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大阪のオバチャンは、なぜ人前でもあがらないのか? (リュウ・ブックス アステ新書)大阪のオバチャンは、なぜ人前でもあがらないのか? (リュウ・ブックス アステ新書)
(2008/10/23)
金井 英之

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sai.wingpen  大阪のオバチャンは「オネエサン」と呼びかけられたら振り向くらしい      矢印 bk1書評ページへ

  この本の、長くて、ユーモアのある書名が気になった人は、もしかしたら、すでにこの本で著者が云おうとしている何パーセントかを修得しているかもしれない。
 実は、この本、多くの人が経験する「あがり」といる悩みを克服するためのものなのだ。
 著者である金井英之氏は数多くの「話し方教室」を開催されていて、すでに何冊も「話し方」の本も出版されている。ただ、それらのほとんどが書名に「上手な話し方」といった表記があるが、本書にはない。
 「大阪のオバチャンは、なぜ人前でもあがらないのか?」。
 実体験があるかどうかはともかく、「大阪のオバチャン」パワーは全国に知れ渡っている。誰もが「そうだよな」と思うし、そういえば「どうしてだろう」と気になってします。この書名はそういう力を持っている。
 関西人的にいえば、「つかみ」はOKということだ。
 ちなみに、「大阪のオバチャン」に限らず関西人は、この「つかみ」をとても大事にする人々である。
 関西人はつかみに命をかけている。

 そもそも「あがり」とは何か。
 「私たちは、人前で失敗をして恥をかき、自尊心が傷つくことを極度に恐れます。この感情が極度に高ぶって理性を失ってしまうことを”あがり”といいます」(28頁)と金井氏は書いている。
 では、人前でも無敵な「大阪のオバチャン」に「自尊心」がないのかというと、そんなことはない。
 そのあたりを金井氏は「天真爛漫な明るい人柄」ということですませているが、もっともこの本は「話し方」の本で「大阪のオバチャン」研究本ではないから仕方がないのだが、彼女たちの「自尊心」というのは「笑い」をいかにとるかという点に比重があるように思える。会話が弾まないことの方がよほど「自尊心」が傷つくのではないか。
 だから、会話を弾ませるためには過剰なサービスをする。時には人前で失敗することも、サービスのひとつなのである。そういう点では確かに「大阪のオバチャン」は会話の天才かもしれない。
 というよりも、「大阪のオバチャン」は会話が好きなのだろう。
 だから、金井氏が「あがり」克服の第一にあげている「集中力」が高まるにちがいない。

 では、「大阪のオバチャン」はどのようにして、人の心をつかむのか。
 本書の第三章「聞き手の印象に残る話し方」に書かれているが、まずは「切り出し」である。
 先ほど書いた「つかみ」と同じ意と思っていい。
 「切り出し一〇秒は、その後の一〇分にも勝る」(126頁)と書かれているが、これがいかに重要か、本書の書名に興味を持った人はすでにそのことを修得しているはず。
 まずは聞いてみよう(この本でいえば読んでみよう)と相手に思わせることが大事なのである。
 聞く気のない人を相手にしていても、会話が楽しいはずはない。
 「大阪のオバチャン」は会話が好きだから、彼女たちには楽しくない会話など存在しないのだ。

 この本にはこのように「話し方」がうまくなるコツがたくさん書かれているが、もしかしたら「大阪のオバチャン」とお友達になるのが一番手っ取り早いかもしれない。
 もっとも、そのときには「オバチャン、話をしよう」と切り出してはいけない。
 まずは「オネエサン、べっぴんやな」である。
(2008/12/14 投稿)

プレゼント 書評こぼれ話
  私の母は、八十一歳になる、コテコテの「大阪のオバチャン」です。
  ちなみに、この「コテコテ」を広辞苑で調べてみると、
  「濃厚なさま」という意味で載っています。
  もっともその前に括弧つきで「(嫌になるほど)」と書かれているのが面白いですが。
  で、母でことです。
  母はともかく元気なのです。
  まず声が大きい。
  とても八十一歳に思えないほど、声がとびきり元気なのです。
  そして、書評にあるように、会話が好きです。
  電車に乗っていても全く知らない人にも話しかけます。
  「おねえちゃん、きれいなベベ(服のことです)着てはるな」と言って声をかけます。
  声をかけられた若い人は「はあ」と困った顔をします。
  相手がオバチャンでしたら、話が弾んできます。
  不思議なものです。
  母の話は面白いのです。
  具体性に富んでいるというか、物語性にあふれているというか、
  つい引き込まれてしまうのです。
  つくづく「大阪のオバチャン」の力を感じます。
  この書評はそんな母の姿を考えながら書きました。
  私は人生の半分を過ぎましたが、母にとってはまだまだひょっ子なんでしょうね。
  「しっかりしいや」
  母の声が聞こえるようです。
  
  
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