音を聞くと、あんなにがっかりするのに、雪だとうれしくなるのは何故でしょう。
白い色だから。やさしく降ってくるから。音を消してくれるから。
本当はいつもの見慣れた風景を変えてしまうからなのかもしれません。
なんだかいつもと違う一日が始まる予感があるからでしょうか。
朝はいつも同じ顔で始まるばかりではありません。
冬の朝、ときどき、とっても違う顔をして始まる朝があるのです。
そんな朝を描いた、冬に読みたい一冊の絵本です。
(2012/02/12 投稿)

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