05/05/2009 立夏 -長瀞紀行

「夏に立つ」とか「夏来る」という言い方もします。
四季の中でも、あらゆるものが最も生き生きしている季節ですね。
室生犀星さんに「五月」という、いい詩があります。
悲しめるもののために
みどりかがやく
くるしみ生きむとするもののために
ああ みどりは輝く
さすが詩人ですね。


埼玉に暮らし始めて、よくよく数えてみると、
もう20年以上経っているのに、
長瀞は初めてなんですよね。
埼玉も地図を見れば、広い。
私が住んでいる「さいたま市」なんて、
埼玉の入り口、ひょっ子みたいなもの。
長瀞はずんと奥にあります。
秩父方面っていえばいいのかな。
長瀞に何があるかというと、
「ライン下り」が楽しめるんです。
連休中ということで、観光の人たちも多かったですね。
長瀞駅でチケットを買って(一人1550円)、
バスで出発地点まで連れていってもらいます。

今はちょっと川の水が少ない頃だったのか、
流といっても、子どもの水遊びみたいに、
ちゃぷちゃぷって感じです。
でも、まわりの木々の緑がいいですね。
木々の緑っていうのは、一年中でたぶん今が一番いい。
息づいているというか、輝いている。
船頭さんの巧みな棹さばきが見てて、気持ちがいい。
もう水にはいっている気の早い人もいました。
到着地点は石畳と呼ばれる岩石段丘。

お土産さんとかが固まっていて、ここにも
たくさんの人が出ています。


お昼は、その一角にある「丹一」というお店で、
「鮎めし」を食しました。
一人前、2100円。
写真は二人前ですね。
このお店で、燕を見かけました。
燕のことは、先日の「伊勢紀行」でも書きましたが、
この時期の燕は、初々しい。
黒も白も、まっさら。好きですね。
燕は飛ぶ姿勢もいい。すきっとしていて、
ナイフのような感じ。
そうそう、燕で思い出しました。
先日の「伊勢紀行」から戻ってきて、「歳時記」を
調べたんですが、「燕」は春の季語、「子燕」は夏の季語。
今日から「夏」ですから、使い方が難しいですね。

次に目指したのは、宝登山(ほどさん)。
ロープウェイで頂上を目指します。

ここは蝋梅が有名なところらしいのですが、
今はつつじがきれい。
それも白いつつじが目をひきます。
先ほどの燕でもそうですが、
生まれたてのものはどうしてこんなに
人をひきつけるのでしょうね。

小さな旅でしたが、一足早く、初夏を楽しみました。
満足、満足。
今回の旅で出会った燕の写真とともに、
一句。

長瀞の急流下れば燕の子
| Home |