fc2ブログ
プレゼント 書評こぼれ話

  もう少ししたら、
  卒業式シーズンです。
  今日紹介するのは、
  幼稚園の卒園式を描いた
  さこももみさんの『さよなら ようちえん』。
  さこももみさんは
  1961年生まれの絵本作家です。
  さこももみさんは
  自身の卒園式のことを覚えています。
  えらいな。
  私なんか、たぶん、ぼーつとしていたのでしょう、
  何にも覚えていません。
  さこももみさんは先生の言葉を
  覚えていました。
  「みんなは初めての小学校に行くだけで、
  十分がんばっているんだから」
  これって、
  幼稚園児だけでなく
  この春卒業する大学生にも
  使えそうですね。

  じゃあ、読もう。

さよなら ようちえん (講談社の創作絵本)さよなら ようちえん (講談社の創作絵本)
(2011/02/04)
さこ ももみ

商品詳細を見る

sai.wingpen  ここから始まる                矢印 bk1書評ページへ

 幼稚園の先生は森本先生だったと思う。クラスは花組。
 あの頃から、50年以上も経てば、覚えているのはそんなことぐらい。
 あ、そうだ。幼稚園の噴水には落ちたことがあったっけ。あれは夢だろうか。
 友だちの名前は誰も覚えていない。一体どんな行事があっただろう。
 卒園式は当時もあったはずなのに、ちっとも覚えていない。

 娘の幼稚園時代は少し覚えている。
 運動会、クリスマスパーティー、卒園式。さすがに娘の友達の名前は覚えていないが、時々はお迎えをしたことはある。
 幼稚園はまるで絵本みたいだ。
 自分の時代、子供たちの時代、それぞれに出合うものとして、幼稚園は絵本と同じだ。
 孫が生まれて、その子が幼稚園に通い出したら、また出合うのかもしれない。そんなことも絵本に似ている。
 絵本は人生で三度出合う。

 この絵本の「ななこちゃん」はこばとようちえんのたんぽぽぐみ。年長のクラスだ。そこにはたくさんの友だちがいる。
 どろだんご名人のゆうきくん。泳ぎの苦手なみゆきちゃん。お調子者のきすけくん。物知りなこのみちゃん。双子のかずやくんとかずまくん。
 ななこちゃんが気になるのは、秋に越してきたひろきくん。いつもひとりでいる。
 そんなある日、雪の朝、ひろきくんは青いスモックに雪を受けとめて、「ゆきって ひとつひとつ かたちが ちがう」って言った。
 雪の結晶は形がすべて違う。
 ななこちゃんの友だちがみんな違うように。
 それが「個性」だということを、ななこちゃんが知るようになるのは、おそらくもっとずっと先だ。

 そして、卒園式。
 ななこちゃんも、ななこちゃんの友だちもみんなお別れ。小学生という新しい春へむかって、お別れだ。
 ななこちゃんは、50年後にも幼稚園のことを覚えているだろうか。
 ひろきくんの雪の結晶の話を覚えているだろうか。

 ここから始まる。
  
(2012/02/26 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/1248-b76229d4