
今日は雛祭り。
いうまでもなく、女の子の節句。
俳句の世界では
たくさんの句が残っています。
折りあげて一つは淋し紙雛 三橋鷹女
そして、
昨日につづき
先日亡くなった詩人のまど・みちおさんの
本を紹介します。
『Eraser けしゴム』です。
この本も
皇后美智子さまの英訳がついています。
安野光雅さんが装丁をしています。
今日の書評の中で
谷川俊太郎さんの言葉や
戦争詩についての
まど・みちおさんの言葉などは
3月1日付の朝日新聞の記事を
参考にさせて頂きました。
まど・みちおさんの詩は
これからも
たくさんの人に口ずさんでもらえるだろうと
思います。
ぜひ、皆さんも
一度まど・みちおさんの詩集を
手にしてみて下さい。
じゃあ、読もう。
![]() | Eraser けしゴム (2013/06/17) まど みちお 商品詳細を見る |

2月28日に104歳で亡くなった詩人まど・みちおさんの詩を谷川俊太郎さんはこう言い表しています。
「こんなにやさしい言葉で、こんなに少ない言葉で、こんなに深いことを書く詩人は、世界で、まどさんただ一人だ」。
童謡「ぞうさん」や「やぎさん ゆうびん」で、私たちはまどさんの詩に自然と触れているのですが、谷川さんの評にあるようなまどさんの世界にはいるためにその詩集を読むのはわるくありません。
この詩集は、まどさんの詩の世界を知るにはうってつけともいえます。
「かぼちゃ」という詩があります。
「すわったきりだが/かたが こる」、たったこれだけの詩です。
かぼちゃと向き合っている詩人の、こわいくらいの目を感じませんか。
あるいは、「キャベツ」という詩。
「どんな バラが さくのか/この おおきな つぼみから」とだけ。キャベツとバラをつなげる人は、たぶん、あまりいません。
しかし、まどさんはキャベツの折り重なる葉の形状を見て、バラの花に似ていることに気づくのです。
かぼちゃやキャベツといった食物だけでなく、動物たちや生活にあるすべてのものを、まどさんは「観察」し、言葉に紡いでいったのです。
その「観察」には自分自身も含まれています。
まどさんは戦争中、戦意高揚の戦争詩を書いたことがあります。そのことについて、「私は臆病な人間。また戦争が起こったら同じ失敗を繰り返す気がする」と語ったことがあります。
詩人まど・みちおから見た石田道雄(これがまどさんの本名です)という人間は、そういうちっぽけな存在だったのでしょう。
人は時に自分の姿を過大に評価します。冬の日の影ぼうしみたいに、うんと大きくなったそれを自分の姿と誤解してしまいます。
まどさんは、そんな影ぼうしに惑わされることを反省していたのかもしれません。
本当の姿をじっと見た時、まどさんの詩が生まれるのです。
この詩集には21篇の短い詩が収められています。
最後に、お気に入りの詩を。
「いびき」という題名です。
「ねじを まく/ねじを まく/ゆめが とぎれないように」。
まどさんの詩もまた、「ゆめが とぎれない」詩ではないでしょうか。
(2014/03/03 投稿)

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