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プレゼント 書評こぼれ話

  またまた月末になってしまいました。
  「向田邦子全集」の紹介が。
  まるで借金のとりたてに
  来月こそはきちんと月なかでお返ししますと
  謝ったのに、
  やっぱり月末返済になった感じです。
  反省しています。
  いやいや、あんたの反省は聞き飽きた。
  いったいこれからどうするつもりか
  そこのところをはっきりさせてくれないと。
  こっちは善意で金貸してるんじゃないよ。
  いやはや。
  困りました。
  こっちも遅れるつもりじゃないのですが。
  来月、来月こそはきちんと
  月中でお返ししますから。
  ということで、
  向田邦子さんのエッセイ『女の人指し指』を
  楽しみ下さい。

  じゃあ、読もう。

向田邦子全集〈10〉エッセイ6 女の人差し指向田邦子全集〈10〉エッセイ6 女の人差し指
(2010/01)
向田 邦子

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sai.wingpen  小さな嘘のうまい人はホームドラマをお書きなさい                   

 「向田邦子全集<新版>」の10巻めは、「エッセイ六」となる。
 昭和56年に「週刊文春」に連載された『女の人差し指』やテレビドラマについてのもの、妹和子に任せた小料理屋「ままや」の開店に至る日々を綴った「「ままや」繁盛期」、さらには旅好きの向田らしく日本のところどころやモロッコやアフリカの紀行文が収められている。
 この巻の表題ともなった『女の人差し指』だが、これからエッセイを書きたいと思っている人にはとても参考になる名篇ぞろいといっていい。
 本全集のページ数にして1篇あたりが5~6ページの作品で、エッセイとしては少し長めといっていい。
 その中で、向田がとった手法は、一つの題材を描くのではなく、複数のそれをつなげていくものだ。

 例えば、最初の「チャンバラ」と題された作品では、まず箸とナイフ・フォークの話を書き、そのあと少女時代に「女の子は女の子らしく」遊ぶことを強いられた思い出を綴り、風間完の絵を褒め、最後はチャンバラでまとめている。
 起承転結の見本のような構成である。
 話の展開、変換がうまいから、読んでいて少しも違和感がない。どころか、読み終わったあと、何か得した気分さえ残る。
 少し長めのエッセイを書く際には、参考になるにちがいない。

 ところで、このエッセイを向田はどうして「女の人差し指」としたのだろうか。
 これから話すことに賛成納得同意満足した人は「この指たかれ」の人差し指なのか、それともわざわざ「女の」と書いたくらいだから、人差し指をふりまわす怖い女性をイメージしたのか。
 案外、頬に人差し指をあてて憂いている女性の姿だったりして。

 向田の主戦場となったテレビドラマ、ホームドラマについては、こんな名言を書いている。
 「大きな嘘のつける人は政治家におなりなさい。小さな嘘のうまい人はホームドラマをお書きなさい」。
 向田の作品に登場する人々もけっして大きな嘘をつける人ではなかった。作者向田がそうであったように。
 もしかしたら、「女の人差し指」は、アッカンベーをする際に目元をさげる指のことだろうか。
  
(2013/01/31 投稿)

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