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プレゼント 書評こぼれ話

  楽しい本、見つけました。
  以前NHKBS、
  今はNHKプレミアムっていいますが、
  放映されていました
  山田洋次監督の『男はつらいよ』全作放映の際に
  上映前にあったミニコーナーが
  一冊の本になったのです。
  NHKの渡辺俊雄さんと映画監督の山本晋也さんの
  絶妙なやりとりもそのまま。
  題して、『寅さん、あなたが愛される理由』。
  この本を読んで
  また『男はつらいよ』が観たくなったのは
  ほんとう。
  今日の書評タイトル「けっこう毛だらけ」は
  寅さんの名調子の一節。

   結構毛だらけ、猫灰だらけ、おしりの回りはクソだらけ

   四谷(よつや)赤坂(あかさか)麹町(こうじまち)、
   チャラチャラ流れるお茶の水、粋(いき)な姐(ねえ)ちゃん立ち小便

   白く咲いたはユリの花、四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水くさい

  なんて続きます。
  そういう調子もまた聞きたくなる
  一冊です。

  じゃあ、読もう。

「山田洋次 映画監督50周年」記念企画 寅さん、あなたが愛される理由「山田洋次 映画監督50周年」記念企画 寅さん、あなたが愛される理由
(2012/12/12)
山本 晋也、渡辺 俊雄 他

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sai.wingpen  けっこう毛だらけ                   

 2008年初夏、30年働いた会社を早期退職した。「無所属の時間」を慰撫してくれたのは、山田洋次監督の『男はつらいよ』シリーズだった。
 ちょうど2005年から2007年にわたってNHKBS(現在NHKプレミアム)で放映され録画していた全作品が手元にあった。
 何しろ全48作であるから、毎日1本ずつ観ても、1ヶ月半かかる。
 全作を見終わった頃に腰痛になり、しばらくベッドに伏せた。家のものは、「毎日寅さん観てたものね」とちくちく嫌味を今でも言うが、「それをいっちゃあ、おしまいだよ」とこちらは寅さん気分のまま、横を向いている。

 この本はNHKBSで放映されていた際に本編上映前にNHKの渡辺俊雄アナウンサーが支配人となり映画監督山本信也と二人で「レビュー」を担当したものを活字化したものである。
 渡辺アナはアナウンサーにしておくにはもったいない程の映画通で、軽妙な話術の山本監督と、一話一話撮影秘話やその作品の寅さんとマドンナの関係などを語り尽くす、寅さんファンにとってはたまらない一冊となっている。

 そうはいっても、寅さん役を演じた渥美清の死で終了した『男はつらいよ』最終作からもう18年という時間が過ぎている。
 最後の作品となった第48作「男はつらいよ 寅次郎紅の花」は1995年12月公開。その年の初めに阪神大震災が起きて、この作品ではあの寅さんも被災地でボランティアをするという挿話もはいっていた。
 あれから、阪神大震災を凌駕する東日本大震災を経験することになった私たちにとって、寅さんが生きた世界も少し遠のいたといえるかもしれない。
 なにしろ、第一作の「男はつらいよ」が公開されたのが1969年だから、もう40年以上経っている。

 渡辺支配人と山本監督の「レビュー」の中でよくでてくるのが「映像文化遺産」という言葉だ。
 長いシリーズだから、舞台となる土地を走っていたSLが電車に変わるといったこともあったりするし、町の風景もこの作品で撮られていたものと今とはすっかり違うだろう。
 その点で映画は「映像文化遺産」という側面をもっと評価されていい。

 この本を読んだあと、また「男はつらいよ」を観たくなったが、さて、どの作品を観ようかしら。
 やっぱり第1作から見るしかないか。
  
(2013/06/19 投稿)

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