12/22/2008 わたしの好きな作家たち 第一回 大江健三郎

ものです。
私にも、何人か、そういう人がいます。
書評のすきますきまで、そういう「わたしの好きな作家たち」を書いていきたいと
思います。

どれくらい、好きだったかというと、昔書いた書評に少し書いています。
(この書評もかなり以前のもので元はもっと長い書評でした。「夏の雨」としての
投稿では、初期の部類です。娘にあてた手紙形式で書いています)
書評にあるとおり、大江健三郎さんを読み出したのは中学の終わりか高校の始め。
新潮文庫の『芽むしり仔撃ち』だったと思います。
そこからぐんぐん読みました。
大学生の頃は、パチンコ屋さんの景品に「全作品」(新潮社)があって、それを揃える
ために大学の授業にも行かず、そのパチンコ屋さんに日参したものです。
高田馬場の駅前にあった遊戯場でした。

あの本は何度も読みました。
その後有名になる息子の「光」さんの誕生という困難な状況をモチーフにしながら、
若い父親の閉塞感と希望が描かれた作品です。
その後の「光」さんを主人公とした一連の作品も好きです。
大江さんの魅力はあのこなれない文体にあるというのも変な書き方ですが、
物語を読み始めてもちっともおもしろくないのですが、いつの間にかどんどん
ひきずりこまれているのが不思議な感じがします。
でも、今はあまり「好き」ではありません。
最近の作品は読んでいない方が多いと思います。
なぜかというと、「最後の全集」と銘うった「大江健三郎小説 全十巻」を
頑張って買い揃えたのに、その後も作品を発表しているから、という
極めて「個人的な体験」からです。
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お父さんが大江健三郎さんの小説を初めて読んだのは、多分16歳くらいの、高校生の頃でした。
それからたくさんの水が橋の下を流れ、大江さんはノーベル賞作家になり、お父さんは君たちの父親になりました。大江さんも、お父さんも、幸せな大人になったということでしょうか。(笑)
もっともお父さんの方は大江さんのように熟した大人になったとはいえませんが。
そんなお父さんが君たちに伝えたいことは、この本の中で大江さんが書かれている言葉の一つひとつが、やはり現代の僕たちにとって最良の思想であり、日本語だということです。
ここに書かれていることのすべてが君たちに理解してもらえるとは思わないですが、大江さんの文章はいささかまわりくどいですし、でもここに書かれているのは良質の大人の意見です。
そして、これからの君たちの時代をあかあかと照らす、たいまつだと思えばいいでしょう。
(2002/05/19 投稿)
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