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プレゼント 書評こぼれ話

  司馬遼太郎さんが亡くなったのは
  平成8年(1996年)2月12日ですから
  もうすぐ18年になります。
  すっかり遠い日になりましたが
  今日紹介する本のように
  今でも司馬遼太郎さんのファンが
  たくさんいます。
  名作『竜馬がゆく』や『坂の上の雲』など
  若い新しいファンも増えているのではないかしらん。
  今日紹介するのは
  和田宏さんの『余談ばっかり』という
  文春文庫のオリジナルです。
  和田宏さんは
  元文藝春秋で司馬遼太郎さんの
  担当編集者をされていました。
  そばにいたから見えている
  司馬遼太郎さんの魅力が
  たくさん収められています。
  司馬遼太郎さんのファンだけでなく
  これから司馬遼太郎さんを読んでみようと
  思っている人にも
  ぴったりの一冊です。

  じゃあ、読もう。

余談ばっかり 司馬遼太郎作品の周辺から (文春文庫)余談ばっかり 司馬遼太郎作品の周辺から (文春文庫)
(2013/12/04)
和田 宏

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sai.wingpen  「余談」以上の「余談」                   

 司馬遼太郎さんが亡くなって、もう18年になる。
 それでもこの本のように司馬さんの人柄やエピソードを綴ったものが新たに出版されるのであるから、司馬さんの人気は根強い。
 しかも、この本の著者のように司馬さんを担当した各社の編集者たちは司馬さんのことを語っても語り尽くせない思いがあるようだ。ちなみに、著者の和田宏さんは文藝春秋で司馬さんを担当し、この文庫本で解説を書いている山本朋史さんは週刊朝日の編集者だった。
 山本さんは「司馬ワールドの中に入ってしまうと、仲間意識が生まれていたのかもしれない」と書いているが、名うての編集者をしてそうであるのだから、司馬さんの魅力は如何ばかりであったろう。

 この本は文庫オリジナルということだが、もともとは「週刊司馬遼太郎」という雑誌に掲載されていた「余談の余談」というコラム。その内、和田さんが執筆したものを編集して出来上がっている。
 「余談」というのは、司馬さんが小説の中で多用した表現だ。「余談であるがー」とか、「閑話休題」という言葉を知られる。
 その表現の始まりを和田さんは司馬さんの代表作『竜馬がゆく』だったと書いている。
 坂本竜馬は明治維新の立役者のようにいわれることが多いが、それも司馬さんのこの作品があったからだといえる、幕末の初期の頃には竜馬はその影さえ残していない。
 「ついに司馬さんはじれったくなって」、竜馬の時間とは別に説明文を入れ出したのだという。
 それがきっかけになったにしろ、司馬文学の面白さはこの「余談」があればこそで、作品に厚みを増したことは間違いない。

 その「余談」という言葉を借用して、和田さんはさまざまな司馬さんの横顔を描いている。その数、111。
 その上で「司馬文学の魅力は、つまるところ司馬さん自身の人間としての魅力によるものといっていい」と書いているのだから、司馬文学を読む解くためにも、ここに書かれた「余談」は「余談」以上の価値があるといえる。

 著者の和田宏さんはこの文庫の出版を待たずして、2013年10月22日に亡くなった。
 今頃は天国で司馬さんと愉しい時間を過ごしていることだろう。天国から「余談」が届けばいいのだが。
  
(2014/02/05 投稿)

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