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プレゼント 書評こぼれ話

  いよいよ松谷みよ子さんの
  「モモちゃんアカネちゃん」シリーズも
  この巻で最後。
  『アカネちゃんの涙の海』です。
  最後はとても悲しいけれど
  それでもモモちゃんも
  アカネちゃんも
  お母さんと一緒に
  成長していくだろうと思わせるラスト。
  私たちの文学は
  こういう作品をもったことを
  大変誇りにしたいと
  思います。
  こういう話を読むと、
  物語というのはいかに
  奥深い言葉の森でしょう。
  何度も書きますが
  ぜひ、この「モモちゃんアカネちゃん」シリーズを
  読んでもらいたいと
  願わずにはいません。

  じゃあ、読もう。

アカネちゃんの涙の海 (講談社文庫)アカネちゃんの涙の海 (講談社文庫)
(2012/01/17)
松谷 みよ子

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sai.wingpen  心にいつまでも                  矢印 hontoレビューページへ

 松谷みよ子さんの名作「モモちゃん」シリーズ全六話の、この文庫本では五作目『アカネちゃんとお客さんのパパ』と最終作『アカネちゃんのなみだの海』の二つのお話を収録され、今回のシリーズの特長である人気画家酒井駒子さんの表紙絵と口絵、それに2011年に書かれた松谷みよ子さんの「文庫版あとがき」がついています。
 最後の作品が出た1992年当時のあとがきも収録されています。

 三巻完結したこの素晴らしい児童文学を今私たちは夢中になってあるいは一日で読み終わってしまうかもしれませんが、松谷みよ子さんはこのシリーズの最初の話「三つになったモモ」からシリーズ最後のお話『みんな大きくなりました』まで実に28年の歳月がかかったといいます。
 モモちゃんやアカネちゃんのモデルとなった子どもたちはとっくに物語の中の女の子を追い越していきました。
しかし、モモちゃんもアカネちゃんもそんな書き手の歳月とは関係なく、いつまでもゆっくりとていねいに育っていきます。
 どこにですって? 読者の心にです。

 私にも二人の娘がいます。
 「ちいさいモモちゃん」を初めて娘たちに読んだのはとても小さい頃でした。でも、このお話が「離婚」のこととか「死」のこととか「核」のことに触れていて、途中で読むのをやめてしまいました。
 なんて馬鹿な、と今頃悔やんでも仕方ありませんが、だから娘たちはモモちゃんの先の話を知らないかもしれません。
 二人の娘たちはもうすっかり成人してしまいましたが、その父親はいまこっそりとこうしてちいさいモモちゃんアカネちゃんと一緒に、「離婚」のことや「死」のことを考えています。
 このシリーズがいつまでも永遠に輝きつづけるのは、そういった時代を超えた人としての営みがきちんと描かれているからだろうと思います。

 この巻ではパパの「死」まで描かれます。
 それまで泣き虫だったアカネちゃんが泣くのではなく、モモちゃんが「おねえちゃんだから、パパのこともなにもいわないで、がまんして」きて、「たまっていた涙が、あふれだす」お話の、なんと切ないことでしょう。
 あんなにちいさかったモモちゃんの、これが成長した姿です。
 人はがまんし、がまんし、そして涙をする。成長とはそういうことなのでしょう。

 いつか私の娘たちも、もう一度最初から、そして最後までこの物語に出会えますように。
  
(2012/05/25 投稿)

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