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プレゼント 書評こぼれ話

  NHKEテレビの「100分de名著」の
  今月の1冊、
  岡倉天心の『茶の本』は
  昨日で終了しましたが、
  せっかく番組を見てるなら
  その本そのものも読まないといけないと
  深く反省して
  『茶の本』を
  読みました。
  番組で学んだことが書評に生かされたかというと
  なかなかそういうことでもないのですが。
  もちろん岡倉天心の『茶の本』を
  読むのは初めてで
  番組で取り上げられなかったら
  おそらく死ぬまで
  読んでいなかったでしょうね。
  その点では
  ありがたい機会でした。
  もともとは明治時代の本ですが
  とても読みやすいし
  今でも十分通じるところがあって
  若い人にも
  ぜひ読んでもらいたい1冊といえます。
  なお、本の著者岡倉覚三
  岡倉天心の本名です。

  じゃあ、読もう。  

茶の本 (岩波文庫)茶の本 (岩波文庫)
(1961/06/05)
岡倉 覚三

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sai.wingpen  明治は遠くなりにけり                   

 中村草田男が「降る雪や明治は遠くなりにけり」と俳句を詠んだのは、昭和6年(1931年)のことである。
 岡倉覚三こと岡倉天心がこの本をアメリカで出版したのは明治39年(1906年)のことで、岩波文庫の一冊に収められたのが昭和4年(1929年)だから、人々の感慨はまさに「明治は遠くなりにけり」だったかと思う。

 この本はまずタイトルがいい。(出版時は『THE BOOK OF TEA』)
 この本の解説を書いた福原麟太郎によれば、天心の主著はこの本と『日本の目覚め』『東邦の理想』の3冊だということだが、他の2冊に比べてずっとシンプルだし外国の人も手にしやすいタイトルだ。
 もっとも読み始めて、その内容が日本の文明論であることに驚いたかもしれないが。

 この本は「人情の碗」「茶の諸流」「道教と禅道」「茶室」「芸術鑑賞」「花」「茶の宗匠」の、7つの章に分かれている。
 この章題だけを読めば、いくつかの章は茶道の本らしいことも書かれているように思えるが、天心がこの本で言おうとしたのは日本や東洋の理解であったといえる。
 天心は「いつになったら西洋が東洋を了解するであろう」と書いている。
 「西洋人は、日本が平和な文芸にふけっている間は、野蛮国」と呼び、「満州の戦場に大々的な殺戮を行ない始めてから文明国」と呼んでいるとしている。
 この天心の見方は書かれてから100年以上経った現代でも通用する。
 経済大国になった日本だから先進国になったとすれば、それは天心がもっとも危惧したことかもしれない。
 ようやくにして、日本の文化面でのソフト領域が国際的に評価 されている「クールジャパン」が注目を集めているが、それは「茶」ではないが、これこそ天心のこの作品に込めた思いの成就といえるのではないだろうか。

 天心は最後に「美を友として世を送った人のみが麗しい往生をすることができる」と記している。
 ここでいう「美」はまさにこの本に書かれたさまざまなことを指している。
 この本が書かれた時から100年以上経って、私たち日本人がどこまで天心が願ったことを実現しえたかどうかわからない。
 「いつになったら現代人が私の願いを了解するであろう」、天心の声が聞こえてきそうだ。
  
(2015/01/29 投稿)

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