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プレゼント 書評こぼれ話

  初冬。
  木枯らしが舞い、人の足も速くなる。
  そんな時、
  この本のような古道具屋さんがあったら
  暖かそうだ。
  今日は蔵出し書評
  川上弘美さんの『古道具 中野商店』を
  紹介します。
  今までこのブログで紹介してなかったのが
  不思議なくらい。
  それくらいいい作品。
  寒くなると
  暖まりたくなるのが
  人のつね。
  この本一冊あれば
  あたたかくなります。

  じゃあ、読もう。

古道具 中野商店 (新潮文庫)古道具 中野商店 (新潮文庫)
(2008/02)
川上 弘美

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sai.wingpen  懐かしい町でなつかしい人に出会ったような                   

 恋愛小説、青春小説、冒険小説、時代小説、ほかほかほか。
 人は物語をジャンルという引き出しに押し込もうとする。
 他人(よその人)にこの本はどんな本ですかって聞かれた時はこういった引き出しも便利なもので、それを使えばなんとなくその物語がどういうものかわかった気分になったりする。
 川上弘美さんの『古道具中野商店』のことを聞かれたら、ためらいもなく恋愛小説ですと答えるだろうが、『世界の中心で愛をさけぶ』みたいに思われるのも何か違うような気がする。
 もっとなつかしい恋愛小説です。と云えば、伝わるだろうか。

 物語の場は、東京の西の近郊の町にある「中野商店」という一軒の古道具屋。
 古道具屋は骨董屋ではない。昭和というほんの少し前の時代で使われていた種々雑多なものが「中野商店」の商品。
 骨董のように格式ばるのではなく、現代の流行商品のようにスマートでもなく、ここでは懐かしさが漂うような商品が売られている。
 そして、そのような場で描かれる恋愛小説も不器用でいてそれでも一途で。と云えば、伝わるだろうか。

 主人公のヒトミは「中野商店」で働くアルバイトである。
 同じ店で働くタケオには右手の小指の先がない。
 物語はこの二人の恋愛を核にして描かれているのだが、そうと云い切るような自信もない。
 商店主である中野さんも五十歳を過ぎてはいるが問題を抱えた恋愛をしているし、中野さんの姉のマサヨさんも当然五十歳なかばだがまだまだ恋愛から卒業していない。
 まるで「中野商店」が恋愛の磁場のようだ。
 それでいて、そのどれもがまわりくどい。
 いじいじしている。
 壊れてしまうのが怖いから、遠くからそっと恋愛そのものをのぞきこんでいるような。と云えば、伝わるだろうか。

 川上弘美さんはたぶんすごく恋愛小説の上手な書き手だ。それもすごく大人の恋愛小説の。
 大人の恋愛にはどこか逃げ場があって、そのあたりが若い人の恋愛と違うところだろうが、若いヒトミとタケオの恋愛でも川上弘美さんが描けば大人の恋愛になってしまう。
 彼らも恋愛の縁を廻っているだけだ。
 川上弘美さんは、約束のゆびきりができないように、タケオの小指の先を描かなかったしたのかもしれない。
 そんなことができそうなくらい川上弘美さんは恋愛小説が上手なのだ。

 結局この物語は、懐かしい町でなつかしい人に出会ったような恋愛小説である。と云えば、伝わるだろうか。
  
(2005/05/01 投稿)

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