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プレゼント 書評こぼれ話

  今日と明日、
  ノンフィクション作家柳田邦男さんが
  翻訳をした
  『ヤクーバとライオン』という2巻の絵本を
  紹介したいと思います。
  作者はティエリー・デデューさん。
  柳田邦男さんは絵本についての本も
  たくさん書かれていて
  このブログでも何冊か紹介しています。
  興味のある方は
  ぜひ検索機能で探してみて下さい。
  私は、だから、
  この絵本を読まないとと
  思っていたのですが
  なかなか機会がなくて
  今になってしまいました。
  柳田邦男さんが惚れ込んだ絵本だけのことは
  あります。
  誰もが「勇気」について考える、
  そんな絵本です。

  じゃあ、読もう。

ヤクーバとライオン (1) 勇気 (講談社の翻訳絵本)ヤクーバとライオン (1) 勇気 (講談社の翻訳絵本)
(2008/03/28)
ティエリー・デデュー

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sai.wingpen  絵本の力                   

 柳田邦男はNHK記者を経て、ノンフィクション作家となった。
 代表作のひとつ『マッハの恐怖』は第3回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1971年のことだ。
 ノンフィクション作品はこの頃、もっとも熱く、充実していたように思う。
 作品もそうだし、書き手も充実していた。作品にも幅があった。
 沢木耕太郎が『防人のブルース』でデビューしたのも、1970年だ。

 残念ながら、現在ノンフィクション作品は勢いがなくなったとしかいえない。その理由はさまざまだろうが、情報化社会によってより速度を求められてしまったこと、多様化が当たり前になり特殊性が薄れたことなどが考えられる。
 また、新しい人材が十分育っていないともいえる。
 柳田自身、なかなかいい作品を書けないでいる。
 時代の波、といってしまうのは容易だが、あの熱い時代を知っている読者にとっては残念だし、さみしい。

 柳田が絵本の世界に精通しているのは、その著作リストをみてもわかる。絵本作家のいせひでこが奥さんというのも、そのことと関係があるかもしれない。
 そんな柳田がパリの出版社で偶然見つけたのが、デデューのこの作品である。
 「一読して、重いテーマにふさわしい野太い黒い線だけの強烈な絵」に魅せられ、日本での出版に際して、自身が翻訳を担当した。

 絵は柳田を一目で魅了したように黒い色だけで描かれている。しかも、力強い。
 その絵に呼応して、ここに描かれているテーマも重い。
 栄誉ある戦士になるためにライオンを立ち向かわなければならない少年ヤクーバ。彼の前に、傷つき弱るライオンが一頭。
 ライオンは問う。「自分を殺して勇敢な戦士となるか、殺さずに気高い心を持った人間となるか」。
 少年ヤクーバは、その時、「勇気」を試されている。「気高い心を持った人間」になるための「勇気」を。

 柳田がノンフィクションの世界に颯爽と登場した時、多くの読者は知的で冷静に物事を描いていく柳田の手法に喝采を送った。NHKの記者のまま生きるのも柳田の選択のひとつだったろう。
 けれど、その時柳田はこの作品のヤクーバのように、「勇気」をもって、ノンフィクション作家の道を歩み出したのだ。
 道を選ぶというのは、「勇気」がいる。
 それは柳田だけではない。だれもがそうだ。そして、「勇気」を持たずに安易な道を歩くのも、また人間なのだ。
  
(2013/05/24 投稿)

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