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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は時の記念日
  時間といえば、手塚治虫さんの漫画に『ふしぎな少年』という作品があって、
  これを原作にしたTVドラマが昔NHKで放映されていました。
  調べてみると、このドラマが放映されたのが1961年から1962年。
  私の6歳の頃の作品です。
  太田博之さんが主人公の少年を演じていました。
  若い人は太田博之さんといっても知らないと思いますが、
  今風にいえば「イケメン」俳優のはしりではないかしら。
  その少年が、
  
    時間よとまれ

  というと、本当に時間がとまってしまうというドラマです。
  よく、「時間よとまれ」って遊んだものです。
  今回は、そんな手塚治虫さんの素顔に迫る、
  息子さんの手塚眞(まこと)さんの『「父」手塚治虫の素顔』です。
  「時間よとまれ」って本当に願ったのは、締め切りが迫った
  手塚治虫さんご自身だったのでしょうね。

「父」手塚治虫の素顔「父」手塚治虫の素顔
(2009/05)
手塚 眞

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sai.wingpen  天才の息子                矢印 bk1書評ページへ

 「漫画の神様」手塚治虫は今年生誕八十周年を迎えます。
 当然存命であれば、八十歳の誕生日を迎えるということで、あるいは「八十歳の手塚治虫氏、新作発表 いまだ意気軒昂」なんていうニュースがあっても不思議ではなかったと思います。
 しかし、残念ながら、手塚治虫は二十年前、まだ六十という年齢で亡くなってしまいました。
 手塚治虫を失ったことは悲しい。でも、「漫画の神様」は私たちにいつまでも古びない多くの作品と、「その作品とともに育ち、それに親しんできた」たくさんの子どもたちを残してくれました。
 そのことに感謝します。
 この本は手塚治虫の長男である手塚眞さんが2003年に書いた『天才の息子』を加筆修正し、かつ手塚治虫の手紙とエッセイを新たに加えて再編成されたものです。その際に『「父」手塚治虫の素顔』と書名も変更されています。
 もちろんこの本では仕事場での手塚治虫だけでなく息子ならではの家庭での手塚治虫の「素顔」がうかがえてそれはそれで十分に面白いし、手塚研究としても欠くことのできないものだと思います。
 しかし、やはりこの本は『天才の息子』である眞さんの本であり、しいていうなら眞さんの手塚治虫からの独立宣言(決別宣言ではなく)の書であると思います。
 特に最終章である「手塚治虫のDNA」はその色合いが強くでた章だといえます。
 そのなかで、眞さんは「息子は息子の考え方で生きることしかない」(192頁)と高らかに宣言しています。そのうえで「ぼくはリラックスして生きていきたいと思います」と書き、「ぼくは紛れもなく手塚治虫のDNAを受け継いでいる。でも、同じ人間は生まれない。それだけのことです」と続きます。
 「神様」とまで呼ばれた父を持つ息子でありながら、あるいはそれゆえかもしれませんが、眞さんの文章は清々しています。
 だから、この本はできれば『天才の息子』のままでよかったのだろうと思います。

 その上で今回こういう形で出版されました。あるいは手塚眞さんは「父」手塚治虫に関係した多くの仕事もされている。その辺のことを本書のあたらしい「あとがき」で眞さんはこう書いています。
 「それが父親だろうと手塚治虫だろうと関係ない、とにかく自分がやるべきことがここにあるということが、一番大事なことなのだと想っています」(212頁)
 「漫画の神様」手塚治虫の息子である手塚眞さんは、やはり「天才の息子」らしく、りっぱに独立されていることを思わせる、いい文章です。
  
(2009/06/10 投稿)


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