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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は、昨日のつづき。
  手塚治虫さんの「火の鳥
  角川文庫版の12巻め「太陽編(下)」です。
  この「太陽編」は
  「火の鳥」シリーズでも
  もっとも長い作品ですので
  角川文庫版では
  三冊にわかれています。
  本当はまとめてどかーんと
  書評を書いた方がいいのかもしれませんが
  三冊に分かれているので
  三回に分けました。
  でも、できるだけ
  関連するように書いたつもりですが
  やはりちょっと苦しかったですね。
  それに
  「太陽編」そのものが複雑すぎて
  なかなか手ごわかったです。
  残るは、あと1巻。
  どんな作品か
  楽しみです。

  じゃあ、読もう。

火の鳥 (12) (角川文庫)火の鳥 (12) (角川文庫)
(1992/12)
手塚 治虫

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sai.wingpen  「火の鳥」は愛も描いてきた                   

 手塚治虫のライフワーク「火の鳥」は、生命の問題を描いているが、そこではさまざまな男女の愛もテーマになっている。
 「復活編」ではロボットのチヒロとの愛、「乱世編」では幼馴染だった弁太とおぶうの愛といったように、作品の核をなしているともいえる。
 このシリーズで最も長い作品である「太陽編」でも、愛は重要なテーマだ。
 「太陽編」が複雑な構造となっていることはすでに書いた。
 作品の舞台が仏教伝来の6世紀の頃と、2001年の未来? であることも、書いた。
 この二つの物語がひとつにつながるのが、愛なのだ。
 それが、この角川文庫版12巻めの「太陽編(下)」で明らかになる。

 唐軍によって狼の顔となった若者ハリマは仏教の勢力と戦う狗族など産土神たちとともに戦いの渦中に巻き込まれる。
 ハリマを助けるのが、狗族の娘マリモ。彼女はハリマに恋心を寄せている。
 狼の顔をもったハリマもまたマリモを愛しているのだが、戦いの中で、顔を傷つけられてハリマは狼の顔から人間の顔に戻ることができるという幸運をつかむことになる。
 けれど、狼の顔を失うことで、ハリマから妖力が消え、彼には狗族の姿が見えなくなる。
 ハリマはマリモとの愛をなくしてしまうのだ。
 嘆き悲しむマリモはこの時より千年後、ハリマの生まれかわりとまた出合うという。
 それが、「太陽編」のもうひとつの舞台2001年のスグル少年なのだ。

 2001年の物語で「光」一族のご神体「火の鳥」が偽物だったことを知った地下組織「影」は反撃を開始する。
 その戦いの中で傷つき、狼人間と変身したスグルは、死なない娘ヨドミと出合う。
 ヨドミこそ、狗族の娘マリモの生まれかわりだった。
 こうして、二つの愛が2001年の未来? に成就する。
 そんな二人の頭上に光が近づく。「ごらん 火の鳥だ」。
 火の鳥に導かれて、二人は狗族の世界に旅立っていく。
 これが、「火の鳥」最後の作品となった「太陽編」のラストシーン。
 このあと、手塚治虫は「火の鳥」を描くことはなかった。

 ただし、手塚治虫には次の作品「大地編」の構想があったともいう。
 それがどんな作品になったのか、手塚がいなくなってしまった今、誰も知らない。
  
(2014/03/29 投稿)

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