12/13/2013 火の鳥 (5) (手塚 治虫):書評「「火の鳥」シリーズは実験漫画でもある」
書評こぼれ話
今日は手塚治虫さんの
「火の鳥」シリーズの5巻め
「復活篇」と「羽衣篇」。
書評にも書きましたが
私はこの作品をリアルタイムで
読んだ記憶があります。
不思議なことに
読んでいた部屋のこととかも
思い出したりします。
ベッドのあたまのあたりに
小さな本棚があって
そこに「COM」を並べていたような。
映画はこれより少しあと。
だから、まず漫画に魅かれて
それから映画に夢中。
当時、昭和40年後半の若者としては
きわめて標準的でしたね。
ちがうかな。
じゃあ、読もう。
「火の鳥」シリーズは実験漫画でもある
この巻には中編「復活篇」と短編「羽衣篇」の2篇が収められている。
この二つの作品は、私には思い出深い。どちらも月刊誌「COM」に連載された時にリアルタイムで読んでいたからだ。
発表されたのは1970年10月号から翌年の11月号である。私が15歳の時だ。
「COM」という雑誌は漫画家を目指す若者向けに、手塚治虫が情熱を傾けた雑誌である。発刊されたのが1967年から1973年のわずか6年間ながら、競合誌「ガロ」とともに伝説の漫画雑誌であった。
当時どんな思いで「COM」を読んでいたのか忘れてしまったが、漫画家になりたいとでも思っていたのかしらん、それから40年以上過ぎても忘れられない雑誌だ。
手塚治虫の『火の鳥』だけに夢中になっていたわけではない。けれど、やはり手塚治虫の作品は「COM」の中心的作品だったことは間違いない。
「復活篇」は2482年の未来が舞台。エア・カーから墜落したが一命を取りとめた少年レオナ。けれど、彼の体のほとんどは人口臓器と人口知能で再生されているに過ぎず、レオナから見れば生きているものはすべてガラクタに過ぎない。
そんな彼だが、唯一チヒロというロボットだけがまともな女性に見える。やがて、レオナはチヒロに恋心を抱くまでになっていく。
物語の途中で、実直なロボットロビタの物語が挿入される。「スター・ウォーズ」のR2-D2によく似た型のロビタは人間たちの単純労働を担うために量産されたのだが、ある時、「ワタシハ人間デス」と言い出す。
レオナとチヒロの物語と、ロビタの物語はどうつながっていくのか。
「復活篇」というタイトルの通り、いったい死にゆくことが命題である人間の「復活」とはどういうことなのか。
『火の鳥』の大きなテーマである輪廻転生を、違った意味で問い直す作品として位置付けていい。
「羽衣篇」は、漫画の手法としての大胆な短編である。背景が演劇舞台を模してまったく変化しない。時に照明効果を取り入れ、登場人物も数人。こういう漫画作品はあまり見ることがない。
『火の鳥』全体としても異色である。あの火の鳥が登場しないのであるから。
作品の舞台は戦国時代。天女らしき女おときと漁師ズタの物語。オトキという名前が示しているように彼女は未来からやってきた女性のようだ。
『火の鳥』は手塚のライフワークであるとともに、「羽衣篇」のように漫画の手法にまざまな実験を取り入れた作品でもある。
(2013/12/13 投稿)
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今日は手塚治虫さんの
「火の鳥」シリーズの5巻め
「復活篇」と「羽衣篇」。
書評にも書きましたが
私はこの作品をリアルタイムで
読んだ記憶があります。
不思議なことに
読んでいた部屋のこととかも
思い出したりします。
ベッドのあたまのあたりに
小さな本棚があって
そこに「COM」を並べていたような。
映画はこれより少しあと。
だから、まず漫画に魅かれて
それから映画に夢中。
当時、昭和40年後半の若者としては
きわめて標準的でしたね。
ちがうかな。
じゃあ、読もう。
火の鳥 (5) (角川文庫) (1992/12) 手塚 治虫 商品詳細を見る |
「火の鳥」シリーズは実験漫画でもある
この巻には中編「復活篇」と短編「羽衣篇」の2篇が収められている。
この二つの作品は、私には思い出深い。どちらも月刊誌「COM」に連載された時にリアルタイムで読んでいたからだ。
発表されたのは1970年10月号から翌年の11月号である。私が15歳の時だ。
「COM」という雑誌は漫画家を目指す若者向けに、手塚治虫が情熱を傾けた雑誌である。発刊されたのが1967年から1973年のわずか6年間ながら、競合誌「ガロ」とともに伝説の漫画雑誌であった。
当時どんな思いで「COM」を読んでいたのか忘れてしまったが、漫画家になりたいとでも思っていたのかしらん、それから40年以上過ぎても忘れられない雑誌だ。
手塚治虫の『火の鳥』だけに夢中になっていたわけではない。けれど、やはり手塚治虫の作品は「COM」の中心的作品だったことは間違いない。
「復活篇」は2482年の未来が舞台。エア・カーから墜落したが一命を取りとめた少年レオナ。けれど、彼の体のほとんどは人口臓器と人口知能で再生されているに過ぎず、レオナから見れば生きているものはすべてガラクタに過ぎない。
そんな彼だが、唯一チヒロというロボットだけがまともな女性に見える。やがて、レオナはチヒロに恋心を抱くまでになっていく。
物語の途中で、実直なロボットロビタの物語が挿入される。「スター・ウォーズ」のR2-D2によく似た型のロビタは人間たちの単純労働を担うために量産されたのだが、ある時、「ワタシハ人間デス」と言い出す。
レオナとチヒロの物語と、ロビタの物語はどうつながっていくのか。
「復活篇」というタイトルの通り、いったい死にゆくことが命題である人間の「復活」とはどういうことなのか。
『火の鳥』の大きなテーマである輪廻転生を、違った意味で問い直す作品として位置付けていい。
「羽衣篇」は、漫画の手法としての大胆な短編である。背景が演劇舞台を模してまったく変化しない。時に照明効果を取り入れ、登場人物も数人。こういう漫画作品はあまり見ることがない。
『火の鳥』全体としても異色である。あの火の鳥が登場しないのであるから。
作品の舞台は戦国時代。天女らしき女おときと漁師ズタの物語。オトキという名前が示しているように彼女は未来からやってきた女性のようだ。
『火の鳥』は手塚のライフワークであるとともに、「羽衣篇」のように漫画の手法にまざまな実験を取り入れた作品でもある。
(2013/12/13 投稿)
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