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プレゼント 書評こぼれ話

  いよいよ今夜
  第153回芥川賞・直木賞
  受賞発表です。
  又吉直樹さんの『火花』は
  受賞するでしょうか。
  いやがうえにも盛り上がりますね。
  今日は直木賞作家葉室麟さんの
  『蒼天見ゆ』を紹介します。
  葉室麟さんが直木賞を受賞したのは
  第146回。
  2012年のこと。
  葉室麟さんはそのあとも
  絶え間なく作品を発表し続けています。
  今もっとも油ののっている
  直木賞作家かもしれません。
  受賞しても
  なかなか作品を書けない作家も
  たくさんいます。
  今夜受賞されるだろう
  作家さんは
  ぜひ葉室麟さんのように
  なってもらいたい。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  その心意気、よし。                   

 「日本最後のあだ討ち」として記録されている臼井六郎の生涯を描いた、葉室麟の歴史小説。
 葉室は時代小説の書き手であるが、この小説は歴史小説といっていい。
 時代小説と歴史小説は混同して使われることが多いが、時代小説はその主人公等は作者の創作によるが、歴史小説の場合主人公は歴史上実在した人物で、物語はほぼ史実の通りに進んでいく。といっても、当時の主人公の心情などは書き手の想像に委ねられるところが多いし、細部はやはり想像で描くしかない。
 よく遺跡から発掘される土器などを見ると、実際発掘された破片は一部で大部分は石膏などで固められていることがある。
 歴史小説はそういうものかもしれない。

 葉室は土地を愛する作家でもある。
 その作品のほとんどが九州を舞台に描かれている。
 この作品の舞台も、九州の小さな藩秋月藩であり、主人公の臼井六郎はこの藩の出身である。「最後のあだ討ち」をしたのが九州以外の藩の武士であれば、葉室は書かなかったかもしれない。
 臼井六郎は九州男児であればこそ、自分が書かなければと、葉室は思ったのではないか。
 その心意気、よし。

 物語は史実であるが、事件の経緯のあらましを簡単に書いておく。
 明治維新の際、秋月藩という小さな藩に臼井亘理という優秀な藩士がいた。その才能を恨む男の手により亘理は惨殺され、その際に妻も殺されてしまう。
 亘理の息子六郎は仇を討つため、明治開化の時代を翻弄されることになる。
 明治6年には「仇討禁止令」が公布され、仇討は新国家へ背を向ける行為となり、六郎はいよいよ追い詰められいく。
 しかし、ついに六郎はその恨みを晴らすべき機会を得る。明治13年、ついに「あだ討ち」を完徹する。
 その後の六郎は終身刑を言い渡されるが恩赦で出獄。大正6年まで生きることになる。

 幼き六郎に父亘理は「蒼天を見よ」と教えたと、葉室は書いている。そのあたりが史実なのか葉室の創作なのかはわからないが、六郎という人物に葉室が託そうとした思いが、そうなのであろう。
 六郎にも、葉室の時代小説の主人公のような、耐え続ける男の血が流れている。
  
(2015/07/16 投稿)

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