プレゼント 書評こぼれ話

  2015年の春闘は
  多くの会社でベアアップとか
  景気のいい話が多かったですね。
  でも、うちは・・・、
  なんていう人も当然いるわけで
  どうして俺だけ、なんて
  恨み言の一つもいいたくなります。
  今日紹介するのは
  あのSONYの厳しいリストラの姿を
  描いたノンフィクションです。
  清武英利さんの『切り捨てSONY』。
  まだSONYはいいよ、
  もともとの給料が高いし
  早期退職にはたくさんの上乗せ金がプラスされるのだから。
  きっとそう思う人も
  多いでしょうね。
  そういう人には
  SONYから切り捨てられた人は
  どう答えるのかでしょう。
  それが人生、となれば
  企業に残るのも
  切り捨てられるのも
  人生の一コマ。
  と、いえないでしょうか。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  損得勘定ではなく                   

 かなり衝撃的なタイトルである。
 しかも、副題は「リストラ部屋は何を奪ったか」なのだから、有名企業のあからさまな人員削減策にあきれる読者もいれば、早期退職の上乗せ金の大きさにやはり大企業は違うと吐息をつく読者もいるだろう。
 企業内でそういった組織があることを知ったのは、2012年12月31日の朝日新聞朝刊の一面トップ記事であった。なんと大晦日に朝にその記事が出たのであるから、驚いた。
 それはSONYではなくパナソニックであったし、「リストラ部屋」ではなく「追い出し部屋」という表現ではあったが、内容的には変わらない。
 その記事では、パナソニックだけでなく、SONYにも同様の「部屋」があることが指摘されていた。

 もちろん、企業側は「リストラ部屋」とか「追い出し部屋」とか呼ぶはずはない。その時期時期で名称はちがうが、「キャリア開発室」等まっとうな名が付いている。
 しかし、そこには仕事はない。「終日、語学を勉強したり、ネットサーフィンをしたり、新聞や雑誌を読ん」で過ごすことになる。
 残業はない。定時に帰宅する。
 うらやましいということ、勿れ。
 仕事がない会社員ほどつらいものはない。ましてやSONYという大会社の一線で活躍していた人材であればなおさらだ。

 母船が沈んでしまえば、それでおしまい。だから、リストラ、あえていうなら首切り誘導は仕方がない。そういう論理がないわけではない。
 それでも、リストラされる側からすれば、「何故自分が」という思いはあるだろう。残った側も、いつ自分に「部屋」への異動が通達されるかわからない不安もあるだろう。
 許されないとすれば、それでも高額報酬を受け取っていた経営陣だ。
 SONYが社外取締役を採用したのが早い段階だし、さすがSONYと喝采をおくった人も多いと思う。
 けれど、実際には、個々の従業員の痛みには目が届かないのが実体だ。

 著者の清武氏は2011年にプロ野球の巨人の球団代表を解任されて騒動となった本人。前作『しんがり 山一証券最後の12人』で2014年度講談社ノンフィクション賞を受賞している。
 知らなかっただけに、そのことも驚きの一冊だった。
  
(2015/06/12 投稿)

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