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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は二十四節気のひとつ、「夏至」です。
  子どもの頃に習いましたが、
  一年でもっとも昼が短い日です。
  「夏に至(いた)る」なんて、美しい言葉ですよね。
  夏至の季語を使ったいい俳句がありました。

    夏至ゆうべ地軸の軋む音すこし  和田悟朗

  なんだか、本当にそんな音が聞こえてきそうです。
  それとまったく関係なく、
  今回紹介している本は東海林さだおさんの、
  『猫めしの丸かじり』。
  いわゆる食べ物エッセイです。
  「猫めし」とは何かについては書評に書きましたが、
  奥の深い食べ物です。
  東海林さだおさんのエッセイは本当に面白い。
  梅雨どきの憂さ晴らしにはちょうどいいかもしれません。
  ちなみにこの文庫本では料理愛好家の平野レミさんが
  解説を書いています。
  平野レミさんはイラストレーター和田誠さんの奥さん。
  解説の中であの伝説? の愛猫シジミも登場します。  
  
猫めしの丸かじり (文春文庫)猫めしの丸かじり (文春文庫)
(2004/08)
東海林 さだお

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sai.wingpen  私、今日からキュウリになります         矢印 bk1書評ページへ

 恥ずかしながら、五〇も半ば近くに、ショージ君の面白さを初体験(えへへ)しました。
 わが読書生活のなんと薄っぺらなことかと、今更悔やんでも仕方がないですが、なんともクヤジー。
 でも、だんな(と、ちょっと時代劇風です)、こんなおいしいものを若いうちから知ってしまうと、いけませんぜ。
 毎日毎日楽しくてしかたがないなんていけません。そんな生活が続くはずがない。
 人間、時には苦労っていうものが必要です。
 若いうちから贅沢はダメ。
 おいしいのは最後にとっておかないと。
 だから、五〇も半ば近くがショージ君適齢期。
 読んではクスクス。見てはハハハハ。
 人生の苦労なんて、とんでいけーー、なのです。
 今回の一冊は本屋さんの文庫棚に並んだ東海林さだお著のたくさんの「丸かじり」シリーズから「猫めし」という言葉に「こっち、こっち」されて読みました。
 まともなセンでいけば「トンカツ」とか「マツタケ」とかでもよかったのですが、「猫めし」の呪いはやっぱりこわそうだし、今「猫めし」を読まないといつ読むんだみたいな恐怖観念でつい手がのびちゃいました。
 ところで「猫めし」ってなんだ、みたいなことを若い人はいうでしょうね。
 そこでちゃんと広辞苑で調べてみました。
 「飯に味噌汁をかけたもの」とあります。本当にあるんですよ。驚きましたが。
 でも、甘いぞ、広辞苑。
 ショージ先生の学説を紹介すると、「熱いゴハンにカツブシをかけ」「味噌汁の残りをかけた」とあります。
 どうだ、まいったか、広辞苑。

 しかし、先生の学説による「熱いゴハン」というのがよくわからない。
 猫って「猫舌」というように、熱いものはキラーイなのではないか。
 ここは、「昨日の残りゴハンに」が正しいのではないか。
 さらに疑問がでてきて、昭和三十年前半はたしかにまだ「保温ジャー」みたいなものが出回っていなくて、昨日の残りゴハンは冷たくなっていましたが、最近ではそういうことも少ない。だとしたら、「猫めし」のためにわざわざ前日の夜に冷ます準備が必要になる。
 つまり、「猫めし」とは「昨日の残りゴハンをわざわざ前日の夜猫専用のお皿、もしくはお茶碗にとっておいて」となるわけですが、そうなると「味噌汁」はどうなるのだ。
 これは熱くていいのか。
 まさか「猫めし」のために前日から味噌汁の準備はすまい。

 このようにショージ君は深いのです。
 遠浅の海で「浅い、浅い」とじゃれあっているうちにドボンと深みにはまってしまうくらい、深いのです。
 みなさん、気をつけてくださいね。
 なお、本作の中の「大リストラの時代、ますますもってキュウリに学ぶべきものは多い」と結ばれる「キュウリの生き方」は傑作です。
 すでにショージ君は現世(というのかな)を予測していたんですね。
 私なんか、五〇半ば近くにしてキュウリになることを決心したぐらい、ふかーいエッセイです。
  
(2009/06/21 投稿)

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