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プレゼント 書評こぼれ話

  夏の過ごし方。
  朝早く起きる。昼間、少しまどろむ。
  できれば、木陰で
  クーラーではなく、自然の風に吹かれて。
  手には一冊の文庫本。
  例えば、今日紹介する
  北原亞以子さんの『慶次郎縁側日記』なんかいい。
  眠くなれば、うとうとと。
  夢には江戸の町並みが。
  蝉の声が目覚ましがわり。
  ふー、少し寝たなぁ。
  『慶次郎縁側日記』はいいなぁ。
  心がふっとゆるやかになる。
  あれ、向こうの空があやしくなってきた。
  ひと雨でもくるのだろうか。
  あ、もう降ってきやがった。
  駆け出した手に
  しっかりと『慶次郎縁側日記』。
  夢みたいなこぼれ話になりました。
  今回はシリーズ第2弾。

  じゃあ、読もう。

再会 慶次郎縁側日記 新潮文庫再会 慶次郎縁側日記 新潮文庫
(2001/10)
北原 亞以子

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sai.wingpen  いい読書の時間                   

 このシリーズの主人公森口慶次郎はまだ49歳ながら、すでに現役を引退している。だから、「縁側日記」と題されてもおかしくはない。
 今の世の49歳で、慶次郎の心境にはなかなかなれないだろう。平均寿命が違うのだから比べようもないが、今なら60歳を越えたあたりとなるだろうか。
 人生が長いか短いか人によって違って当然。ただ、慶次郎のように濃い時間を過ごしたい。

 シリーズの第2弾となるこの『再会』でも、慶次郎ばかりが主人公ではない。
 それがまたこのシリーズの面白さなのだが、短編一つひとつで主人公はいれかわる。慶次郎や慶次郎の娘婿の晃之助は時にその引き立て役でしかない。
 養子として育ててくれた父が盗賊であることを知って悩む「恩返し」、好きな男に会いたさ一心に万引きをして捕まる女を描いた「八百屋お七」、不良少年とその面倒をみる初老の男の切ない関係を描く「花の露」など、慶次郎たちは表だって活躍をするわけではない。
 ただ暖かく手をさしのべるだけだ。
 だから、「花の露」の不良少年卯之吉のこんなつぶやき、「俺・・・、思ってたより、いい人に出会ってるんだ・・・」は、このシリーズの本質をよく表している。
 もっとも、慶次郎にとっては「こそばゆい言葉」だが。

 表題となった「再会」は三話構成になっている。
 慶次郎を助ける辰吉、慶次郎、そして「蝮の吉次」という異名の吉次、三人三様の「再会」が描かれる。
 かつての日々に風のように通り過ぎた女たちと出逢う男たちの戸惑いとわきあがる思い。
 男なら、いいや女でも、そんな「再会」をどこかで待ち望んではいないだろうか。
 しかし、それはすでに通りすぎた風なのだ。
 今度もまたとどまることはない。
 そういう切ない思いも、49歳という慶次郎の年があってのことだろうか。
 人生の深みを知ったものだけがなしうる、「再会」。
 そんな慶次郎たちに読者は惹きつけられる。
 このシリーズが愛される理由はそんなところにあるような気がする。
  
(2013/08/02 投稿)

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