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プレゼント 書評こぼれ話

  従軍慰安婦報道や
  福島第一原発事故に関わる吉田調書問題といった
  朝日新聞の誤報問題で
  朝日新聞だけでなく
  新聞のありかたそのものが問われている昨今。
  特に朝日新聞は購読者離れもあるとか
  事態は深刻です。
  私もここ数年はずっと朝日新聞
  購読しているのですが
  やはりこういうことが起こると
  気にかかります。
  そんな眼で読むからなのか
  最近の「天声人語」も力がないように
  感じます。
  今日紹介する
  後藤正治さんのノンフィクション作品
  『天人』は
  副題に「深代惇郎と新聞の時代」とあるように
  かつて「天声人語」の名を高めた
  深代惇郎の人生をたどったものです。
  昔がよかったという言い方は
  月並みですが
  戦争をとめられなかった戦時中の新聞の反省もあって
  深代惇郎の活躍した時代は
  まっとうだったような気がします。
  今だからこそ
  この本が読まれる意味は
  大きいと思います。

  じゃあ、読もう。

天人 深代惇郎と新聞の時代天人 深代惇郎と新聞の時代
(2014/10/10)
後藤 正治

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sai.wingpen  新聞人が今なすべきこと                   

 新聞各紙には有名なコラムがそれぞれある。
 朝日新聞は「天声人語」、読売新聞は「編集手帳」、毎日新聞は「余禄」、産経新聞は「産経抄」、日本経済新聞は「春秋」といったように。
 なかでも、「天声人語」は人気が高い。
 「天に声あり、人をして語らしむ」という故事からつけられた名前で、1904年から掲載が始まったというから100年以上続いていることになる。
 「天人」と呼ばれる「天声人語」の書き手は歴史の数だけいるが、今でも人気が高いのは、この本で取り上げられている深代惇郎(じゅんろう)だ。
 深代が「天声人語」を担当したのは1973年2月15日から75年11月1日までの2年9ヶ月である。歴代の「天人」の執筆期間と比べて短い。
 それでも人気が高いのは、深代の文章がうまかったこともあるが、46歳で逝去したこともある。
 深代の最後の「天声人語」からわずか1ヶ月余りの突然の死は多くの読者を驚かせた。
 そして、深代は伝説の「天人」になっていく。
 本書は深代惇郎という「一人の新聞記者の生涯」をたどりつつ、深代の生きた「戦後の新聞史」も描いてみせる労作である。
 皮肉にも「天声人語」の朝日新聞に誤報問題が起こっている今、本書は新聞のありかた、新聞人のありかたを問うた作品ともいえる。

 当然深代の人物についての言葉が随所にあるが、端的に表せば「深代は<社会>に寄り添い、<素人>目線でコラムを書き続けた人」ということになる。
 生まれもった素養もあるだろうが、子どもの頃から青春期、そして新聞人という時代が深代を作り上げていったともいえる。
 著者の後藤正治の言葉でいえば、「人はだれも、たまたま生まれ落ちた時代のなかで人生を送る」のだ。
 ふりかえれば、誰もが時代の子である。

 「人間のもつ弱さや愚かさや挫折を噛み締めたことのないものがどうして人の心に届くものを書けようか」と、後藤は深代の離婚の話も書いているが、最近の朝日新聞の問題もこんなところにあるような気がする。
 新聞人がいつのまにか高慢になって、自分の声を「天の声」だと誤解しているのではないだろうか。
 深代はかつて「天声人語」の中でこう書いた。「民の言葉を天の声とせよ、というのが先人の心であったが、その至らざるの嘆きはつきない」。
 深代惇郎の天からの声に、しばし耳を傾けたい。
  
(2014/11/26 投稿)

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