プレゼント 書評こぼれ話

  今日から9月

    江ノ島のやや遠のける九月かな   中原 道夫

  すでに2学期が始まっているところもあるでしょうが
  いよいよ本格的に
  2学期ですね。
  長い夏休みがあけて
  また規則正しい日々が始まりますが
  ちょっと過ぎて行った夏を惜しむような
  メランコリックな気分に
  なっていませんか。
  そんな時に
  人生って何だろう?
  おとなって何だろう?
  みたいなことを考えてしまう、つい。
  そこで今日は
  吉本ばななさんの
  『おとなになるってどんなこと?』という本を
  紹介します。
  考えれば、いい。
  悩めば、いい。
  そうやって、みんな
  大人になっていくのです。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  「自分」になろう                   

 「ちくまプリマー新書」は2005年1月に創刊された新書レーベルだが、吉本ばななのこの本は238巻めにあたる。
 プリマーとは「初歩読本、入門書」という意味で中高生が初めて出会う新書として、これまでにも良書を刊行してきた。
 今回はまさにこの新書の原点ともいえる題材で、これから大人になろうとする子どもたちに向けて、作家の吉本ばななが自身の家族環境とかも踏まえながら、正直に書き綴った内容になっている。

 吉本が言いたいことは、たったひとつ、「大人になんかならなくっていい、ただ自分になってください」と、「まえがき」に書かれているのだから、大人になることに不安を感じている若い読者には安心して読み始めることができる。
 何故なら、大人になるということは未知の領域だが、「自分」にならなれるかもしれない。だって、自分はずっと「自分」だったのだから。
 でも、本当にそうだろうか。
 実は「自分」になるということは、大人になることよりもずっと難しいことかもしれない。

 吉本はこの本の中で8問の問いかけをしている。
 「おとなになるってどんなこと?」に始まり、「勉強しなくちゃダメ?」「友だちって何?」「死んだらどうなるんだろう?」「生きることに意味があるの?」などだ。
 大人だからといって、その問いにちゃんと答えられるわけではない。もし、うまく答えているとしたら、そういう答え方そのものが大人はマスターしていると思えばいい。
 問いに答えるのは、「自分」なのだ。
 この本でいえば、吉本ばななという人が「自分」の答えを語っていることになる。
 「自分」になるというのは、そういうことだと思う。
 誰かに教えてもらうことは悪いことではない。それが「自分」の中で咀嚼され、心の骨や肉になっていく。それが「自分」になるということではないだろうか。

 「大人」というのは、ある程度の年を重ねれば、誰にでもなれる。けれど、「自分」になることは簡単ではない。
 吉本ばななは易しいようで、かなり難しいことを求めているのだともいえる。その難しさにぶつかっていくことも、「大人」になる、「自分」になるということだ。
  
(2015/09/01 投稿)

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