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プレゼント 書評こぼれ話

  先日皇居で行われた
  歌会始
  今年の題は「」。
  皇后さまの歌がとてもいい。

    来し方に本とふ文の林ありてその下陰に幾度いこひし

  読書家でもあられる
  皇后さまらしい歌です。
  今日紹介する
  永田和宏さんの『現代秀歌』でも
  皇后さまの歌が紹介されています。
  その永田和宏さんは
  歌会始の選者でもあります。
  永田和宏さんが
  詠んだ一首。

    本棚の一段分にをさまりし一生の量をかなしみにけり

  今年の入選歌には
  15歳の女の子の歌もあって
  これがまた、いいんです。

    この本に全てがつまつてるわけぢやないだから私が続きを生きる

  その他の入選の歌も
  いいものが多いのは
  やはり本の持っている力なのかもしれません。
  来年のお題は、
  「」です。

  じゃあ、読もう。

現代秀歌 (岩波新書)現代秀歌 (岩波新書)
(2014/10/22)
永田 和宏

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sai.wingpen  歌の読みには正解はない                   

 本書は2013年に刊行された同じ著者による『近代秀歌』の姉妹編にあたる。
 難しいのは、「近代」と「現代」との区切りであろう。
 著者の歌人永田和宏は「昭和20年代後半におこった前衛短歌運動を境目」として、塚本邦雄や寺山修司が登場してから以降を「現代短歌」とする説に与しているようだが、この岩波新書では『近代秀歌』で取り上げた歌人以降をこの本では対象としているという。
 わかりやすくいえば、『近代秀歌』の続編となる。

 ただ編集にいくつかの違いがあって、取り上げた歌人の数が100人であること、1人1首としていること(但し、これは掲句に限ってで、例えば永田の妻である故河野裕子の場合では色々な箇所で複数の歌が紹介されている)、「恋・愛」「青春」といったテーマで括る方法は同じながら「新しい表現を求めて」という新しいテーマを加えていることが挙げられる。
 いずれにしても永田自身がこの「現代」の範疇にはいる歌人であり、これらの歌を「100年後まで残したい」という思いと相俟って、力作であることにはちがいない。

 歌人や歌の紹介だけではない。
 解説の端々に著者の考える短歌論が紹介されている。
 中でも目をひいたのが、「歌の読みには正解はない」ということだ。「どう読めば、自分にとって歌がいちばん立ちあがってくるか」の「自分にとって」が重要なのだろう。
 わかりやすい例でいえば、俵万智。本書では4首の歌が紹介されているが、自分の「100年後まで残したい」歌はそうではなく別のものであっても構わないのだ。
 本書はあくまでもそのきっかけになればいい。

 本書で気にいった歌をひとつあげるとすれば、私は花山多佳子の「大根を探しにゆけば大根は夜の電柱に立てかけてあり」だ。
 短歌という枠組みながら、とてつもなく広がるドラマを感じる。
 日常でありながら非日常が嵌め込まれていて、この一首に集約される生活が映画のように喚起されてくる。

 本書の「おわりに」で永田は「自らの思いを誰かに<伝える>ということにおいて、歌がいかに大切な表現手段になる得るか」と、自身と河野裕子との最期の日々を追想している。
 これも秀逸だ。
  
(2015/01/22 投稿)

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