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  今年は残暑もきつくなく
  いい秋のはじめです。
  鈴木真砂女さんという俳人の句に
  秋の七草を詠んだこんな句が
  あります。

    秋七草嫌ひな花は一つもなし

  この花は男と読み替えてもいいのでは
  ないでしょうか。
  少なくとも
  真砂女さんはそうだったのではないかと
  勝手に推測してしまいそうになります。
  今日の絵本は
  そんな句とは遠いですが、
  秋の季節にはぴったりの作品です。
  いわむらかずおさんの
  『14ひきのやまいも』。
  この作品では
  山芋ほりの様子が描かれています。

    山芋を摺りまつしろな夜になる     酒井 弘司

  なんていう俳句もあります。
  山芋ほりを満喫した
  14ひきのねずみたちも
  まっしろな夜になったのでしょうか。

  じゃあ、読もう。

14ひきのやまいも (14ひきのシリーズ)14ひきのやまいも (14ひきのシリーズ)
(1984/07/20)
いわむら かずお

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sai.wingpen  秋の七草、いえますか?                   

 萩、芒、葛、撫子、女郎花、桔梗、藤袴。
 秋の七草である。
 これらは秋に咲く代表的な植物だ。
 秋は紅葉だけでなく、七草のように花として愛でることもできる季節でもある。
 いわむらかずおさんの人気シリーズ「14ひき」は季節ごとに作品があって、花を愛でるようにページを開けば季節が味わえるのがいい。

 この巻は秋の山に14ひきのねずみ家族がやまいもほりにでかけるお話。
 一面秋の、あたたかい色調でうまっている。
 さて、やまいもの長いつるが伸びている場所にやってきた14ひきだが、ここで登場するのが「むかご」。
 「むかご」って何だ?
 文にはこうある。「やまいものつるになってる、おいしいむかご」。
 絵は木に登ってその「むかご」を取っている子どもねずみたちの姿。
 「むかご」って何だ?

 ネットで調べると「やまいもなどの地上の茎の葉腋にある芽が肥大して,球根と同様の性質をもつ塊状組織を形成する」とある。
 なかなか実物を見る機会は、今の子どもたちにはないかもしれない。
 こういう丁寧さがいわむらかずおさんの魅力といっていい。
 14ひきの中のおじいさんねずみが「いもほりめいじん」なように、失礼かもしれないが、いわむらかずおさんはおじいさんの知恵袋だ。
 そもそも子どもたちはやまいもがどういう状態であるのかも知らないのではないか。
 スーパーに行けば、風情もなく積んであるだけだし。

 本来そういうことは自然と学べたはず。
 秋の七草にしても、街の中ではなかなか見ることはない。
 そうなると、秋の七草さえ身近でなくなってくる。季節感がなくなって、ひどい目にあうのは私たちなのに。
 だからこそ、いわむらさんの「14ひき」シリーズは私たちが大切にしないといけない絵本だ。
 子どもたちに「歳時記」は難しいかもしれないが、いわむらかずおさんの絵本ならやさしい。
 やさしくて、季節感があって、しかもとろろ汁のおいしい匂いまでついてくる。
 いうことないではないか。
  
(2014/10/05 投稿)

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