05/09/2009 プロフェッショナルたちの脳活用法:書評

今回取り上げた茂木健一郎さんの『プロフェッショナルたちの脳活用法』は、
書評にも書いているように、多くの「生きる知恵」を教えてくれる、
いい本です。
この本を読むと、多くの「自己啓発の本」で書かれていることが、
単に経験知ではなく、脳科学に裏打ちされていることがわかります。
勝間和代さんであったり、本田直之さんであったり、小宮一慶さんであったり、
今人気の書き手のみなさんが実行していることの多くが、
脳科学の分野でも説明がつくのではないでしょうか。
単にやみくももするのではなく、脳がもっている、
そういう特徴を理解していると、
さらにスキルアップが高まるのだと思います。
だから、最近の茂木健一郎さんの活躍に
もう感服しっぱなしなんですね。
私にとっての「ミラーニューロン」、
これは「鏡に映したように他人と自分を表現する」ということですが、
ひらたくいえば「よき師匠」「よき先生」みたいもの、
に、茂木さんがなっているのかもしれません。
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本書はNHKの人気番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』をベースとした、「脳科学の最新の知見と、プロフェッショナルたちの貴重な証言が融合して生み出された、脳を活かすための指針の書」(5頁)で、単にTV番組からの抜粋ではなく、まことに刺激とヒントに満ちた一冊だ。
番組で紹介されたプロフェッショナルたちの勇気と示唆に富んだ発言も多く収められているが、七対三の割合ぐらいで、茂木健一郎の脳科学の論考の方が多いかもしれない。そのあたりが従来のダイジェスト版的な色合いの出版物とはちがう、この本の良さでもある。
もちろん、それは茂木だけでなく、この本に携わった人たちの「編集力」として評価されていい。本書に「成功というドラマは、多くの人々を巻き込んだ共同作業」(219頁)という表現が出てくるが、この一冊もまたその言葉にふさわしいといえる。
本書では五つの章立てで、「脳活用法」を説明している。
第1章の「ひらめきの極意」から「プレッシャー克服法」「やる気を高める」「創造性を豊かにする」、そして「制約との付き合い方」と続く。
さらに、それぞれの章に「脳科学」の用語がちりばめられている。例えば、第4章の「創造性を豊かにする」では「ネオファリア」「オープンエンド」「メタ認知」といった言葉がつづく。
そして、脳科学という学問の領域だけでなく、それらの具体例としてプロフェッショナルたちの発言がおかれている。「脱抑制」という項目で「仕事を忘れたとき、いい仕事ができる」という映画プロデュサー鈴木敏夫の言葉が紹介されているように。
しかし、番組で紹介された100人以上のプロフェッショナルたちが脳科学についての知識があったわけではないことに注目しなければならない。
彼らが評価される過程において、相当の努力がなされたことは忘れてはいけないし、無意識下での決断(それは運ともいえる)もあったにちがいない。
それらを振り返って言葉にした時、初めて科学的にも説明がつけられたといえる。もしかして、プロフェッショナルたち自身があらためて自分の言葉の意味を理解したかもしれない。
ここには人生訓話ではない、多くの生きるヒントがある。
「未来に向かって明るく生きていくため」、何度でも読みかえすだろう、「セキュアベース(安全基地)」のような一冊といっていい。
(2009/05/09 投稿)
第1章の「ひらめきの極意」から「プレッシャー克服法」「やる気を高める」「創造性を豊かにする」、そして「制約との付き合い方」と続く。
さらに、それぞれの章に「脳科学」の用語がちりばめられている。例えば、第4章の「創造性を豊かにする」では「ネオファリア」「オープンエンド」「メタ認知」といった言葉がつづく。
そして、脳科学という学問の領域だけでなく、それらの具体例としてプロフェッショナルたちの発言がおかれている。「脱抑制」という項目で「仕事を忘れたとき、いい仕事ができる」という映画プロデュサー鈴木敏夫の言葉が紹介されているように。
しかし、番組で紹介された100人以上のプロフェッショナルたちが脳科学についての知識があったわけではないことに注目しなければならない。
彼らが評価される過程において、相当の努力がなされたことは忘れてはいけないし、無意識下での決断(それは運ともいえる)もあったにちがいない。
それらを振り返って言葉にした時、初めて科学的にも説明がつけられたといえる。もしかして、プロフェッショナルたち自身があらためて自分の言葉の意味を理解したかもしれない。
ここには人生訓話ではない、多くの生きるヒントがある。
「未来に向かって明るく生きていくため」、何度でも読みかえすだろう、「セキュアベース(安全基地)」のような一冊といっていい。
(2009/05/09 投稿)
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