FC2ブログ
プレゼント 書評こぼれ話

  いつも利用している
  さいたま市中央図書館の企画コーナーで
  東日本大震災関連本が
  今、展示されています。
  これまでにもこのブログで紹介してきた本もあったし
  未読の本もたくさんありました。
  この図書館でいいなぁと感じたのは
  児童書のコーナーでも
  子ども向けの震災関連本が
  展示されていたことです。
  経済的な支援活動ではありませんが
  あの日のことを忘れないための
  とても素晴らしい支援活動だと
  思います。
  3月8日の朝日新聞
  「震災の記憶 2667句が一冊に」という記事が
  掲載されていました。
  東日本大震災を題材にした俳句集「東日本大震災を詠む」という本が
  出版されたという内容です。
  記事で紹介されていた俳句を
  書きとめておきます。

    生き地獄見し目に映る春の雪    宮城・大内さん

  上五の「生き地獄」という言葉に
  あの日の凄惨な光景が凝縮されています。

    三月十一日二十三人分生きる    宮城・熊谷さん

  23人というのは会社の同僚でしょうか。
  近隣の人でしょうか。
  いずれにしても犠牲になられた人でしょう。
  その方々の分まで生きていこうという
  決意が込められた句です。
  今日も
  昨日に続いて
  東日本大震災関連の本を
  紹介します。
  最初の紹介は2012年5月11日でした
  『それでも三月は、また』という本の
  再録書評です。

  じゃあ、読もう。 

それでも三月は、またそれでも三月は、また
(2012/02/25)
谷川 俊太郎、多和田 葉子 他

商品詳細を見る

sai.wingpen  語る人たち                  

 2011年3月11日の東日本大震災からさまざま人がさまざまなところで発言をしてきました。もっとも寡黙だったのは、被災された人たちだったかもしれません。
 黙して祈る。黙して土を運ぶ。黙して柱を立てる。復興の現場で被災された人たちはあの時からの時間を黙々と、しかも力強く、生活しています。
 もちろん、黙することだけがすべてではありません。語ることで生まれるものもあります。少なくとも直接被災をしなかった人もなお、あの日のことを記憶にとどめるためには、語る人たちも必要なのです。

 本書はあの日のことを詩や物語として語った、17人の詩人や作家たちの作品集です。
 あの日、としてこれからも表現される日であっても、実はさまざまな場所であの日を迎えたのは事実です。きっとこの国の、人口の数だけの、あの日があります。
 それを表現すれば、本書に収録されている作品がそうであるように、まったく違う世界が生まれます。しかし、根底にあるのは、間違いなく、あの日なのです。

 川上弘美さんの『神様2011』や重松清さんの『おまじない』のように既読の作品もありますが、17の作品のうち10篇が本書のために書き下ろされたものです。
 中でも、池澤夏樹さんの『美しい祖母の聖書』はイメージも豊かな、美しい作品です。
 被災地で出会った一人の男。彼の語る、ささやかな人生。彼は被災地で被災したのではなく、長年離れていた故郷に、震災を契機にして戻ってきたのです。
 彼の紆余曲折な人生の話を聞きながら、主人公はこう思います。「追い詰められて、どうにもならなくて、ただ座り込んで別の人生など考える力もなくぼさっと日を過ごすことだってある」と。
 その彼が被災地で生きようとするのは、「海の中を漂う祖母の聖書」のイメージがあるからです。
 人はどんなに悲嘆しても、その中で懸命に生きようとする。それを支えるのは、何らかの美しいイメージなのかもしれません。
 人は、想像力によって、悲しみから立ち直れるのです。

 本書の17人の詩人や作家たちが描いたのは、東日本大震災という大きな悲しみの中で、それでも生きようとする人々を支える、想像力なのではないかと、思います。
  
(2012/05/11 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/2387-6dfbf1a3