プレゼント 書評こぼれ話

  書評にも書きましたが
  今日紹介する北康利さんの
  『佐治敬三と開高健 最強のふたり』を読んでいる時、
  画家の柳原良平さんの訃報を
  聞きました。
  開高健柳原良平さんがつくった
  アンクル・トリスの世界は
  昭和の広告を論じる時には
  欠かせない傑作でしょう。
  ウイスキーの話でいえば
  大学生の頃に飲んでいたのが
  ホワイトかレッド、
  角瓶を飲めればいい方でした。
  ましてや、オールドなんて。
  オールドを飲めた時は
  うれしかったなぁ。
  自分で買ったのは
  会社勤めをしてからではないでしょうか。
  それでも今も角瓶ですから
  あまり学生時代から変わっていませんね。
  ホワイトよりは暮らし向きは
  よくなったかな。

  柳原良平さんのご冥福を
  お祈りします。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  「人間」らしくやりたいナ                   

 サントリーの代名詞ともいえる「アンクル・トリス」を生みだした柳原良平氏の訃報が、奇しくもサントリーの二代目として辣腕を奮った佐治敬三とその畏友でもあった開高健の評伝である本書を読んでいる時にはいってきた。
 8月17日のことだ。
 開高が作ったという「「人間」らしくやりたいナ」のコピーとともに昭和36年の傑作広告の図版が本書にも収録されている。柳原の「アンクル・トリス」とともに。
 そして、柳原のサントリー入社のことも数行ではあるが、ここに描かれている。
 開高がいなければ、いや佐治がいなければ柳原の活躍の場もうんと狭まっていただろう。柳原の訃報は、あらためて佐治や開高の人間としての深さと広さを思い出させてくれるとともに、人間にはこうした出会いがその人の一生を左右することもあるのだと思い知ることになる。
 もし開高健という稀有な作家がいなければ佐治敬三の人生はちがった光景だったろうし、もし佐治敬三がいなければ開高健という作家は生まれなかったあるいはその作品はちがったものになっただろう。

 北康利の大部の評伝となったこの作品は労作であるし、魅力的でもある。
 取り上げられた佐治にしろ開高にしろ、人間的な魅力を十分にもった人たちだから、その評伝が魅力的になって当然なのだが、北の筆はその魅力がどう創られたいったか、丁寧に細部まで書き込まれている。
 サントリー(当時は寿屋)の創業者鳥井信治郎がどうして二男であった敬三を佐治家に養子に出したのか。巷間言われているように佐治は母親方の縁者ではなかったという真実には驚かされたし、開高の死後彼と情愛をもったという女性が自死したという話も目を開かされた。
 そういう話をきちんと書かないことには、人物が立ち上がってこない。
 だから、北の取材は徹底的だ。まさにそれがこの本の魅力になっている。

 当初「佐治敬三伝」を書こうとしていたと、北はいう。その中で開高健の存在を外せないことに気が付く。外せないどころか、対として書かなければならないことに北が気付いた時点で、この作品は実に見事に昭和という時代を駆け抜けた男たちの姿をとらえたともいえる。
 労作であり、好著であり、傑作でもある。
  
(2015/08/25 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/2561-acbd018f