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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は昨日紹介した
  金益見さんの『性愛空間の文化史』に先立つ著作、
  『ラブホテル進化論』を
  蔵出し書評で紹介します。
  2008年8月に書いた書評です。
  この時、金益見さんはまだ「女子大学院生」。
  だから、この時はけっこう話題になりました。
  しかも、美人。
  そんな彼女が、ラブホテル!?
  このギャップがいいのでしょうね。
  風俗レポーターの中年おじさんが書いても
  話題ににもならなかったかも。
  それにしても、
  この書評、過激なタイトルをつけたものです。
  もっとも私は気にいっていますが。

  じゃあ、読もう。

ラブホテル進化論 (文春新書)ラブホテル進化論 (文春新書)
(2008/02)
金 益見

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sai.wingpen  キミはラブホテルに行ったことがあるか                   

 「現役女子大学院生による(ラブホテルの)本格研究」いう帯の惹区が目立つ、話題の一冊である。
 帯には若くて綺麗な著者の写真もついている。
 これを言い換えれば「現役(まだ若いということ)女子(ラブホテルというかなりHなものを能動態の男子ではなく受動態の女子がということ)大学院生(しかもインテリといわれる種族がということ)による(ラブホテルと、多分多くの人がHでいかがわしいと思われている空間及び産業のことを)本格研究(まじめに勉強しましたということ)」ということになるのだと思う。
 それに証明として著者の写真までつける念の入れようである。
 男性週刊誌によくある<現役○大生のヌード>にさりげなく添えられた学生証みたいなものかもしれない。

 でも、それって著者にとって幸せなことなのだろうか。
 売上げ的にはそうやって販促企画を練った方がいいだろうし、期待通り話題にもなって売れたことだろうけど、書き手としてはいささか悩むところだろう。
 あるいは、本書はあくまでもきっかけであり売れることがまず大事と思うものかしら。
 しかし、著者のために少し書いておくと、決してまったく薄っぺらな論理が展開されているというわけではなく、やはり現役の(そう若い人の)視点が散見されるし、女の子なりの感性もあることはある。
 でも、いくつかの章でやっぱり腰のすわりがよくない。本書で紹介されている「スケベ椅子」(本書95頁には写真口絵がある)に座っているような感触だ。

 著者は「はじめに」で、ラブホテルをこう定義している。
 「ラブホテルとは、宿泊もできる貸間産業の一つであり、おもにカップルが利用するための密室空間を提供している施設」である、と。
 しかし、その進化が「堂々たる日本の文化」と呼ぶに至る考察が弱い。
 もし、そう呼ぶとすれば、日本のモータリゼションの進化と土地の価値変遷をもっと追求すべきではないか。
 そのあたりが当事者からの聞き書きだけでは不十分すぎる。
 その一方で情報誌が果たした役割という観点では及第点がつくだろう。あの切り口はなかなか新しい。
 97年に創刊された情報誌『TOKYO・一週間』のラブホ特集には、当時驚いた記憶がある。そういうことから考えれば、ラブホテルと雑誌の歴史というのはさらに考察されていい、テーマのような気がする。

 さらにいえば、何故ラブホテルが日陰的な扱いをうけてしまうかという点を見逃してはいけない。
 それこそ、日本文化に関することかもしれないが、日本における性の有り様、つまり性そのものがタブー視されているということ、がもっと議論されるべきだ。
 そうした場合、他人と接することが最小限ですむラブホテルという施設がなぜ多くのカップルに使われていたかが見えてくるような気がする。
 性は他人から隠すものであるという日本の文化が。

 今日もだれかが人けのないホテルのロビーで、明かりのついたタッチパネルから部屋を選んでいるに違いない。
  
(2008/08/01 投稿)

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