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06/20/2009    俳句力:書評
プレゼント 書評こぼれ話

  先の『俳句表現は添削に学ぶ』(鷹羽狩行・西山春文)に続いて、
  立て続けての、俳句の「学習書」である。
  今回は櫂未知子さんの『俳句力』。
  副題は「上達までの最短コース」。
  たまたま本屋さんで二つの本が並んでいたので、読書が続きました。
  私は『俳句表現は添削に学ぶ』から読んでいますが、
  俳句をこれから始めたいという人は、
  今回紹介した『俳句力』からの方がとっつきやすいと思います。
  幅広く書かれていますので、
  作句には役立つと思います。
  この本では「直喩」のことにも触れられています。
  「直喩」というのは「~のようだ」という表現ですね。
  例えば、

    やり羽子や油のやうな京言葉  高浜虚子

  みたいな使い方です。
  私が作句する時、この「直喩」をできるだけ避けていました。
  安易になりすぎるというのが理由なのですが、
  今度ちょっと挑戦してみようかと誘惑されてしまいました。
  でも、本当にこれは創作としては危険なんですよね。
  俳句とは安易に流れやすい文芸でもあるので、
  十分注意が必要です。
  
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(2009/05/14)
櫂 未知子

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sai.wingpen  俳句五月病                 矢印 bk1書評ページへ

 初めて俳句を詠んだのはいつだったろうか。
 その時どんな句を詠んだのかももう覚えていないが、見様見真似でもう何年もぽつぽつと詠んでいる。でも、何かもうひとつ突き抜けることがない。
 そういった心境のことを本書では「俳句五月病」と書かれている。少し引用すると、「五七五という定型にもすっかり慣れた、季語も実作を通してかなりマスターできた。調子の波はあっても、常にそれなりのレベルの作品はできるようになった。しかし、何かが足りない。「もう一歩」の壁を打ち破っていない」(53頁)ということになる。
 本書は「初心者から句会の指導をなさっているかたまで、それぞれの段階における悩みを解決すべく」(155頁)、たいへんわかりやすく書かれた「俳句学習書」といえる。
 これから俳句を始めたいという人には「歳時記」の読み方、吟行の意味というところまで言及して、丁寧なつくりになっている。それでいて、中級者にそれらの文章が煩瑣かといえばそんなことはない。むしろ、初心の気持ちに戻れるのではないだろうか。あるいは「俳句五月病」の人こそ、もう一度「季語」や「切れ」の意味するところに立ち戻るのがいいような気がする。
 スポーツの世界でよく「基本に立ち返る」みたいなことが言われるが、俳句もまた同様だろう。
 また上達をめざす人には「旧仮名づかい」の陥りやすい誤まりや「直喩」などの具体的方法など、現状を打開するための多くのヒントが書かれている。もちろん、本書だけですべてこと足りるかといえばそうではないが、さらなる上達の道の一里塚ではある。

 著者の櫂未知子氏は、俳句は「基本的に十七音という約束を持ち、季語という楽しい業界用語めいたものを持ち、さらには切字(切れ)という独特の装置を持」つゆえに「マニュアル本を量産しやす性質を持つ珍しい文芸」(136頁)と書いているが、マニュアルだけでは本当の作品になりきれないということだ。
 文芸として読む人の心に感動をもたらすものでなければならないし、詠み手として詠むことの喜びを享受したい。

 「まこと、俳句という文芸は魅力に満ち、また、なかなか思うようにはいかない文芸」(123頁)というのは著書だけでなく、多くの俳句愛好者の本音にちがいない。そして、だからこそ、俳句は面白いのでもあるが。
  
(2009/06/18 投稿)

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