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03/20/2009    書評:断る力
プレゼント 書評こぼれ話

  勝間和代さんの最新刊、と書こうと思ったら、3月18日の新聞に
  光文社新書からの新刊案内が出ていました。
  『会社に人生を預けるな』。
  いやあ、負けたというか、この環境下で、この題名で来るか、って
  いう感じですね。 これ、絶対売れますよ。
  勝間さん、絶好調ですね。
  それはともかく、二番目に新しい本のことです。
  勝間さんは以前かつて感銘を受けた本として、
  神田昌典さんの『非常識な成功法則』を紹介していたことがあるのですが、
  その中にも「断る力」の事例が出ています。
  「殿様バッタのセールス」という章。
  なーんだ、勝間さんは二番煎じかということなかれ。
  勝間さんはこの本の中でこうも書いています。
  それは「自己啓発本」について書かれた頁(255頁)です。
  「◎自己啓発本を読んで、ピンと来た手法を愚直に実行する
   ことです。この場合も大事なことは、
   「自己啓発本を読むだけのマニア」にはならない
   ことです。自己啓発書は古今東西、ほぼ同じことが書かれていると
   言われます。実際この本に書いてあることも、個別具体的な手法や
   エピソードは除いても、自己啓発書マニアにとっては新しいことでは
   ないかもしれません

  ね、ちゃんと書いているでしょ。
  そして、次が極めつけ。

  読んだら、必ず、何か一つでもいいから、実行してみましょう

  私は「勝間」ブランドの魅力は、ここに集約されているように
  思うのですが。

断る力 (文春新書)断る力 (文春新書)
(2009/02/19)
勝間 和代

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sai.wingpen  「勝間和代」に「No!」といいますか               矢印 bk1書評ページへ

 新書の一冊であるのにレーベルデザインではなく、真っ赤な表紙。そして、書店の平台ではお馴染みとなったご本人の顔写真。しかも、今回は正面にむかってパーンと手のひらを広げて「No!」のサイン。
 勝間和代という書き手はとてもブランディングの上手い人です。「勝間和代」ブランドをどう認知させ、高めていくかということで、本のデザインであったり販売戦略が組まれているように感じます。
 書物というものは不思議で、あくまでも商品ですから大量に流通されるべきものなのですが、一方で質を重視しそのように販売戦略を組むこと自体毛嫌いする傾向があります。「勝間本」というのはその矢面に立ちやすい事例でしょう。
 それをわかった上で、今回この『断る力』という本の出版をもってくるあたりが、勝間さんの自信の表れのように思います。
 この本の中にしばしば「同調志向・行動」という言葉が出てきます。
 「相手に合わせて行動すること」という意味ですが、その裏には「嫌われたくない」であったり「仲間外れになりたくない」といった心理がつきまといます。
 しかし、本書では「既存の枠組みを疑って、自分の軸を持ち、自分の評価で意見を表明する習慣をつけることが中長期的にはもっとも有効な成長方法であり、生き残り方法である」(54頁)と説明しています。これが「断る力」です。
 「勝間和代」は今ブランドになりつつあります。ブランドというのは消費者の忠実度を増加させますから、そのロイヤリティが高くなればなるほど代替はされ難くなります。しかし、反面それは「同調志向」も生むはずです。
 つまり、「勝間和代」というブランドを「No!」ということもできるのですよと、この本では教えているのです。
 先ほどこの本が勝間さんの自信の表れと書いたのは、そういうことです。

 勝間さんは「断る力が必要な理由」として「私たちの時間と能力が有限だから」(288頁)と書いています。
 勝間さんの愛読者(いわゆるカツマーと呼ばれる人たち)は若い人たちが多いでしょうが、本当に「断る力」を必要とするのは「時間」が少なくなってきた中高年の人たちではないでしょうか。
 中高年の「カツマー」というのも素敵ではないですか。
  
(2009/03/20 投稿)

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