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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  宮本輝さんの『いのちの姿』という
  エッセイ集を紹介します。
  書評にも書いているように
  私は30代の頃
  宮本輝さんに夢中になっていました。
  10代の頃は
  大江健三郎さんや倉橋由美子さん、
  開高健さんに熱中し、
  20代の頃には沢木耕太郎さんにはまり、
  そのあと宮本輝さんと
  続いていきます。
  そのあとには
  村上春樹さんとか吉本ばななさん。
  そう考えれば
  作家との付き合いというのも変ですが
  人とのつきあいによく似たところが
  あります。
  久しぶりに読む
  宮本輝さんの本。
  書評タイトルに「再会」とつけたのは
  そういう思いもあって。

  じゃあ、読もう。

いのちの姿いのちの姿
(2014/12/05)
宮本 輝

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sai.wingpen  再会                   

 30代の頃、宮本輝の作品に夢中になっていたことがある。
 単行本で読んで、文庫本になってまた読んで、初期の代表作のひとつである『錦繍』などは何度読んだことだろう。
 時代は昭和から平成にかかる頃だった。
 ところが、ある時を境に宮本輝の作品が読めなくなった。新作を読もうとしても途中で投げ出してしまう。どれを読んでも同じではないか。そんな気がした。
 まるでそれまでの華麗な色彩の世界が突然色を失せたように、私は宮本輝の世界から遠ざかった。

 宮本輝は「小説に専念したい」と、ある時期からエッセイを書くことをやめていたという。
 初期には『二十歳の火影』『命の器』といった珠玉のエッセイ集を出しているのに。
 本書はそんな宮本がなじみの京都の料亭「高台寺和久傳」の大女将から頼まれて断りきれずに書き始めたエッセイをまとめたものだ。
 掲載誌が創刊されたのが2007年というからもう8年近く経つ。その間、宮本が書いたエッセイはこの本に収録されている14編だけかもしれない。
 1年に2編。そんなスピードが宮本に合ったのであろうか。

 このエッセイに書かれていることはけっして新しい内容のものばかりではない。
 阪神淡路大震災のあった1995年、シルクロードを旅したことがいくつかの作品に登場する。
 旅といえば、『ドナウの旅人』取材のためのドナウ河紀行。
 あるいは、宮本が得意とする青春期の暗澹たる日々の記憶(「兄」や「ガラスの向こう」)などは初期の宮本作品を喚起させる。

 なんともゆったりとした文章、それでいて宮本らしい自信に満ちた内容。
 私にとっての、久しぶりの宮本輝であったが、宮本輝の世界を十分愉しんだ。
 宮本にも時間が必要であったように、私にも宮本に戻る時間が必要だったのかもしれない。
 まだ読める。また読める。
 小さなエッセイ集で、宮本輝に再会した思いがする。
  
(2015/01/26 投稿)

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