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プレゼント 書評こぼれ話

  皆さんはNSPというグループを
  知っていますか。
  若い人は知らないかな。
  私たちの年代だと
  知っていますか、より
  覚えていますか、でしょうか。
  「夕暮れ時はさびしそう」とか
  「赤い糸の伝説」といった
  フォークを得意としたグループです。
  今日紹介した
  白石一文さんの『』の
  書評タイトルに「赤い糸の伝説」とつけましたが
  NSPの歌を思い出していました。
  この歌、出だしはこんなセリフで
  始まります。

   人は生まれながら 赤い糸で結ばれている
   そしていつかは その糸をたどってめぐり会う
   しかし その糸は細くて弱い

  いいでしょ。
  この歌が発表されたのは
  1976年。
  私が二十歳の頃。
  なんか今でもジーンときます。

  じゃあ、読もう。

翼 (テーマ競作小説「死様」)翼 (テーマ競作小説「死様」)
(2011/06/18)
白石一文

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sai.wingpen  赤い糸の伝説                   

 「赤い糸の伝説」を初めて知ったのは、太宰治の初期の名作『思い出』だったろうか。「私たちの右足の小指に見えぬ赤い糸がむすばれていて」「私たちはその女の子を嫁にもらうことにきまっている」らしい。
 若い時代に、この「伝説」はとても魅力的に思えた。
 はたして本当にそんな「赤い糸」が存在するのかどうかしらないが、きっと若い時代は「赤い糸」なんてやはりないだとか、やっぱりつながっているといったように思うものだ。
 恋とは、そんな夢のような感覚を秘めている。

 「死様」というテーマで作家たちが競作をしたシリーズの、これは直木賞作家白石一文が書いた物語だ。
 34歳になる田宮里江子がかつて結婚を迫られたことのある長谷川岳志と何年かぶりに偶然再会する場面から、物語は始まる。
 岳志は里江子の友人聖子が交際している彼氏だった。
 学生時代に聖子の紹介で里江子と出会った岳志は、里江子に運命の出会いを感じ、結婚を迫る。突然の申し入れに困惑する里江子。友人の彼をとるわけにはいかない。
 岳志は聖子と結婚し、音信が途絶えたまま数年が流れて再会する二人。
 岳志は、里江子との再会を運命のように感じ、ふたたび結婚を迫ってくる。

 「赤い糸の伝説」を信じた男は不幸であるのだろうか。
 妻子を捨て、もう一度里江子と一緒になろうとする岳志は純粋な愛の軌跡をまっとうしようとしているのだろうか。
 「死様」というテーマに沿うようにして、白石はさまざまな愛の形、死の光景をつづっていく。
 死というのがその人に関わった人が記憶しているかぎり完成されないということを、里江子と岳志の関係を核にして描いていく。
 「私たち自身が愛の物語であり、永遠の記憶なのだ」という岳志の言葉は、あまりにもセンチメンタル過ぎる。そんな言葉は太宰なら言いそうだが、現代の若者には似合わない。

 「赤い糸の伝説」はどうして生まれたのかはしらない。けれど、「伝説」はどこまでいっても「伝説」だ。
 それでも、それを信じたいという人には、この物語は胸をうつかもしれない。あるいは、信じないものにとって、この物語もまた「伝説」にしか見えないのではないだろうか。
  
(2012/11/22 投稿)

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