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ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
(2005/06/21)
W・チャン・キムレネ・モボルニュ

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sai.wingpen  赤い海に自家用ジェットは墜落した             矢印 bk1書評ページへ

  サブプライムローン問題に端を発して、9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻などの<世界金融危機>は、11月に発表されたトヨタ自動車の一兆円を越える営業利益の業績見込みの下方修正を経て、瞬く間に実体経済に深刻な影響を及ぼしている。
 米国の大手自動車メーカーである、いわゆる「ビッグスリー」(フォード、クライスラー、GM)は公的資金による救済を求めているが、まだ決着をみていない。(2008年12月18日現在)
 そういうなかで、米議会に支援を求めた「ビッグスリー」の経営トップたちが自家用ジェットでワシントン入りしたことが多くの人々の失笑をかったのは、米国の企業がもっている経営感覚をよく表している寓話のようで興味深かった。
 ある議員が「豪華自家用ジェットがワシントンに乗り入れ、そこから降りて来た人たちがブリキのコップを手に持って、経費削減と経営合理化を行いますと言うのは大層な皮肉だ」だと語っていたが、皮肉を通り越して愚かというしかない。

 「未知の市場空間を創造し、差別化と低コストを同時に実現するための戦略を説き明かした画期的な書」(表紙袖カバー)である本書の、巻末資料としてつけられた「ブルー・オーシャン創造の歴史的形態」の中で、その自動車産業が取り上げられている。
 それによれば、フォードの、今や伝説化しているともいえる「T型フォード」の創造こそ、「ブルー・オーシャン」の典型であったとみなされている。
 そして、フォードの隆盛の中で、次にGMが放った戦略(快適性やファッション性へのシフト)もまた新たな「ブルー・オーシャン」であったとしている。確かに本書で説明されている「ブルー・オーシャン戦略の六原則」のひとつである「市場の境界を引き直す」ための要因として「機能志向と感性志向を切り替える」があり、当時のGMの戦略はまさにそれに当てはまる。 しかし、その後の日本車の進出等紆余曲折はあるにしても、なぜ彼ら「ビッグスリー」は現在のような困窮に陥ってしまったのだろうか。

 それは「ブルー・オーシャン戦略」とて永遠に有効な戦略ではない証である。
 そのことを著者はこう言い切るのだ。
 「とはいえどのようなブルー・オーシャン戦略も、いずれは模倣されるだろう」(246頁)。
 そして、模倣された側は新たな青い海に乗り出すのではなく、競争のある既知の市場空間である「レッド・オーシャン」で企業という船を漕ぐことになる。まさにその典型的な事例として、今の「ビッグスリー」があるように思える。
 では、どのようにして、いつ、新たな「ブルー・オーシャン」に挑むのか。
 著者の答えはこうである。「戦略キャンパス上の価値曲線に目を光らせておく必要がある」(246頁)と。
 つまり、企業とはつねに自分の位置を確認し続けていかなければならないし、将来を見通す力を持ち続けなければならないということだろう。先に挙げた巻末資料の単元の末節で「紹介してきた企業(書評子注・ビッグスリーのこと)はほぼ例外なく、ブルー・オーシャンを創造した功績によって、時代を超えて人々の記憶に残っている」(257頁)。

 しかし、今回の最大の危機がどのような決着をみるにしろ、彼らが青い海に漕ぎ出せるかどうかの保証は何もない。
 彼らのかつての「ブルー・オーシャン」が経営学の歴史の教科書に封印されてしまうのか、それとも新たな市場が展開されるのか、興味深い。
 そして、それと同様のことが日本の自動車メーカーや多くの産業についてもいえる。
 そういう意味で、この本は「経営戦略」の書であるが、今を読み解く最適の一書でもある。
(2008/12/18 投稿)

プレゼント 書評こぼれ話
  この本はあの勝間和代さん推奨の一冊です。
  そして、この本を読みに際しては、本田直之さんの「レバレッジ・リーディング」の
  手法を初めて試みました。
  では、どのように読んだかというと、
  まず300頁近くあるこの本を「1時間で読もう」と決めました。
  そのためには、読まない箇所はどんどん増えました。
  途中でノートをとったりしましたが読了するまでにはやはり
  2時間半ぐらいかかりました。
  それでも私にとっては驚異的な時間かもしれません。
  ただやはり読み心地はよくないです。
  読み飛ばしたところに、とても大切なことが書いているんじゃないかという
  「恐怖心」がずっとつきまといました。
  この感情を押さえ込まないと私の「レバレッジ・リーディング」は成功しないでしょうね。
  多分。
  

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