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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する
  梶井純さんの『トキワ荘の時代』は
  副題にあるように
  「寺田ヒロオのまんが道」でもあります。
  寺田ヒロオさんは
  昭和40年代に活躍した漫画家です。
  書評にも書きましたが
  この本を読むきっかけは
  先日読んだ
  ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉『藤子・F・不二雄』でした。
  田舎から
  漫画家を目指して上京してきた
  藤子・F・不二雄さんたちを
  親身になって迎えてくれたのが
  寺田ヒロオさんでした。
  そのことが書かれていて
  では、寺田ヒロオさんとは
  どんな漫画家だったのかを知りたくて
  読みました。
  私自身は子どもの頃に
  寺田ヒロオさんが書いた
  『スポーツマン金太郎』とか『暗闇五段』を
  読んだことがあります。
  そんな懐かしさとともに
  トキワ荘での漫画家たちの日常に
  青春の時を感じました。
  昭和30、40年代の漫画そのものが
  青春だったといえます。

  じゃあ、読もう。

トキワ荘の時代―寺田ヒロオのまんが道 (ちくまライブラリー)トキワ荘の時代―寺田ヒロオのまんが道 (ちくまライブラリー)
(1993/07)
梶井 純

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sai.wingpen  そこにはまちがいなく青春があった                   

 本が本を呼ぶ。
 「どんな本を読んでいいかわからない」という人へのアドバイスとして、まずは何でも構わないから自分の興味のある本を一冊読んでみること。あとは、本が次に読みたい本を示してくれる。
 読書というのは、そのようにしてつながっていく。
 「寺田ヒロオのまんが道」とサブタイトルのついたこの本は、筑摩書房から新しく刊行された「ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉藤子・F・不二雄」が呼んだ一冊だ。
 手塚治虫からつづく若い漫画家たちの伝説の地、東京豊島区にあったアパート「トキワ荘」。
 先の評伝は漫画「ドラえもん」を生み出した藤子・F・不二雄のものだが、藤子たちが上京してきた時に住んだのがこの「トキワ荘」で、そのアパートでの生活もそこには描かれていた。
 そして、田舎から出てきた藤子たちの面倒を見たのが、先輩住人であった「テラさん」こと寺田ヒロオであった。

 この本には寺田や藤子だけでなく、その後この「トキワ荘」に住んだ漫画家たち、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、つのだじろう、といった漫画家たちの姿が生き生きと描かれている。
 また、あのつげ義春や佐藤まさあき、辰巳ヨシヒロといった劇画家も登場し、まさに今の漫画界の盛況の下地を作った人たちのスケッチも怠らない。
 手塚治虫を頂点とする彼らの中で、寺田ヒロオは異彩を放っているといっていい。
 何故なら少年週刊誌の創刊後一定の人気を保った寺田だが、その漫画誌が隆盛しようとするその時に漫画家として筆を折ったのだから。

 寺田ヒロオという漫画家を現在知っている人は昭和30年代以前に生まれた人に限られるのではないか。
 寺田の代表作は「スポーツマン金太郎」であり「暗闇五段」である。あれだけの人気漫画を描きながら、寺田は少年週刊誌が進みつつある方向を拒み、筆を折る。
 寺田にとって漫画とは生活費を稼いでいたが、生活ではなかったのだろう。
 寺田にとって漫画とは荒削りの青春そのものであったにちがいない。
 だからこそ、「トキワ荘」での生活は終えた時から寺田の漫画人生は終わっていたのかもしれない。

 寺田ヒロオ。漫画家。1992年9月24日、享年61歳の短い生涯を閉じる。
  
(2014/11/06 投稿)

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