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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は寺山修司さんの
  『踊りたいけど踊れない』という
  絵本、大人のですが、を
  紹介します。
  イラストは宇野亜喜良さん。
  宇野亜喜良さんのイラストには
  昔とっても魅了されたことが
  あります。
  青年期の私の胸を
  どきどきときめかしてくれたものです。
  寺山修司さんの世界観も
  そうですね。
  若い感性でないと
  なかなか理解できないところが
  あります。
  この絵本には
  童話のような短い物語と
  詩篇がいくつか。
  若い人だけでなく
  大人の人も
  往時に想いをはせて下さい。

  じゃあ、読もう。

踊りたいけど踊れない踊りたいけど踊れない
(2003/04)
寺山 修司、宇野 亜喜良 他

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sai.wingpen  若い感性の無垢さ                   

 この本の絵を担当した宇野亜喜良について書こうと思う。
 宇野にはイラストレーターというよりグラフィックデザイナーという肩書きが似合う。
 カタカナにして数文字多くなる職業。それだけで何か先鋭的な感じがする。
 宇野の作品に初めて接したのは、児童文学の今江祥智の『海の日曜日』の装丁だったように思う。
 おぼろげだが、何しろこの作品は1966年のものだから、私自身が11歳の時に読んだ記憶でしかない。
 今江の物語がどのような内容であったかまったく忘れているのだが、そこに宇野の作品が使われていたことだけは鮮明に覚えている。
 子ども期から少年期になろうとしていた時代に出会った、宇野の絵。
 そのあと、宇野の作品は多くの本の装丁や挿絵として、私を魅了した。

 ほとんど胸のない少女。手足の長い少年。
 宇野の絵は、この本でも寺山修司という天才が書いた童話のような作品に見事に合っている。
 宇野の描く妖しげな世界が寺山の感性を余計に際立たせているといっていい。
 自分の意志とは関係なく、勝手に動く手、勝手に踊る足、そんな少女ミズエはある時恋におちる。でも、心の打ちあけかたがわからない。
 そんなミズエが手にした本は、サドの『ジュスチーヌ』。
 ここで描かれている宇野のエロチックな絵のときめきは、若い頃の宇野の絵から喚起された青臭い青春期のそれを思い出させてくれる。
 そんな絵にうろたえたものだ。

 恋したミズエはけれど相手の少年に「きらいです」と言ってしまう。
 言葉さえ彼女を裏切ってしまうのだ。
 寺山はこの小さな童話の最後に、「たよりない初恋のお話です」と書いた。
 宇野の絵はそういう「たよりない」感性を掬いとるようにして出来上がっているような気がする。
 溶けていく砂糖菓子。
 うごめく青虫。
 おそらく若い頃でしか感じることのないようなものが宇野の絵にはある。
 それは寺山という詩人の感性にもつながっている。

 若さは不十分かもしれないが、その無垢さは若さでしか手にはいらないものだ。
 大人のためにできたこの絵本はそんな傷みをあからさまにする。
  
(2014/11/13 投稿)

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